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146話・どっちの方が美味しい?


「あ...見えてきましたよ、シュン様!」


「ん...でも何か騒がしいね...?」


さっきのチンピラの件もあるので、僕はその騒がしい声に聞き耳を

立てて、そのザワザワ声を聞いてみる。


「うん...どうやら、この声は悲鳴とかの類いじゃなさそうだね...

ふう、良かった。それじゃ、安心した所で行こうか、ルビさん!」


僕は心配はないなと安堵すると、ニコリと微笑みをルビさんに見せ、

その手を優しく引っ張り、パーティー会場へ駆けるように移動する。



◆◆◆◆◆◆



「さぁ!ココちゃん、次はこれを食ってくれ!」


「いいや!その前にこいつを食うべきだ!」


「なにを抜かすか!そんなのより、こっちを先に食べた方がいいに

決まってるだろうが!この秘伝の味、シャンシャン焼きを!」


「お前こそ、何を寝ぼけているんだ!そんなお粗末な食べ物より、

ココちゃんは、この俺様特製、ジャモジャモ焼きを食べたいに

決まっているだろうが!」


「ぐむぬぬ...!」


「むむむむ...!」


屋台のオッサン達が、それぞれの自慢の料理をココに食べてもらいたくて

喧嘩になっていた。


「ちょっと、あんた達!オッサン二人が、子供の前でなんてみっともない

アホみたいな争いをしてるんだい!」


「うぐ!」


「ぐぬ!」


オッサン達の喧嘩を止める為に仲裁へ入ったおばさんが、その間に割って

入ると、その姿を情けないと呆れ口調を洩らす。


「み、みっともないだなんて事はないですよ!だっておじさん達はボクの為に

こんな美味しそうな食べ物を作ってくれたんだもん...。本当...嬉しいですっ!」


落ち込むオッサン二人にココが真剣な面持ちを見せると、その行為に

感謝の念をこぼし、お礼を述べる。


「そ、そっか...嬉しいか!そ、そこまで言われてしまうと何か照れて

しまうな...!ささ、こいつを遠慮なくパクッと食べてくれ、ココちゃん!」


「ココちゃん...こ、こんなオッサン達の醜い姿を見せたっていうのに...

うう...そ、その詫びじゃねえが、おかわりはいくらでもあるから、

ドンドン食べてくれよ!」


「はい!ありがとうございます、おじさん達!」


「おお...」


「はぁ...」


ココのお日様のような笑顔を見たオッサン二人は、その笑顔に目尻や頬が、

だらしなく垂れ下がってデレデレしていく。




「お...どうやら、あそこが騒ぎの原因みたいですね...」


「ん...あれはココか?なんでココの回りにあんな黒だかりが?」


先程聞こえていた騒ぎの原因を見つけた僕とルビさんは、取り敢えず

その場所へと移動する。


「お~い!みんな、遅れてごめ~ん!」


「あ、この声は!もう、遅いぞシュン!一体何を.........なうっ!?」


手を振りながら自分達の所へ駆け寄ってくる蒼井に気づき、アミューが

手を振り返そうとした瞬間、その瞳にルビと仲良く手を繋いでいる蒼井の

姿を映すのだった。


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