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107話・敗けもしないが、勝てもしない


「しかし何でだ...何であのじいさんは殺気を気づかせずに、こんな攻撃が

できるんだ!?」


金剛石の腕輪が発動しないファングの殺気こもった攻撃を食らった僕は、

その驚きに困惑の色を隠せないでいた。


「ふふ...その驚きの表現を見るに...どうやら、私の考えが正しかったみたい

ですね...」


蒼井の驚く様を見て、ファングが不敵な笑みを浮かべている。


「正しかった...だと?」


「はい...貴方の繰り出すその白い雷は、恐らく人の殺気に向かって発動を

するんでしょう?ならば、それを無くして攻撃すればいいだけの事ですよ...」


「殺気を無くす!?だ、だけど今のあんたの攻撃には、殺気がこもっていた

じゃないか!この冷や汗が何よりの証拠だ!」


能面な表情で揚々と言い放つファングに、それを信じられないと僕は

額に垂れる冷や汗を指差して抗議する。


「ふふ...別に不思議な事でもありませんよ。これでも私、今までかなりの

暗殺任務をこなしてきた、エキスパートでしてね...。なので、それくらいの

攻撃は意外に朝飯前にできちゃうんです......こんな風にねっ!」


能面の表情のまま、ファングは殺気も放たずに剣を振り上げて、

蒼井に目掛けて斬りかかって行く!


『自動防御...『ミスリル・シェル』を発動します......』


別の自動防御...『ミスリルのブレスレット』が発動し、蒼井の目の前に

ミスリルで出来た壁が身を包んで防御する!


「チッ...また、別の自動防御ですか...!?」


弾かれた反動を利用してファングが、後退りして距離を取る!


「ほ...本当に金剛石の腕輪が、発動しないんだな...はは」


お――い、メイーナさぁぁ―――んっ!貴女の御自慢の自動防御が

どんどん攻略されてますよぉぉ―っ!


な~んてね。


さて...どうするか、自動防御は他のやつが取り敢えずは機能して

くれてるみたいだけど...


あいつ全く隙を見せないから、攻撃のチャンスが見当たらないぞ...。


いやはや、これはまいったな...。


そうだ、白のブレスレットを使ったらどうだろ...?


イヤ、駄目か...あれはこの場所じゃ、ちょっと使い勝手が悪いか...


やれやれ...このジリ貧状態...敗けはしないだろうけど、勝ても

できない状態だ......。


僕は思考をグルグルと回し、どうやったらこのじいさんに勝てるのか、

考えを働かせていると......


『なら、主様...。金剛石の腕輪の効果を、もう一段階あげますか?』


...と、いう声が突如、僕の頭の中で語りかけてきた。


「ほえ!だ、誰!?今...僕の心に話しかけてきたのは、一体誰なの...?」


主様とかいってるから、メイーナじゃないだろうし...?


『私ですか...?私はメイーナ様のアクセサリーのサポートをする為に

作られた疑似人格のナビゲーションシステムです...』


蒼井が誰の声だろうと模索中、声の主が淡々とした口調で、自分の正体を

口にする。


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