148話・紹介状
僕達はそれからしばらくお姉さんの開いたチンピラ撃退パーティーを
楽しんでいた。
「それじゃ、そろそろ宿屋を探しに行こうかな...」
そして今日泊まる宿屋を見つける為、僕がその場を立ち去ろうと
すると...
「どうしたんだい、坊や?もう帰っちゃうのかい?」
「すいません、本当なら僕も、もうちょっと楽しんでいきたいん
ですが、そろそろ宿を決めなきゃいけませんので...」
「宿屋を...?それなら、私の知り合いのやっている宿屋があるからさ、
それを紹介してあげるよ!その宿屋に私の紹介で来たと言えば、値段も
安くしてくれると思うよ♪」
...とお姉さんが言って、僕が安く泊まる為の宿屋を紹介してくれる。
「安く泊まれるなら、本当に助かります!何せ、お金が全くない
状況なので...」
「もし、安くしなかったら私に言ってきなよ、後であいつに説教して
安くしなかった分を取り返してあげるからさ!」
蒼井の感謝の言葉にアンジュが蒼井の肩をポンと叩き、任せろと
言わんばかりの顔でニカッと笑う。
「んじゃちょっと、待ってね...今、紹介状を書くからさ......」
アンジュがそう言うと、懐から紙とペンを取り出して知り合いの
宿屋への紹介状を書いていく。
「ん、これでよし!はい!これが私からの紹介状だよ、受け取って♪」
「ありがとうございます!お姉さん!」
書き終えた紹介状をお姉さんから受け取ると僕はペコッと頭を
下げた。
「よし!日も暮れてきた事だし...早速このお姉さん推薦の宿屋に
行こうか、ココ!」
「はい、お兄ちゃん!」
アンジュから貰った推薦状に、宿屋への道順が書かれてあるので
それを確認して、そしてその宿屋へと足を向ける。
「それでは、アミューにルビさん。僕とココはこの推薦状の宿屋に
行きますので、ここで失礼しますね!」
「アミューお姉ちゃんにルビお姉ちゃん!また明日お会い会い
ましょう!」
蒼井が頭をアミューとルビに下げると、それに続いてココも
ペコッと可愛く頭を下げてくる。
「ちょっと待った!私もそのアンジュさんの推薦する宿屋に
とまるわよ!」
「え...?アミューも?」
「だって、シュンと一緒の宿屋だったら、その色々できそうだし......」
「へ...色々できそう?」
「ゴホン、ゴホン!間違った...私の泊まっている宿屋より、宿賃等が
色々と安くつきそうだしね!うん!」
思わず、本音がだだ漏れしそうになった所を、アミューが慌てて
強い咳払いを何度かし、それを誤魔化した。
「そっか...そうだね。宿屋代が安くつくなら、そっちの方がいいよね!
んじゃ、アミューも一緒に行こうか!」
「うん!行こう、行こう♪じゃ、ルビさん!私もシュン達と行きますから、
明日お会いましょうね!
ニコニコ顔で蒼井とココのいる場所に移動すると、後に残されている
ルビへ向けて、別れの挨拶を述べた。




