姉として
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@hiyokurenrisks
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私、士道 摂理は弟と妹を持つ生粋の姉である、だからしっかりとしたところを見せたいのだが…
「この幸福感には勝てないな〜、昨日の晩ご飯の残りがあるから今日はまだ…こうしていよう」
土曜でみんなが休みなため隣で眠る弟の矜持、そしてその上で眠る祈理そしてその向こうにいる精霊だけどもう妹と変わらないラティファの寝顔を見つめながら意識があるか無いかギリギリのまどろみを楽しむ事にする。
父がいて、母がいて、弟と妹がいる周りから見たら普通かもしれないけれどわたし達家族にはついこの前まで当たり前では無かったそれを甘受できる今が幸せでたまらない、だから…
「帰ってきてくれてありがとう…矜持」
やっと温もりを感じられる距離にいてくれる様になった弟を強く抱きしめ寝ている彼の耳元で囁いた。
「みんなしていつまで寝てるのー!休日だからって流石に寝すぎよー!」
母からお怒りを受けるまでに二度寝をしてしまっていた。
「あー、俺が昨日も帰り遅くなったの待っててくれたからだよな…ごめん」
矜持がこのところ何かの為に頑張っていた事は知っている…だけどそれはそれとしてお姉ちゃんとしては構ってほしい
「そうだなー、じゃあ今日お姉ちゃんの買い物に付き合ってくれたら不問にしましょう!」
「……」
返事が来ない…最初から怒ってないよと伝えるつもりでおどけたのがいけなかったのだろうか
「だ…ダメだった?」
「あ、いや今日の予定なんかあったか考えてただけだよ。祈理にちょっと稽古つけるくらいしか無かった筈だから大丈夫」
「よかった…稽古の様子も見に行ったら一日一緒にいれるね!」
その喜びをつい言葉にしてしまうと矜持はきょとんとした顔を見せる
「そうだけど…今日はどうしたの?いつもとなんか違わない?いつもより積極的というかなんと言うか…」
鋭いのに鈍いなぁ…
目の前の弟をそっと抱き寄せる、その体は鍛えられていてがっしりとしていて私が姉でしっかりしないといけないのに安心させられる側になってしまう。
「昨日も連絡もよこさないで矜持の帰りが遅くて本当に心配だったの…いくら貴方が強いって言われてもお姉ちゃんは心配なの…祈理も…お父さんやお母さんも表には出してないけどきっとそうよ」
心配していないのはラティファちゃんくらいだろう。
「ごめ「それに!矜持がいてくれないと私がいろんな料理試したりできないじゃない?だからちゃんと帰ってきてね?」
謝らせない、なんども言うが矜持は誰かの為に一生懸命なだけだ、そういう仕事をしているのだから
「いや…今度比連校の方であるイベントに向けて頑張ってたら時間忘れちゃって…本当にごめんなさい…」
「な…なななな…」
私がかっこよく矜持は誰かの為にがんばってるからなんて思ってたのに当の矜持はそのイベントとやらにご執心だったというのに恥ずかしさと悔しさで感情がぐちゃぐちゃになってくる
「何よそれぇ!」
抱きしめていた腕を解き今度は叩く
「も〜〜〜〜!」
「ごめん!ごめんって!ちょ!痛いってば!っはは!」
叩いてる私の手が痛くなるくらい矜持の体は鍛えられていて痛いなんていいながら効いていない事の証明の様に謝りながら笑っていた。
今日はたくさん困らせてやるんだ!なんて思っていたのに祈理に武術を教える真面目な表情も、私の作るご飯をおいしいと嬉しそうに食べてくれるところも好きで…イベント毎に積極的に取り組むのもなんだかんだで矜持を比連校に入れた狙い通りで悪く無い気がしてしまって…
「矜持!お姉ちゃんの事どうおもってるの!?」
「好き」
「私も!」
結局ただただこんなやり取りをして心が満たされるだけの一日だった。