140話・勘違いですから
蒼井達がギルドへ向かう事、数十分後......
無事ギルドに辿り着いた蒼井達は、アンジュのクエスト達成を
いち早く知らせる為、休憩も取らずにそのままギルドの中へと
入っていく...。
「ではみなさん、私はクエスト達成を知らせてきますので、そこで
しばらく待ってて下さいね!」
「はい、すいませんがよろしく願いしますね、ルビさん!」
ギルドに帰ってきた僕達は、達成したクエストの知らせをルビさんに
任せると、近くの冒険者が休憩するテーブルに移動した。
「ねぇ...所でシュン。アンジュさんからこの後に呼ばれている、
『チンピラ撃退やったぜ!パーティー』には参加するの?」
「ん...?一応そのつもりだけど、どうしてそんな事を聞くんだい?」
アミューが心配そうな表情をして聞いてくるので、僕はハテナ顔をして
その事を問い返す。
「だ、だって、それに参加したら今日は宿屋にとまる事になっちゃうけど、
その...お金の方は大丈夫なの?」
「嫌だな、宿屋にとまるお金くらいはあるよ...ほら!」
僕はそう言うと、硬貨の入っている皮袋を取り出してアミューに見せる。
「...って言うか、アミューもそれは知ってるはずだけど...?だって、僕と
一緒にクエスト受けたんだから...」
「違う、違う!そうじゃなくって、元々ここにはギフトの判明をしに
きたんだよね?それなのにお金を使っちゃっていいの?」
おかしいなぁと困惑している蒼井に、アミューが手をブルブルと振って
誤解だと述べ、心配していた理由を口にする。
「ああ...それね。ま...正直、ギフトの判明は別に後にしても大丈夫かなって、
思ってるから気にしないでよ!」
今の所、メイーナのアイテムだけで充分に間に合ってるんだよね...。
『それに主様には、この私...ナヒがついていますしね!』
はは...そうだね。ナヒは頼りになるし、本当に色々助かってるよ♪
『な、なにをそんなに誉めちぎってるんですか!ほ、本当...主様は
最高にキモいですね...殺しますよ!』
相変わらず安定の口の悪さですね、ナヒさんは......。
「ん...どうしたの、シュン?さっきからボーッとしちゃって...?
ああ、もしかしてアンジュさんのキスを思い出してたなぁぁっ!
この...ドスケベぇぇぇ―――っ!!」
「ちちち、違う、違う~~!そ、そんなお姉さんのキスの事なんて
思い出してませんってぇ~~!あわわ~だから~や~めぇ~てぇ~!!」
アンジュとのキスを思い出してボンヤリしていると勘違いしたアミューが、
蒼井の襟首をグイッと掴むと、激しく上下左右に振り回す。
「ほほ、本当だって~~!なぁ、なぁ~ココぉぉ~~!ぼ、僕、
お、お姉さんの事なんて思い出していない~よねぇぇぇ~~!!」
「うわ~これ、めちゃくちゃおいしいですね♪」
「へへそうでしょう、そうでしょう!ほら...もっと食え食え♪」
「うぁ~~い!」
僕がひどい目に合っている最中、ココが受付のお姉さんからお菓子を
たくさん貰って、その場をワイワイとジャンプして喜んでいた。