139話・愛野の底力
「うう...ぐうぅ...身体の節々が痛い......やっぱり、この技の発動には
全然LVが足りないみたい......ね。でも...み、みんなを救うまでは......
が、頑張ってね...私の......身体ぁぁぁぁああ―――ッ!!」
愛野がそう叫ぶと、大地を蹴りあげポイズンベアへ向けて突撃する!
「タァァァ――ッ!食らえぇぇぇえええっ!!」
愛野はポイズンベアの頭上高くへと舞い上がり、急降下のスピードを
上乗せしたパンチをポイズンベアの頭へ思いっきりぶつけた!
「グギャアアアァァァ―――――ッ!?」
愛野の渾身の一撃をポイズンベアの頭に食らわせると、そのあまりの
痛さに叫声を荒らげ、その場をポイズンベアが転げ回っている。
「よし!今だっ!」
『白き光よ、傷を癒せ!ヒールッ!』
愛野がヒールの呪文を詠唱すると、白き光がマイン達を包み込み、
その傷を治して行く!
「そして、次は...」
『身体を蝕む苦の毒よ...浄化せよ!ポアナッ!』
ヒールの魔法に間入れず、次の魔法...状態回復魔法を詠唱する。
「おお、身体がめっちゃ軽くなっていくバイッ!」
「そして、これが最後...」
『その身体を活発させ、能力をアップしろ......フルブーストッ!!』
愛野が最後の力を振り絞って、身体能力アップの魔法を詠唱する!
「ハァ...ハァ...これで、MPはすっからかん...だ。そ、それじゃ、後は
任せた...から。が...頑張って......ね」
意識が朦朧する中、マイン達に後の事を託すと、愛野はその場に
力尽きる様に崩れ落ちた。
「ええ...ありがとうございます、愛野様!後の事は私達にお任せ
下さい!」
「へへ...ナイスガッツだね!私、優希さんの事をもっと、も~っと、
見直しちゃったよっ!」
「取り敢えず、そこで安心して寝とるがよか。あとんの事はわたし達が
キッチリやるケンッ!」
マイン、遠藤、マーガレットが愛野に尊敬の念を贈ると、ポイズンベアへ
突撃して行った!
「へへ...蒼井...君...どうだったかな...私、ち、ちゃんとやれた...よね?
こ、この...力を自分のものにした暁には...絶対...あなたを...探しに...
行...く...か......」
殆ど意識がない愛野が天に誓う様に、ゆっくり拳を振り上げて自分の
決意を口にしながら静かに意識を失う。
それからしばらくして、マイン達から見事ポイズンベアを討伐したと聞いて
ひと安心した愛野は、その後、神楽と鈍山達と合流してランスロッド城へ
向けて歩き、みんなと一緒に帰還するのだった。