155話・三人一緒
「あれ...?もしかして違うんですか?」
「へ!?違わない、違わないよ!ね、ねぇ...ココちゃん!」
「うにゃ!?は、はい!アミューお姉ちゃんの言う通りですよ!
さ、三人一緒で間違いないですよ、はい!」
「ですよね~!それじゃ、三人様一緒のお部屋って事で宜しいですね!」
「「はい!宜しいですよ!」」
再度元気よく確認をしてくるキッシュに、同じくらいの元気な声で
アミューとココが、返事を返す。
「ではでは、3人で金貨1枚になりますが、アンジュさんのご紹介なので、
その半分の大銀貨1枚でいいですよ!」
「半額でいいの?中々の太っ腹だね!」
「はは...ここで割り引きをケチると、後でアンジュさんから大目玉を
食らいそうだしね...」
アミュー言葉にキッシュが苦笑をこぼしながら、その訳を話してくる。
「アンジュさん、怒ると怖そうだもんね...」
その苦笑しているキッシュを見て、アミューもアンジュの事で苦笑を
こぼす。
『ねぇ、ねぇ、主様!あれ、放っておいてもいいんですか?』
「.........」
『もしもし~主様~私の声が聞こえていないんですか?』
「.........」
『ほう...私を無視するとは、いい度胸ですね......ふん!』
「ハギャァァァ―――ッ!?」
蒼井に無視されたナヒが怒って放った、ジャッチメント・サンダー
(10000万分の1)を、僕の脳天へ思いっきり落とす!
「イタタタ......な、なんだ、今の衝撃は...!?」
突如おこった頭への痛みに我に帰った僕は、どこからやられたのかと、
周りをキョロキョロと見渡す。
『やけに言葉が少ないと思ったら、さっきのキスで気絶をしていたん
ですね......』
「ん...その声は、ナヒか?も、もしかして、今の衝撃は...!?」
『ええ、私がやりましたよ。ジャッジメント・サンダーを放って!』
「ちょ、ジャッジメント・サンダーって!?僕を殺す気かぁぁぁっ!」
悪びれもなくそう述べてくるナヒに、僕は喫驚して叫声を荒らげる。
『心配しないで下さい。威力の方は、めちゃくちゃ減らしていますから!』
「そういう問題じゃないだろうっ!」
僕はジャッジメント・サンダーを食らって、一瞬で消え去って逝く数々の
魔族達の事を思い出すと、思わずゾッとする。
『なんです...その疑い目線は?もしかして私が調整をしくじるとでも
思っているのですか?』
「へ...!?」
な、何故、僕の考えがバレた!?
あ、そうだった、そうだった。ナヒさん、心が読めるんだった!
だからって、ジャッチメント・サンダーを撃っていいという理由には...
だが、ここでナヒに逆らっても埒が明かないな...。
ナヒには心を読まれるので、これ以上長引くとこちらが不利な状況に
なっていくのは目に見えているし...
ナヒに口喧嘩で勝てる気がしないので、僕は静かに抗議の言葉を言うのを
やめた。