12話・門番チェック
「あ...何か見えてきた...」
目の前に何十メートル以上、横へと広がっている大きな壁が見えてくる。
そしてしばらく走ると、その大きな壁近くに門らしき物があり、僕はそこへ
足を動かす。
「『カトンの町』へようこそ!」
辿り着いた門近くには、カトンと言う町の門を守る兵士が立っており、
僕に出迎えの挨拶をしてきた。
「あ...ども!」
「町へ入るのでしたら、危険物チェックをさせてもらいますので、そこに
見えるゲートを潜って下さい...!」
え...き、危険物チェック!?
や、ヤバくないか...このメイーナ特製アイテムたちって、どれもこれも
危険物が服を着て歩いている様なもんじゃん!
絶対、チェックに引っ掛かるの目に見えてるじゃんっ!
「どうしました?...まさか、危険物をお持ちなのでは...?」
うわ...この門番の兵士、めっさ僕の事を疑った目で見てるなぁ...
これは困った...。
もし、ここで逃げ出しでもしようものなら、二度とこの町には入れなく
なるんだろうなぁ...。
ふう...ここまで来たら、もうなるようにしかならんか...。
「はは...そんな事ありませんって、それじゃ...潜りますね...」
南無三!
僕はそう心で叫ぶと、バッと勢いよくゲートを潜る。
「......」
「......」
あ、あれ...?何も起こらない......?
まぁ...良く考えたら、女神メイーナの特製アイテムだもん...人の作った物
程度では、ビクともするワケがないか...。
「ふむ...特に何も危険物は持っていないようですね...。では次は、身元
確認の為に商売カード、ギルドカード等...どれでもいいのでお持ちなら
お見せ下さい...」
ええ、まだ何かあるの!?面倒だな...。
商売カードにギルドカード?なにそれ?持ってるワケないじゃん!
でも、この門番...お持ちならとか言ってたな...。
なら、ここは誤魔化すより、素直に話した方が怪しまれないか...。
「あ、あの...すいません...。その商売カード、ギルドカードとは一体...?」
「え...クラスを示すカードをお持ちないので?」
「クラス...?あ、はい...持ってません...」
「失礼ですけど、ギフト判定はなされましたか?」
「い、いえ...実はそのギフト判定をする為に、この町へ来たしだいで...」
「あ、なるほど...そうでしたか!それはすいませんでした...!それなら、
そこにあるオーブを触ってもらえませんか?」
オーブ...?門番の兵士の横にある、柱の上に乗っている球体の事...かな?
「オーブって、そこの兵士さんの横にある球体の事ですよね?」
「はい、そうです。このオーブの上にあなたの手を置いて下さい」
「わかりました...上に手をっと...」
兵士から言われたとおり、オーブの上に手を置くとオーブが輝きだし、
柱の下の方からピッと言う音が聞こえ、その後にカードらしき物が出てきた。
「これは...?」
「それは仮入場許可カードです、ここを出る時にそれを私へ返却して下さい。
返却しませんと、ここから外へは出られませんので、気をつけて下さいね!」
「はは...それは困りますね...。ご忠告ありがとうございます、なくさない様に
気をつけます!」
「あ、そうそう...ギルドで冒険者の証、ギルドカードをお作りになられましたら、
そのギルドカードを見せるだけで、ここの出入りはできますよ!」
「冒険者の証、ギルドカード...か。再びのご忠告をありがとうございます!」
「では、この町...カトンをお楽しみ下さい!」
僕は門番の兵士にお礼の挨拶を交わすと、町の中へと歩いて行く。