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五君子戦2

ツイッター

@hiyokurenrisks



画面の向こうで行われたあまりにもあっさりとした1チーム目の敗退に比連校の面々は絶句する、皆ゼロ対レントを楽しみにしていたしそれを学校新聞も取り上げてネタにしていたのに呆気なさすぎる結末だ。


しかし非難する者はいない、事前のインタビューでも矜持は言っていたはずだ。


「誇るべきは力ではなく護るために何ができるかだと思います、ですのでどんな事をしても勝ちを狙いに行きます」と


比連の仕事はあくまでも護ること、どんな手段をとろうが目的を達成できればいい、そして護ったものこそを誇るべきだという当たり前の事…しかし自分の強さに目が眩んで見落としがちなそれを捉えた彼の言葉はそのインタビューを見たものにとって印象に残るものだった…


それ故に警戒をしなかったゼロの評価は前より下がると言ってもいい。


そして画面の向こうでは矜持と紫陽花が接触する一方で石英とジンも距離を縮めていた。



「どう攻めようか」


森を移動しながらジンは問いかける、相手チームにはマグマを操る石英に(たか)の獣人である雲母(うんも)に音魔法を使う瑪瑙(めのう)による索敵、さらに加速の魔法で石英の弱点であるマグマの速度を上げるリート、任意の形をした石を作り出すという魔法を使いマキビシなどで行動を制限してくる黒曜(こくよう)


5人がひとかたまりになる事で盤石の護りを固めたチームだ。


一方ジンは接近戦においてならストックによる不可視の攻撃に加え魔法もそこそこ扱える、リキュールは生物の反応を調べる事と治療、鶴の獣人であり器用にも足で扱うショットガンにより中距離戦を行う白鶴、霧を作り出し遠くの様子が見えないようにする事で接近戦を強いる鎧を纏う盾役の霧島、肉体に対する負担を和らげて戦いやすい状況を味方に、逆を相手に強いる澪


5人で接近戦で無類の強さを誇るチームだ。


どう攻めるとは実質の二択、奇襲か真正面から堂々とかだ


「そんな顔しながら聞いても意味が無いと思うんだがね」


呆れながら答えるリキュールの言う通り、ジンは目をギラつかせ真正面から戦いたいという欲を剥き出しにしている。


「意味がない…か、じゃあ遠慮なくやらせてもらおう」


そう叫ぶと森を抜けて岩山の(ふもと)に出てすぐストックしていた魔法を使う。


5人の足元が音を立ててせり上がり一気に石英たちに接近する、ふつうに走って登ればばら撒かれたマキビシと上から襲いかかるマグマになす術なく敗退していたはずだ。


そして接近した勢いそのままに石英に斬りかかるがマグマに阻まれた上にリートの加速により勢いを増した灼熱の槍が襲いかかる、その全てをあらかじめストックしていた斬撃でジンは相殺する。

比連の制服のお陰でマグマの近くであろうと動きに影響はない、そして不変の魔法を付与されたジンの県もまた変化は見られない。


「ちょっとショートカットしすぎじゃないか?せっかくの山なんだから情緒ってものを感じたらどうだ」


水色の髪を揺らしながら石英が軽口を叩く


「悪いな、俺は昔から戦いばかりでそういう類は苦手なんだ、特に岩山に感じるものなんてないな」


黄緑のたてがみの様な髪を撫で付けながらその大柄な体格に似合うロングソードを肩に担いだジンも軽口で返す。


先ほどの攻防はほんの挨拶代わり、ライバルである男たちは晴れ舞台を楽しむのは当然とばかりに笑顔を交わした。



「さっきぶりです矜持さん」


「はい、さっきぶりですね、それからお疲れ様です紫陽花さん」


同じように笑顔をかわし、それどころか握手までしてしまい穏やかな雰囲気を漂わせる2人はここが戦場である事を見ているものに忘れさせてしまうほどだ。


「約束通りゼロさんを倒したので手を引いて案内してくださいね?」


花が咲くかのような優しい笑みでお願いする紫陽花に当然とばかりに矜持も顔を(ほころ)ばせる。


「ええ、そういう約束ですからね」


正確には手を組む事の条件として罠を張った場合は案内を手を引いて、真っ向からの戦闘でそれができない場合は矜持が紫陽花の盾役を任せられるという約束だった。


毒と視覚情報による幻覚を見せる紫陽花、匂いにより強化や幻覚など様々な効果を操る(あんず)、任意の相手同士で五感を共有させるチューリ、超音波により周囲の把握と攻撃を行う蝙蝠(こうもり)の獣人である守谷(もりや)、対象の五感奪うセラ


凶悪なはめ殺しチームを前にしても矜持は警戒もしていない。


それは紫陽花のチームを脅威に思っていないのではない、勝つために自分たちは強力しなければならないと思っているからだ。


最悪のパターンはジンと石英が組む事、なにせ彼らは本来チームを組んでいる仲間なのだから…


協力が許される仕様であるならまず疑ってかかるべき、そして状況的に信頼できる相手とこちらも手を組んで万全の状態で臨む


元は弱者であった矜持の戦いにおける鉄則、少しでも有利な状況を作る事に対してできる限り無い頭を働かせていた。




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