150話・ガッコの誤算と報復
「くそ...くそ...くそ...!」
屋台市場を占拠できない所か、俺の夢を実現させる道具のファングまで
失うだと...!
己...己...クソ連中がぁぁ!そろいもそろって俺様に逆いおってぇぇ!
この俺様を誰だと思っていやがる!
この大陸でナンバー10に入る大商会のドン...ガッコ・ケロフ様だぞぉぉっ!
その俺様をこんな無様で...滑稽な目に合わせやがってぇぇ......!!
「許さん...許さんぞぉぉぉ―――――っ!!」
「ひ、ひぃぃっ!お、落ち着いて下さい、ガッコ様!そんな大声を
出されてはあの連中に気づかれてします!」
「あぁぁぁぁんっ!それがどうした!俺様はガッコ様だぞぉっ!
その俺様が、何故あんな連中如きにビクビクしなければいけないんだぁぁ!
この無能がぁぁぁ―――っ!」
「ぐはわぁあはぁぁ―――――っ!!」
落ち着せようとする部下に対し、ブチ切れ怒り狂ったガッコが、部下の顔を
変形する程の力で思いっきりぶん殴ると屋台の主達のいる場所へと
吹っ飛んで行く!
「うわ!な、なんだ!?」
「い、いきなり、向こうから吹っ飛んできたぞ!?」
「こ、こいつは......確か、ガッコの所の......」
草場の影から突然、吹っ飛んできた人物に、目を丸して驚く屋台主の
ひとりが、この人物がガッコの手下だと気づく。
「く...やはり残党がいやがったか!おいみんな、あそこだっ!
あそこの草場の後ろに誰かが隠れているはずだ!」
「よし!相手の攻撃に備えながら、追い詰めるぞ!」
「「「わかったっ!」」」
屋台主のひとりが、ガッコの手下が吹っ飛んできた方へ指を差すと、
他の屋台の主達がその場所へ急ぎ駆けて行く。
「ん...い、いない?」
草をかき分けて、その場所の回りを見渡して見るが、どこにもガッコの
手下の仲間らしき者は見当たらなかった。
「おかしいな...。確かに、他にも人の気配を感じたんだが......?」
「まぁ...いいじゃねえか、それはこいつに聞き出せばいいんだしよ...」
転がっているガッコの手下を足でコンコンと蹴りながら、屋台の主が
そう呟く。
ハァ...ハァ...ハァ...ハァ...ハァ......
「おのれ、おのれ、おのれぇぇ!このガッコ様をこんな見苦しく逃げ出させ
やがってぇぇぇ―――っ!」
吹っ飛ばした手下にアンジュ達の目線がいっている隙に、ガッコが急ぎ慌て
あの場を見苦しく焦った顔をして逃げ出していた。
「いい!もうあんな場所なんぞいらん!俺様の物にならないのなら...
壊して壊して、徹底的にぶっ壊してくれるわぁぁぁぁ―――っ!!」
そう...裏商売で手に入れた、魔族どもが作ったと言われる魔導兵器を
使ってなぁぁぁぁ――――っ!!
ガッコが怒りを露にして拳をブルブル震わせながら、隠し玉である兵器を
使う事を辞さない覚悟を決める。