133話・ユニーク
「ど、どうしたんですかマインさん!?急にそんな顔中にいっぱい汗を
掻いて!?」
突如、顔色を変えて身体を震わせるマインに、愛野が目を見開いて驚き、
その訳を聞いてくる。
「もしも...私の考えが正しいのなら、クエストを今すぐ中断し、急いで
ここを脱出しなければいけませんっ!」
「え、急いでここを脱出する?それは一体どういうコトネ、マインさん!?」
あまりにも表情をビクつかせてオロオロしているマインに、マーガレットが
その理由を問いかける。
「そ、それは...この不自然にも魔物のいない状況を考えるに、恐らく...
ユニークLVの魔物がここにいますっ!」
「ユニーク...?ユニークって、面白い魔物がいるって事...?」
「そのユニークとは違いますよ遠藤様!ここで言うユニークとは、特異質な
魔物を差して使う言葉なんです!」
遠藤がハテナ顔をしていると、マインが即座にそれを否定し、ユニークの
本当の意味を教えてくれた。
「特異質な魔物を...ですか?」
「はい、今討伐しているポイズンベアの毒攻撃は...ユニークだと
猛毒攻撃へと代わり、またその姿は勿論の事、ステータスも普通の
約数倍に膨れ上がります!」
マインがユニークモンスターについて、更に詳しく説明してくる。
「へ...も、猛毒攻撃...!?猛毒攻撃って、毒攻撃の上位の属性で...確か、
毒耐性が8以上ないと無効化できないんだったよね?」
「耐性がないと、下位は5分の1...上位は2分の1で状態変化が発生するん
だったよね!?」
「そ、それだけでも厳しかとに、そんに加えてステータスが約倍もある
なんて...冗談じゃなかバイッ!?」
マインの詳しい説明を聞いて、愛野と遠藤...そしてマーガレットがその事実に
目を見開いて喫驚する。
「こいはた堪らんね。どがんする優ノッチ、桃ノッチ?今でもギリギリな
戦いをしとるわたし達じゃ、全く歯がたたんよ。ここはマインさんが
言う様に、いったん逃げた方がよかと思わんか?」
マインの真剣な面持ちを見たマーガレットが、目を丸くしてオロオロすると、
愛野達にここはいったん引いた方がいいのでは進言する。
「そ、そうだね、全滅するよりか―――えっ!?な、何あの大きな影はっ!?」
動揺全開で慌てふためているマーガレットの後ろから、突如何かの巨大な影が
飛んでくるのが愛野の瞳に映って見えた。
「マーガレットさん、危なぁぁいっ!後ろぉぉ、避けてえぇぇぇえ――っ!!」
愛野が急ぎマーガレットに危険を察知させる為、叫声を荒らげて注意を促す。
「へひゃ!う、後ろ...!?危ない...!?...って、のわあぁぁぁ―――っ!?」
愛野の叫声に反応したマーガレットが直ぐさま後ろへ顔を向けると、そこに
巨大な大岩が自分へ目掛けて飛んでくるのが見え、慌てて素早く横に転がって
何とか回避する事ができた。