125話・クラスメイトの特訓(磯下と緑川)
「でも、そうやってちゃんと立っているじゃないの~♪...なので、
結果オーライなんだし~それ以上は怒らない、怒らない~♪ホラホラ...
達也ちゃん~良い子、良い子~~♪」
「こ、こら...や、やめろって!?ひ、人を子供扱いするんじゃねえ......!」
緑川は他人事といわんばかりに、相変わらずのニコニコ顔をこぼしながら
磯下の元へ駆け寄って行くと、その身体をギュッとハグしてくる。
「こほん...ちょっとそこ...っ!いつまでも抱き合っているんじゃないっ!!」
「はうばっ!!?」
ハグをしながらイチャイチャしている緑川達の元へ、スタスタと井上も早足で
駆け寄り、磯下の頭上へ強化した拳を叩き落とす!
「さて...達也も無事に起き上がったし~と言う事で~次は私の番だよ~!
恵はそこをさっさと~どいちゃってね~♪」
「ちょっと奈々...!そ、そんなに強く押さないで......!?」
グラウンドに入ってきた井上の背中を緑川が手で強引に押すと、そのまま
グラウンドの外へと押し出した。
「もう...私だって、まだまだ特訓し足りないのに......。いい、達也!
その奈々との対戦が終わったら、次はまた私だかんね!」
「くふふ~私と戦って~その後に達也の体力が~残っているとはとても~
思えませんけどねぇ~♪」
グラウンドから井上を追い出した緑川が、ニコニコした表情でそう述べると、
磯下の前にゆっくり移動して立ち、そして対峙する。
「そうだ...私ね、最近~覚えたホカホカの魔法があるんだよねぇ~♪
早速、役立た...けふん、けふん...デクの棒...けふん、けふん...頼りに...
うぷぷ...なる...幼馴染で~実験させてねぇ~!」
――――――
緑川奈々
LV18
クラス【勇者】
HP105
MP400
攻103
防98
速209
魔330
幸101
女神のギフト【無垢な魔法使い】
――――――
こ、こいつは...散々、言い直した挙げ句が実験って...。本当、この女は
おくびにも隠そうともしないな...。
「ふふ...それじゃ...それ...♪」
「どおうわぁぁっ!?いきなり、撃つのかよぉぉぉっ!?」
磯下が考え事をしている最中にも関わらず、緑川がいきなり詠唱なしで
最近覚えたという魔法を撃ち出す!
しかしその魔法攻撃は、ギフト技...『ラッキー』が発動してなんとか回避した!
「あっぶぅな...っ!おい、奈々!...お前といい、恵といい、なんで準備もなく
攻撃をしてく――――のわぁっ!うわぁぁっ!いやはあぁぁっ!!」
磯下が緑川の卑怯旋盤な攻撃に苦言を述べようとするが、そんなの関係ないと
言わんばかりに緑川が連続して、魔法を次々と撃ちだしていく!
しかし今回もうまく『ラッキー』が発動して、全ての魔法攻撃の回避に成功する。
「もう~中々しぶといぃ~!あの逃げっぷり...あれはまるで黒いGの如し~!」
「おい、そこっ!人を黒いG呼ばわりするんじゃない!いくらなんでも言って
良い事と悪い事があるんだぞっ!」
人扱いしてこない緑川に対し、流石の磯下でも目を見開いて激昂し、相手へ
苦情の説教を垂れる。