110話・理不尽な行為
「ぐぬぬ...な、何故です!私は殺気なんて出していません...。それなのに、
なんで...その白い雷が発動...するん...ですか!?」
肩で息をしながらファングが無くなった左腕を押さえ、今起こった状況を
信じられないと言った顔をしている。
『あはは...見て見て主様♪あのクソジジイの驚愕しきった顔を♪さぁ...次々と
いきますよ~!ホーリー・チェェェ―――――ンッ!!』
ナビゲーションが満面の笑いをこぼしそう言うと、数本の光のチェーンが
ファングを捉えようと次々と射出されていく!
「な、何ですかこのチェーンはぁぁっ!?わ、私の移動する場所を最初から
知っているかの様に追いかけてぇぇぇっ!!」
自分へ次々と襲いかかる光のチェーンを何とかファングは交わして(躱して)いくが、
如何せん、ホーミングして襲いかかってくるチェーン......
「ぐぉお...お、多い、多過ぎる!?これをかわすのはむ――――グハァアッ!?」
更にその数が多過ぎる事もあり、ファングの動きが鈍って力尽き...ついに
光のチェーンへ囚われてしまった。
「くふふ...捉えましたよ~♪さあ、さあ、さっきのウザさの懺悔の時間ですよ~!
そりゃぁぁぁ―――ッ♪」
ナビゲーションのかけ声と同時に、ファングの身体の四方八方に巻きついている
光のチェーンがその身体を、一気に締め上げる!
「グハナ...ガア......くぞおぅ......が、が、ガッッゴざまぁぁぁぁ――――ッ!!!
ナビゲーションの行為にはまるで慈悲は無く...とうとうファングの身体は
散弾させられて、その場にくち果てるのだった。
『はい、終了っと♪』
「.........」
『あれ...?どうしたの、主様?そんな鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をして?』
イヤ...何て言うか...その...まず、これだけは最初に言わせて下さい......
「いくらなんでも、これは酷い惨状過ぎるだろうがぁぁぁ―――っ!!」
本当何なの、今の問答無用の攻撃は......殺る気満々にも程があるっ!
『はあ...今更何を言うのかと思えば...。主様はまだ、この世界の現状を
理解できていないのですか?』
深い溜め息を吐き、ナビゲーションが呆れた口調で小馬鹿にしてくる。
「そ、そんな事はないって、いくら僕でもそれは理解はできているよ!」
『本当ですか~?本当に理解できていますか~?』
「うう...言いたい事はわかっているつもりさ......」
最初にこの地へ転位(転移)してきたあの森で見た、魔族に殺されて山の様に
積まれていた騎士達...。
ココの元主人がココにやらかしたあの行為......。
人の住む場所を平気で消し去ろうとしていた、あの魔族の軍団ども...。
自分が偉いってだけで、人を値踏みして見下す貴族達...。
そして今のじいさんも、僕を躊躇なく殺ろうとした......。
この世界の悪党は平和に暮らしている連中へ、まるでお構い無しで
悪意をさらけ出して襲いかかってきやがる...。
「だから、僕もそんな連中に躊躇なんてするつもりはないさ...!」
僕は今まで出くわした弱いものに対する、強きものの理不尽な暴挙や殺戮を
思いだし、拳をギュウッと握りしめるのだった...。




