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@hiyokurenrisks


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矜持にはどの戦い方の才能というものが無かった、普通なら得意だとか苦手だとかがあるだろうに何も無く、完全なフラットの状態から力の操作の果てにあらゆる武を極めた師、熊谷虎徹にその果てまで導かれた矜持はやはり全てが高水準で同じレベルに扱えるようになっただけだった。


「お前には才能が無えけど、だからこそ臨機応変になんでも使えるってもんよ…ただ…そうだな、何を使うかお気に入りを決めるってのはいいな。

俺は才能がありまくりだったからこそ拳以外使う気にはなら無えからな」


師匠のその言葉を聞いた時には答えが決まっていた。


「刀を使っていきます!」


「そうか…まあお前にはあってるかもしれないな」


刀が好きだった、美しく、芯があって傾ければ消えて見える程刀身に汚れがなく、それでいて波紋のような表情がある。

そして何より刀には美術品としての価値がある。


包丁やカッターのように日常生活で使うための刃物ですら一般人は恐怖を覚えることもあるという、だというのに刀は戦うために生まれながらにして人を惹きつける魅力がある、それはどれだけ素晴らしい事だろうか。


今矜持がこのビルを登ってくるまでにできたことなんて戦う事だけだ。

クオリアはイオリによって傷つけられた警備スタッフを治療して、ヒカルは専門外だなんて言いながら情報を抜き出してくれた。


矜持は戦う術を、生き抜く術を教わったが他の事は…人が平和に生きて行く上で大事なことは人並み以下だと自覚している。


それでも刀のように戦う為の存在でありながら他の何者かに、みんなを笑顔にできる何かになりたかった。


故にそれは、その一太刀が斬るのは人に非ず


その一太刀は傷つけるために非ず


あらゆる悲しみ苦しみを取り除き


全ての罪過を(そそ)


『誰もが笑えるハッピーエンド』そんな有り得ない夢を追い続けた果てに矜持が得た夢想の刃


「お前のそれは立派な奥義だ…これからは自分の流派を名乗れ、免許皆伝だ」


この技を完成させた日から矜持は熊谷流ではない、士道流開祖となった、その名は


「士道流奥義……空色(くうしき)


たしかに3人を矜持の刀が通り抜けた、だが斬られたのは肉体でも魂でもない。

無理やり繋げられた精霊との縁のみを断ち切った。


「じゃあここからは私ね、ちょっと酷いから詠唱も必要だし」


『かの者たちの復元再生を』


「矜持!早速ED資格の使いどころよ!持ち直すまで助けてあげて!」



慌ただしく2人が治療を施す中、斬られて死ぬと思った家族がまだ生きている事を、助けようと2人が頑張っている事を理解してイオリはまたも泣き崩れる。


手持ち無沙汰になった紡は彼女を慰めていたがその心のうちでは何かが燃え始めていた。


最初は矜持から離れることの恐怖でついて来ただけだった、だがそよ戦いをその在り方を見て憧れた、かっこいいと思った。今彼の胸のうちでは創作意欲が燃え盛っている、彼らを歌にしたいと心の底から湧き上がる衝動が止まることを知らないほどの奔流となっていた。


治療が一段落してから比連に連絡し、到着までにできる限り組員をしばりあげるなどしていたら結局日を跨いでしまった。もう誰も起きていないかもしれないが摂理なら万が一もあるからと音を立てないようにゆっくりと家のドアを開けて矜持はそろりと中へ入る。

またも音が鳴らないようにそっとドアを閉め鍵をかける。

そこでリビングへ繋がる扉が開く


「お帰り矜持、お疲れ様」


「お兄ちゃんおかえり〜」


摂理と祈理だ、2人ともとても眠そうにしていることから待ってくれていたのが申し訳なくなる。


「ただいま、姉さん、祈理」


「こんなに待ったんだしご褒美…欲しいなって思うんだけど…」


「祈理もお願い聞いてほしいなって…」


「あ、あとリビングで寝ちゃってるけどラティファちゃんも待ってたよ?」


さすがにこれはどうにも断れそうにない


「わかった、俺にできることなら」


この発言を数瞬に矜持は後悔することになる、回数や期限に期間を設けなかったことを


「じゃあこれから一緒に寝ようね?」


「家にいる間はずっと一緒にいて、お風呂の間も…」


「はは…はははは…はい」


乾いた笑いのあとに承諾した、今日担当したような事件の後で家族が愛おしくなることのなにがいけないのかといっそ開き直ってしまうことにした矜持は流石に今日は一人で風呂に入れたが自分の部屋に行くと先にラティファを含め三人が居り、ラティファと摂理に挟まれ上には祈理が乗っかり窮屈な思いをしながら寝ることとなった。



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