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矜持の魔道具

今回長いですかね?

主人公の名前の発音なんですけど

矜持本来の発音じゃなく凶器の発音です。そっちの方が名前っぽいので



「なん…だと…」


「まあちゃんとした理由もあるからきいてね〜、まず魔法を使えない人ってできることの幅が少ないんだよね〜。君は武器を変えれるだけまだマシなんだけど〜まだまだ足りないというかね?」


「でも矜持なら糸なんて魔道具に頼らなくても作れるんじゃないですか?」


「糸を舐めちゃいけないよ〜クオリアちゃん、と言うかまあワイヤーになると思うんだけど、さっきも言ったけど直接戦闘じゃなくて罠とかに使ってほしいかな〜、それに救助とかにも便利よ。

今の矜持くんの戦い方は強いのかもしれないけどあの魔力の塊ってほっとくと消えちゃうでしょ?そうじゃなくて消えないもので罠を仕掛けておくの、便利さは保証するわ〜」


「言われてみればそうですね、サポート役なら目立たなそうですし学校でも問題なく使えますね…じゃあカタログ見せてもらえますか?」


「えっと…クオリアちゃんが選ぶの?というか矜持くんは糸でいい?」


「そうですね、どちらも大丈夫ですけど出来るだけ扱いやすいのが嬉しいです。魔力を動かす要領で動かせるようなので」


「はいはい、じゃあそんな感じで作るとしてデザインとかは任せてもらうわね、ワイヤーの素材とかはクオリアちゃんに選んでもらうことにするわ」


「任せて矜持!あんたが欲しがりそうな用途に絶対合わせるから!」


魔道具のことなので魔法専門のクオリアが熱くなりヒシャナと話し込む。


矜持は少し離れたところで考え込む。ヒーローを模した装備は嬉しい。だが自分は決してヒーローにはなれないのだと。

そうして昔の事を思い出そうとするとニート精霊の声が聞こえる。


「わざわざそんな事を思い出して自分を傷つけるな、淫夢に落とすぞ」


「いやほんとシャレにならないからやめて下さい」


「なんじゃなんじゃ?なにを思い出したん…ぷぎ!」


「もう現実だと俺の方が強いんだからいらんこと言うとこうなるとわかってたろうに…でも助かった」


他の人から見ると独り言にしか見えないが幸い近くに人はおらず問題ない。その辺を考えてあのニート精霊は思念ではなく喋りかけたのだろう。

喋るというのは案外頭を使うもので意識して考え事しようとしなければ思考は喋ることのみにむくもので、余計なことを考えずに済むのだから。


そこへタタタと小走りでクオリアが近づく


「矜持!どんなのか決まったけど似たようなのがあるから調整だけで済むんだって、夕方には出来てるらしいからちょっとその辺見て回らない?」


「いいですね、何か面白いものがあればいいんですけど」


「この辺は職人系が多いからねー、ここみたいな変な店もちょいちょいあると思うわよ」


「変な店は酷いよ〜、これでも売り上げはあがってるのよ?主に魔道具の方で」


「コスプレの方は売れないんですか?」


「んー、比連校の子達がイベントがあるからって買っていったりコミケっていうので売れたり〜、あとはまあ2人みたいなカップルがいつもとは違う夜を迎えるために…とかで赤字ではないかな?」


「あー、もういいですけど私たち付き合ってませんから、行くわよ矜持」


「えっと、ヒシャナさんよろしくお願いします、また後で」


「はーいー、デート楽しんでおいでー」


ひらひらと手を振るヒシャナを置いて矜持は先に店を出たクオリアを追いかける。

2人が出て行った店内でヒシャナはクオリアが追加で頼んだ魔道具のデザインも考える。


「相手のいる方角がわかるネックレスなんてありふれてるのにわざわざオーダーメイドでだなんて…乙女〜気合いいれてこー!」


なかなか面倒な作業に取り掛かるというのにヒシャナの顔には笑みが浮かんでいた。


一方怒り気味に出て行ったクオリアの方も自分にはなかった発想の魔法がこめられた魔道具に興奮したり硝子細工にはしゃいだりと矜持を連れ回し機嫌を治していた。

少しはしゃぎすぎてベンチで休憩しようと言うほどだ。


「はー、魔力で喋らせる頭の模型とかアホみたいだけど楽しかったわ〜。あんなのまともに喋らせられる人ほとんどいないわよ、声帯の動きとか普通は知らないもん」


「クオリアさんも変な音出させてましたもんね、正直あれに笑ってるクオリアさんは怖かったです」


「そう、まあ私たち魔法使いはこの発想がすごい!ってなるけど普通に見てると頭がおかしい人ね」


「魔法使いがみんな変態みたいな言い方ですね…」


「方向性の違いはあってもどこかおかしいのが魔法使いだと思うわよ?」


「まあ、誰から見ても何もおかしくない人なんていませんし当たり前っちゃ当たり前ですね」


「私たちからしたら武道家も意味がわからないわよ、その武器の真理に到達したから魔法すら斬るとか言う意味のわからないのがゴロゴロいるじゃない?どうなってるのあれ?」


「そのままの意味ですけど?」


「それがわからないから聞いたんだけどまあそんな感じよ、魔法使いと武道家たちは見方が違うからお互いに理解できなくていいのよ」


「そういう事なら仕方ないですね」


「それはそうとまだ時間そんなに経ってないけどどうする?」


「クオリアさん確実にさっき買った本が読みたいだけですよね…俺も適当に暇潰すんで読んでてもらって大丈夫ですよ」


「あはは、魔法の可能性を探すためだから…ごめんね」


あまり大きな変化では無いけれど確実に消えて行く3年間分の溝に心地よさを感じながら矜持はニート精霊に夢の中で模擬戦をしてもらった。隙さえあれば鍛える矜持も周りから分かりづらいだけでだいぶ頭がおかしいがそれに追求できる者はいない。


クオリアが本を読み終わると時間的には丁度いいくらいだった。


「矜持、起きて、そろそろ行く…なんでもう起きてるのよ」


「内緒ですよっと」


伸びをして背骨をボキボキと鳴らしてる矜持に呆れながらもなんとなく気の抜けた矜持の答えは距離感が心地良くてクオリアは嬉しくなる。



「こんばんはー、できてますか?」


「はいはーい、出来てるよー」


ヒシャナの店へ行くと疲れ気味のヒシャナがカウンターの下からすすっと腕輪と紙袋を取り出す。


「こっちの腕輪が糸…じゃなくてワイヤーの魔道具だから矜持くん展開してくれるー?」


矜持は言われた通りに腕輪をつけて魔力を流す、現れたのは手の甲に銀に輝く円形の輪がついた黒の指ぬきグローブ。


「クオリアちゃんに合わせて両手に装備してあるよー、て言っても仕組みは至って簡単でグローブから出てく魔力を金属に変えるだけなんだけどね〜。強度も太さも魔力次第!作ったワイヤーは左右のグローブで一本ずつなら魔力操作と同じようにうごかせる!べんりだろぉ〜?ダメなところは金属に変えてからは自由には弄れません!強度を上げるのにも限界があります!。たと手の甲の円形の部分の内部設計がこんな感じなんだけど」


ヒシャナが銀の輪の仕組みを図でみせて指差しながら続ける。


「魔力の段階でここから伸ばしといて貰えれば銀の輪に魔力を通すと内部が回転して巻き取りだけならできるよ、ただ邪魔にならないように薄く作ってあるからワイヤーの太さが太すぎると巻けないからね、その辺は魔力密度を高くして強度あげといてね、硬すぎると巻くのに必要な魔力もふえるけどねー!」


「矜持…いま微妙だって思ったでしょ…」


横からジトーっとクオリアが見つめる


「えっと、そんな事ないですよ?」


「自動で巻き取るのはおまけよ、手で引っ張ったり独立したさせて罠にする分にはこれが私の思う中で矜持には一番使いやすそうだったんだからね!?」


「ありがとうございます!ほんとに不満なんて少しもないです嬉しいです!」


「まぁ実際動かし続けるのって大変だしね〜、携帯で読み込むのも画像の方が動画より容量が少ないでしょう?魔力を動かすのは体を動かすのと同じように出来ても魔法で操るのは頭を使うから大変なのよ〜?そこを補助するのに頑張ったんだから〜」


「ほんとに微妙だなんて思ってませんからね?」


「そう?それならいいんだけど…」


「クオリアちゃ〜ん、気に入ってもらえるか心配なのも分かるけどこっち忘れてない?」


ヒシャナの手には紙袋、中身はクオリアが頼んだ互いの居る方角がわかる魔道具


「こっちの紙袋のは仕組みは簡単だしお客さん連れてきてくれたからサービスしとくとして〜、そっちのグローブは急ぎで作ったから工賃も含めて高めになっちゃうんだけど…まあ払えるよね君たち銀翼だし」


「あ…はい、これでお願いします」


「はーい、職員手帳払いね〜どもども支払い完了でーす、じゃあ今日はもう客も来ないだろうし店仕舞いだね、また文化祭で用があったらうちをよろしくね〜」


「はい、ありがとうございました」


「お世話になりました」


2人に…いやクオリアに向けてグッと親指を立ててヒシャナは閉店準備を始める。

タイミングを失って紙袋が何かを聞けなかった矜持だがわざわざ紙袋に入れるということは特別な事情があるのだろうと詮索はやめておく。


そこからはクオリアが少し気恥ずかしそうにしていて無言のまま時間が過ぎた。

南区から北区へと地下鉄で移動するので中央に家側近いクオリアが先に降りることになる。

クオリアが降りる駅にもう直ぐ着く頃になってようやく口を開く。


「あのね、矜持…この紙袋の中身なんだけどさ…」


「あ、聞いても大丈夫なんですか?」


「ええ、えっとお互いのいる方角がわかる魔道具なの…受け取ってもらえる?」


チームの生存率を上げるためによく使われたり、親が子に持たせたり、恋人同士(・・・・)が使用するものだ。


チームを組んだからと言うのも考えられるがクオリアの態度からもう一つの方も十分に考えられる。

頭が真っ白になった矜持は


「はい、もちろんです」


そう答えるので精一杯だった。


「じゃあ、改めてこれからチーム『笑顔を運ぶ者(ラフメイカー)』としてよろしく」


渡されたのはリングネックレス、魔術的にも昔から使われる上にネックレスも指輪も共にいたいと言う意味で使われやすい。さらにチーム名を今初めて聞かされて何から口にすれば良いかわからないままに駅に着く。


「魔力を込めたらリングが相手の方角に動くから!じ…じゃあまた何かあれば連絡するわね、なければ次に会うのは学校かしらね!」


真っ赤になったクオリアが早口でつげて電車を降りて足早に駅を出て行くのを矜持は見ているしかできなかった。


その後クオリアは家に帰ってから布団にダイブしてジタバタしてしっかりと告白できなかったが伝わってるのかと悩みながら悶え


矜持は心ここに在らずと言った体をさらしてこれは付き合っているのかと悩み、それを聞いた摂理が猛烈に危機感を感じて一日が終わった。



いきなりリングネックレスは重いと思うかもしれませんが彼女らには積み重なった時間があるので許してください。

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