114話・ヘコヘコする女神様
「め、女神様の手作り...。シュン様、勇者様の補欠とか言ってらしたのに
そこまで贔屓されているとは...ハッキリ言って、普通の勇者様以上の
存在ですよね...」
ココの言葉を聞いて、ルビが信じられないといった表情で考え込んでいる。
「そうかもしれません。だってお兄ちゃんがボクを助けようと躍起になって
いた時、メイーナ様...お兄ちゃんにへこへこしてましたし......」
「ヘ、ヘコヘコッ!?」
メイーナの事で驚いているルビへ、ココが更に衝撃な事実を追加情報として
述べてくる。
「じ、じゃあ、シュンがメイーナ様をこき使ったって事なの、ココちゃんっ!?」
「う~ん、こき使ったって言うより、お兄ちゃんに嫌われたくない感じで
した...」
ルビの横で同じ様に驚いていたアミューが、動揺を見せながらも質問を
投げると、ココが首を傾げてその時の状況を思い出す。
「き、嫌われたくない感じ......?ハッ!?ま、まさか、メイーナ様!
シ、シュンの事を...すす、好きなのっ!?」
ココの言葉にアミューが思考を巡らせ考えて、そして辿り着いた答えを
信じられないといった表情で口にする。
「はは...それは流石にないんじゃ...だって女神様ですよ、それが勇者とは
言え、ただの人間のシュン様を好きになるだなんて......」
「は...はは...そ、そうだよね。この考えはちょっといき過ぎだったかな♪」
アミューの辿り着いた答えに、ルビがそれはないとニガ笑いをこぼし、
それを聞いてアミューも、だよねと言わんばかりの苦笑を浮かべる。
「取り敢えず、その話は後にして...ここはまず、あいつらを片付けま
しょうか!」
「うん、そうですね......」
「はいです!」
アミューの合図に、ルビとココが静かに返事を返すと目の前の
チンピラに向かって、身構える。
――――――――――
「これで、最後だぁぁぁぁ――――っ!!」
「グギャアア――――っ!!」
アミューが最後に残ったチンピラを、素早い太刀筋で斬り捨てた!
「ふう...こっちの方は、これで全部片付いたわね!」
アミューが周りを見渡し、チンピラがいない事を確認する。
「ご苦労様!アミューさんに、ルビさんに、そしてココちゃん!」
壊れた屋台を積んで壁にしていた場所の裏から、笑顔を浮かべたアンジュが
アミュー達に賛辞の言葉を送る。
「しかしキミ達って、本当に凄いね...」
「ルビさんが強いのは事はわかっていたけど、キミ達二人もかなりの
強さだったよ!」
アンジュや戦えない人達を中心に陣形を組んでいた屋台の主達も
アミュー達の元へ集って、アンジュと同じ様に賛辞を送った。