137話・勇者のピンチ
「グルルル......ググガァググゥゥ.........グルル...」
身体に相当のダメージがあるのか、ポイズンベアが肩で息をしながら、
マイン達に威圧を向けて距離を取る。
「やった！フェイント攻撃成功！よし...みんな、この勢いでポイズンベアを
追い詰めて、一気にとどめを刺すよっ！」
「ハイ！遠藤様っ！」
「おう！んじゃ、行くとバイッ！」
遠藤の号令と同時に、マインとマーガレットがポイズンベアへ突撃する！
『うりゃあ、一閃斬りぃぃぃ―――ッ！』
『たりゃ、てりゃ、とりゃ、棍棒乱れ突きバイィィィ―――ッ！』
「そこだぁぁぁ、急所突きぃぃぃ―――ッ！」
マイン達の攻撃が、ほぼ同時にポイズンベアへと襲いかかる！
「ハッ！ちょ、ちょっと待て、みんなぁぁぁあ―――っ！？」
「「「―――えっ！？」」」
愛野が何かの異変に気づいたのか、マイン達に叫声を上げて攻撃を
やめるよう注意を促す！
「グルル......グハァァァァ―――――ッ！！」
突っ込んでくるマイン達に、ポイズンベアが口を大きく開けた瞬間、
その口の中から紫色した煙が周りに撒き散らされる！
「し、しまった！？こ、この攻撃は猛毒の息っ！？みなさん！息を
吸ってはいけ――――あぐぅう！？」
マインの言葉空しく、マーガレット達もポイズンベアの猛毒の息を
吸い込んでしまい、次々とその場に倒れ込んでしまう！
「く...身体が思う様に動かない......！？」
「ま、参ったな...こいつの得意技...毒の息を忘れちゃうなんて...さ」
「はは...ゆ、油断大敵とは...この事ッタイネ...うう！」
猛毒によってマトモに動けなくなってしまったマイン達が、無念の言葉を
口々に洩らしている。
「ま、待ってて、みんな！今すぐ回復させるか―――キャアッ！？」
愛野が急いでマイン達の元へ近づこうとするが、ポイズンベアがそれを
阻止するかの様に攻撃をして邪魔をしてくる！
「グルルルル......」
「ハァ...ハァ...くうっ！？」
毒にやられたマインが、ゼーゼーと息を乱しながらポイズンベアから
距離を必死にとっている。
「や、ヤバい...あ、あいつ...マインさんだけに攻撃を集中しようと
している...」
「ぐ...魔物の癖に...ハァ...ハァ...なんて周到なやつ...タイッ！」
「私達はまだ、優希さんの技の効果が...残っているから...ハァ...ハァ...
マインさんを二人で...守り...ましょう！」
「わ、わかったバイ...ッ！」
遠藤が毒に苦しみながら発する言葉にマーガレットが頷くと、二人が
息を乱しながらマインの元へ駆けて行く。
