10話・圧倒的
「ここはどこなんだ...って、なんじゃこれはっ!?」
鎧が積んであるのかと思ったら、鎧を着た血だらけの人間じゃないか!
あれって、どう見ても死んでます...よね!?
「貴様!一体、どこから現れやがった!おい、女!まさかお前の仲間か!?」
「イヤ...私の...ハァハァ...仲間...じゃ...」
「まあ、いい...。魔王様には、ここへ来た奴は全て殺せと言われているんだ、
貴様がどこのどいつかは知らんが...」
「ここで死んどけぇぇぇやぁぁぁぁ――――っ!」
魔族が僕に向かってジャンプし、剣を振り上げる。その振り上げた剣に
黒い気のオーラがどんどん集まっていく...!
『アハハハハハ――――――ッ!くたばれ人間!爆連剣――ッ!!』
魔族が剣を弧に素早く振ると、剣に集まった黒い気のオーラが蒼井へと
打ち出され、轟音を唸らせて飛んで行った!
「あ、あの...ちょっと!そういうの、やめた方がいいと思うんですけど...!?」
『主への殺意を察知...防衛モード...発動...ジャッジメント・サンダーッ!』
「な、なんだ!この白い雷はぁぁぁっ!?ギャ――――――――ッ!!!」
女神メイーナ特製アクセサリーの1つが発動し、白い雷が刹那の如き速さで
発射され、気づくと魔族の放った技と共に、完全とこの世から姿をかき消した...!
「だから言ったのに...。ね、ねぇ...そこの君...今の男、いかにも敵って感じ
だったし、倒しちゃっても大丈夫だったよね...?」
だって、あいつ死ねとか言ってたし...それにメイーナが殺意を持った者に
発動するとか言ってたし...そもそも、僕の正当防衛だし...
倒しちゃっても、問題...ないよね?
「ハハ...あ...の魔族を...あんなに一方的に...ハァハァ...す...凄い...。誰だか
知らないけど...ありがとう...ゲフ...ゲフ...これで...もう...思い残す事...も...」
うわ...!?あの女騎士さん、よく見ると血だらけだし、相当の重症じゃ
ないかっ!?それに、み、右腕もないじゃんっ!欠損と言えば、確か...
メイーナから貰った、このアイテムで......
「ねぇ、君!まだ死んじゃ駄目だからね!」
僕はアイテムボックスから『WP』を取り出し、女騎士の元へ駆け寄って行く。
「取り敢えず、こいつを飲ませて...ほら、これを飲んでみて...」
ハァ、ハァ、言っている女騎士の口に、女神特製のポーションをゆっくりと
注ぎ込んだ。
「......よし、これでいいかな?」
「こ...これは...一体......な、何!?腕が...なくなったはずの右腕が熱いっ!?」
女騎士が欠損している右腕を天に掲げると、右腕の付け根から光がどんどんと
伸びてきて、次第にその光が腕の形に変わっていく...。
「う、腕が...なくなった私の右腕が元に戻った!そ、それに身体の方も
スッカリ元通りになってる...!?」
なくなったはずの自分の右腕がキレイに元通りになっているの見て、
女騎士が目を丸くし驚きを隠せないでいる。
「うん、これでもう大丈夫だよね!じゃあ、改めて聞くんだけど...さっきの
男って......って、何をしているんですか!?」
さっきの魔族を名乗っていた男の事や、ここの情報の事を訪ねようとすると、
女騎士に素早く後退りし、こちらへ土下座をしてきた。
あけまして、おめでとう!
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