102話・煽り耐性無し
「こ、この...舐めやがって、なら...その態度のまま、死んど――――
――ギャアアァァァァッ!!!」
蒼井にいきなり襲いかかってきたチンピラへ、金剛石の腕輪が発動すると、
ジャッジメント・サンダーが降り注がれ、目の前からその姿を消し去った!
「ええぇぇぇぇ―――――ッ!?」
目の前で起きたチンピラの惨状に、僕は目を丸くして叫喚をあげる。
う、嘘だろう......
今のやり取りで、殺意を出してきたっていうの...この人...
それはいくらなんでも、煽り耐性が無さ過ぎるだろう......。
「ちちち、ちょっと、なな、何なんですか!今の白い雷はぁぁっ!?」
「い、一瞬...一瞬であの人、目の前から消えていなくなっちゃいま
したよっ!?」
突然、チンピラの頭上へ落ちたジャッジメント・サンダーの白い雷に、
ルビとココが目を全開に見広げて、あわあわと慌てふためいている。
「そっか...ルビさんとココちゃんは、あれを見ていないんだったっけ?」
アミューの問いに、ルビとココがコクコクッと静かに頭を縦に振る。
「ま...かく言う私も、あれが何なのかは知らないんだけどね♪」
アミューも白い雷の正体を知らず、エヘヘ...と、困惑な表情で
ニガ笑いをこぼす。
「くそぉぉ―――ッ!貴様ぁぁ―――ッ!よくも、俺達の仲間を
やりやがっ――――ギャシャァァッ!??」
仲間がやられた事に腹を立てたチンピラが蒼井に向かって、武器を
振り上げ襲いかかろうとしたが、そのチンピラもさっきのチンピラと
同じ運命を辿る事となった。
ええぇぇ――――ッ!また、殺意の攻撃をっ!?
何なの、この世界のチンピラって...!
朝のチンピラといい、今のこいつらといい...器量が小さいにも
程があるんですけど......!?
「な...何て威力なんだよ、あの雷...。あれじゃまるで、神の裁きみたい
じゃないか...」
「か、神の裁き!?た、確かに...物語りや歴史の書で出てくる、メイーナ様の
黒い裁きの雷みたいだ...」
無慈悲にチンピラ達を消し去った白い雷を、メイーナの黒い雷と酷似していると、
屋台の主達が呟く様に述べる。
「お、おい...今の話を聞いたか?」
「あ、ああ...!もし、あいつらの言っている事が本当なら、俺達はどうすれば
いいんだ!?」
「わ、わかんねぇよ!ファングのじいさんも怖いが、あれはもっとヤバい気が
する!」
蒼井の白い雷の威力を目の当たりにしたチンピラ達が、屋台の主達の言葉で、
危ない橋を渡ってきた感が働き、その動きをとめている。
「ん...動きがとまった...?よし!今の内に、お姉さんを守る範囲まで移動するよ、
アミュー、ルビさん、ココ!」
僕達はチンピラ達の動きを見計らかって、アンジュ達の場所へ素早く近づいて
その前へ立ち、お姉さんを守る様に身構える。