122話・ご褒美のキス合戦
「にゃ、にゃにをするんですか、アミューお姉ちゃん!にゃでボクの邪魔を!?」
尻尾を掴まれているせいか呂律が回らないココが、アミューの行動阻止に対して
異議をあげる。
「邪魔するに決まってるでしょう!だって、シュンにキキ、キスするなんて...
そんなの...」
「だったら、アミューお姉ちゃんが先にご褒美のチュウをする?お姉ちゃんになら
先を譲ってあげてもいいですよ?」
アミューが先にキスしたいのかなと思ったココは、しょうがないなぁとばかりに
順番を譲ってくる。
「はうっ!?わわ、私がシュンにキス、キスを!?そ、それは...だって...ねぇ...」
「にゃにゃにゃ!?ちょっとアミューお姉ちゃん!?ボ、ボクの尻尾をオモチャに
しながら喋らないで下さい!?」
顔から火を噴きそうなくらい真っ赤になっているアミューが、ココの尻尾を
引っ張ったり、モフモフしたりしながら照れている。
「はう...もう尻尾の毛並みがボロボロじゃないですかぁ...!」
「あはは...ゴ、ゴメンね、ココちゃん。ついつい、興奮しちゃって...」
膨れっ面で激おこしているココに、ニガ笑いをこぼしアミューが懸命に
謝ってくる。
「ふう...アミューお姉ちゃんが駄目なら、ルビお姉ちゃんが先にお兄ちゃんへ
チュウってしますか?」
「はは、はいぃぃぃっ!?わわわ、私がシュン様にキキキ、キスをですかっ!?」
ココから突如ふられる蒼井へのキスの催促に、目を丸くして驚いているルビが、
慌てふためき動揺する姿を見せる。
「もう...二人がキスしないなら、やっぱりボクが先にお兄ちゃんにチュウって
いっちゃうからね!お兄ちゃぁぁぁんっ!!」
「させないよ、ココちゃぁぁぁんっ!」
「させません、ココちゃんっ!!」
「アベバェッ!!?」
再び、蒼井にご褒美のキスをする為、ダイブしたココの尻尾をアミューと
ルビがさせるかと思いきり掴むと、ジュンプ力を失ったココがその勢いのまま、
地面に叩きつけられた。
『はあ...やれやれ、こんなゴミみたいな主様のどこがいいのやら...本当、理解に
苦しみますね...』
蒼井を取り合う女性達に、ナヒが呆れた口調で溜め息を洩らす。
それからアミューとルビが、再び蒼井とキスに挑戦するものの、やはり
恥ずかしさが勝つのか、戸惑いを見せて躊躇する...
その中、ココだけはキスする気満々で何度も蒼井へ迫って行くが、その度に
それをアミューとルビが阻止する様に邪魔をする...
...っというのを繰り返す事、数十分...。
結局、誰も蒼井とキスする事もなく時間も無くなり、仕方がなく三人とも
キスを諦め、お姉さんのクエスト依頼達成をギルドへ知らせに行くのだった......。