101話・ゲットチャンス
「見た所、怪我もなさそうですし...無事だったみたいですね、良かった!」
僕は半壊している周辺を見て、お姉さんの事を心配していたが、その無事を
自分の目で確認すると、安堵で胸を撫で下ろしながらお姉さんの場所へと
移動する。
「所で...お姉さん、一応お聞きしますけど...ギルドにボディーガードの
依頼を出した人って、お姉さんですよね?」
「え...う、うん、そうだけど...」
いきなり現れた蒼井の述べる依頼の確認に、アンジュが少し戸惑い状態で
静かにコクンッと首を縦に振る。
「おお!やっぱり、このボディーガードの依頼はお姉さんのだったん
ですねぇ!」
よっしゃぁぁ―――っ!
これで、お姉さんとの唇チュウのゲットチャンスきたぁぁ――――ッ!!
ヤッホォォォ―――――ッ!!
嬉しさのあまり、僕は心の中で狂喜乱舞してしまう。
「ん......?シュンのあの屈託のない笑顔...もしかしてあんた...
お姉さんのキスの事を考えているんじゃ...?」
思わず、ニヤニヤがこぼれて喜んでいる蒼井にアミューが気づくと、
ジィィーと疑い全開の眼差しで、睨むように見てきた。
「キキキ、キスの事をっ!?いやだな~アミューさんは、そんな事を
考えてなんかいませんよっ!!」
心で叫んでいた本音を、見事にアミューから突かれてしまった僕は、
額に大量の汗を掻き、その表情は動揺全開で強張ってしまう。
「その動揺で完璧にバレバレですよ、シュン様...」
アミューに続けて、ルビさんも苦笑しながら呟く様に言ってくる。
「お兄ちゃん......」
「ココッ!?」
イヤァァァ――――ッ!?
その何かを訴えてくるかの様な上目遣い、やめてぇぇぇ―――――ッ!!
ココのそのひと言だけで語ってくる訴えに、僕の心が折れかかってしまう。
「あの連中は、一体誰なんなんですか...?せっかく、事がうまく運んでいたと
いうのに...そこのあなた達、あの連中をここから摘まみ出してきなさい!」
「は、はい!わかりました!」
作戦に横やりを入れてきた蒼井達に、苛立ちを見せるファングが近くの
チンピラ達に、蒼井達の排除命令を下す。
「おい、貴様ら!ここへ何をしにきやがった!」
「ここは貴様らのようなガキがくる所じゃねえぞ!わかったら、
さっさと帰りやがれ!」
ファングから命令されたチンピラ達が、蒼井達へ凄みを効かせた目で
睨みつけながら、帰れと叫ぶ。
「いや...お前達こそ、何を言ってやがる?ここは屋台市場...本来
僕達のような連中が来る場所だぞ、ここは?」
その睨みにも動じず、僕は呆れた表情のジト目でチンピラを見て返す。
「...と言うわけで、ここは貴様らのようなチンピラがくる場所じゃ
ないんだ...ほれ、さっさと帰んなよ、シッシッ!」
そして、チンピラ達を挑発するかの様な口調を発して腕を突き出すと、
手をチョンチョンと動かし、帰れアピールする。