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機嫌がよかった

ツイッター


@hiyokurenrisks


フォローしてもらえると嬉しいです。


感想に返信できると知ったのが今日でずっと心の支えにしてた一件の感想に返事をしてみたらとても優しい人で嬉しかった…



紡を守りながらのためどのように動くかを軽く相談していた矜持とクオリアのところへ着信音が鳴る、表示された名前を確認してすかさずスピーカーモードでクオリアが応じる。


『聞こえてるいるね?早速説明させてもらうよ』


挨拶も省略してヒカルが説明に入る、長くなるからだろうマスクはしていないようだ


『調べたビルは防犯のためと銘打って階段やエレベーターを場所を小分けにして攻めにくくしてる典型的な金持った悪人の溜まり場だね、それこそもし人気急上昇中のアイドル『彼方 紡』が殺されておかしな証拠品が出てきても圧力で抑え込めるような比連にもパイプ持っているレベルの金持ちさ。


監視カメラの位置はデータで送るけど死角がない場所は少なからず存在する、それにレーザーに当たればすぐに閉じ込められてガスを噴出するような厳重な通路もだ、当然警備の人員も一流だろうから警戒するんだね、残念ながらハッキングは専門じゃないから僕にできるのはここまでが精一杯だ』


「十分よ、ありがとうヒカル」


「そうだよ、十分助かった、ありがとな」


『ままままあ、頼まれたのだから当然さ!じゃあね、幸運を祈ってる!』


電話越しでも照れた事がよくわかる口調になったヒカルはそのまま電話を切った、それが可愛らしくて2人はクスリと小さく笑いをこぼす、そしてすぐに顔を真面目なものに戻して言う。


「よーし、じゃあ久々のカチコミ行こうか、ネクスト・シークレット・サービスさんまで」


「いくら圧力かけれるっていっても基本は警邏隊に枝の方の調査隊くらいでどれだけ頑張ってもせいぜい金羽までしかそんなの存在しないのよね、私たちまでは届かないって事で暴力団さんには潰れてもらいましょう」


当たり前のように1つの組織を潰すなんて話をする2人に紡の顔が引き攣る、圧力がかからないほど上にいるなんてこの2人は何者なんだと…


「前までなら転移できるわね」


使い手が少ないため対策している事も多くはないが、転移魔法で中に入れないようにする結界というのは存在する、多くの魔法使いがそれぞれの式で編んだ転移魔法への対策を何重にも重ねたそれは人の頭脳で理解しそれをすり抜ける式を作る事は不可能であり、無理やりに破壊しようものなら警報が鳴り全てを破壊しきるまえに逃げられるのが落ちだ。


「よし…じゃあ行こう」


矜持の言葉にクオリアと紡が頷く、だがそれに待ったをかける者が一人


「私も…私も連れて行ってください!機動力には自信があります!」


イオリ・カーバンだ、だが


「超特化型の先天魔法ですし効果が高いのはわかります、でもあなたが捕まったように魔法なんて使わなくても俺はそれより早く動けます」


「それにあなたが隙を見て彼方さんを殺す事で任務達成を考えていないとは限らないわ」


家族を助ける力になりたいと願うイオリの感情がどれだけ尊いものであろうと状況が彼女に味方する事はない。それを理解しまた俯く彼女の姿を見てそこまで理解していなかった紡は感情が先走り同情する。


「だから役に立とうなんて考えずに紡と一緒に守られてください」


「私がちゃんと見張らせて貰うけどね」


状況がいくら味方しなくても、彼女のヒーローとして救うと決めた矜持が、最高の結果を望む矜持が尊い願いを拒むはずがない。


「ありがとう…ございます…!」


敵地に乗り込むという危険な行為に及ぶというのに守られる側の2人に不安はなく、守る側の2人にも不安も驕りもない。ただ為すべくしてその仕事を為すだけだ。


「今度こそ行こう」


その言葉を合図に4人はクオリアの作った穴へと入った。



「お邪魔しまーす」


矜持が間延びした挨拶とともに入り口の見張りを夢の力の剣で眠らせる。


「暗いからあかり出すわよ」


クオリアが放った大量の光の蛇は壁や天井を這いずりまわり電灯に明かりを灯した。


「じゃあ一気に突破しよう」


作戦は至って簡単、警備システムが面倒なら丸ごと全部止めればいい。雷の先天魔法をもつクオリアなら容易くそれを行える、そしてどれだけ警備の人数が多くとも混乱しているとなれば矜持とクオリアなら難なく制圧できる。


イオリが何かしたと気づかれては家族に危険が及ぶかもしれない、だからこその超電撃作戦。


矜持を先頭に一行は走り続ける、ライブの後で疲れているとはいえ体力づくりを欠かさない紡に先天魔法により簡単についていけるイオリ、本来なら紡が足を引っ張る事になるのだが矜持の扱う剣の特性上相手の脳に死んだと誤認させ意識に隙を作る必要があるため特に足手まといということもなく進んでいる。


「ここから先へは…ぬぅううん」


ここから先へは行かせないとでも言おうとしたであろう男が瞬間移動としか言いようが無いほどの速度で距離を詰めた矜持により眠らされる。


出会うもの全て眠らせる、混乱が起きる前に全員眠らせるため電子機器の死滅している現在どれだけ派手に動こうと動向が知られる事は無い。


「こんなにあっけなく…事が済むものなのですか…」


走る足を止める事はないが唖然とするイオリにクオリアが薄く笑みを浮かべる。


「いいじゃないあっけなくて、今簡単に事を済ますために私たちは文字通り血反吐はいて頑張って来たんだもの」


イオリは前を走る矜持の姿を見る、彼が振るう刃の一振りでさえそれを振るうためにとてつもない研鑽があるのだ。


「それこそ矜持なんて刀の一振りで数百万稼いでもおかしくないんだから」


本気の一撃で高額な討伐依頼をこなせばそんな事もあるだろう、もっともそこまでの高額依頼なんてなかなか出てくるものでは無いが…


「ひぇ…」


ここ何日も矜持に仕事をしてもらっていた紡が青ざめる


「もちろんそういう依頼を受けたらの話よ、彼方さんの護衛にはそれに見合っただけの報酬が出てるから」


比連の給与体系の特徴として依頼の難易度に対して報酬が設定される、指名依頼なら話が変わることもあるのだが大抵の場合知り合いなので吹っかけたりすることもないので稀なことだ。


そして彼らはカーバン一家のとらわれているであろう部屋にたどり着く。


「ふむ、やはりカーバン…あなたの仕業でしたか」


中にいたのは上等なスーツに身を包む老人、年老いて頭は白く染まっていながらも姿勢が良く肉体的な衰えは感じさせない。

それが三匹の化け物の後ろにたっている。


「どの業界もやっぱり上の人は品が良いものですね、ところであなた方が彼方 紡の殺害を企てた事に対してお伺いに来たのですがお時間を頂いても?」


組織の頂点から下部にまでこの一件の廃止を宣言してもらう方が楽なため話が通じそうなため矜持は語りかける。


「ええ、私も死にたくありませんから仕方ありません…たった2人で荷物を抱えながらこの短時間で我が組の制圧…どう考えても翼階級ですしね」


比連職員には自衛のために犯罪者を殺害する権利が与えられている、もちろん始末書は書かなくてはいけないが対組織であれば危険な仕事なので背後から襲われる事を危惧して、などと適当で簡潔であっても受理されやすい。相手が暴力団相手なら尚更であるため容赦なく殺すものだ。


「今回はやりすぎでしたね、大人しく社会不適合者の受け皿と思想家相手の抑止力としての側面を保っていれば俺たちが動く事もなかったでしょうに」


そんな事情にありながらも彼ら暴力団が滅びない理由はそこにある、師匠と共に闇を見てきた矜持とクオリアには当たり前の事だが知らなかった紡とイオリには衝撃的な発言だった。


「刺激が欲しくてね、賭け事をしていたんだよ、私は負けても良かったんだが幹部の奴らがうるさくてな…」


「組織の解体処分は確定ですが紡の件の撤廃、よろしくお願いしますね、それがあなたを見逃す条件です」


「ああ、約束しよう…ついでに私を殺そうとするであろうカーバンからも守ってくれ、でないと彼方くんの件をどうにもできないからね。

彼女とこれらを再開させるつもりなんてなかったものだから」


誰もイオリの家族構成を聞いていなかったためそれがどの様な化け物かわかっていなかった。

イオリ自身はそうではないと信じてあえて何も言わなかった。

だが今の言葉で理解した。


目の前にいる肌が焼けただれ筋組織剥き出しで体から炎を噴出している男性も、ぶくぶくと肌が膨れて歪になった体に水を纏っている元の性別がわからない人型も、白眼を剥きながら時おりカクカクと体を震わす焦げた子どもだったであろうそれがイオリの家族であったと。


「命を助けてもらう礼として彼らに君を襲わせる事はしないでおこう、もっともこれらがどれだけ戦えるのか研究段階だったんだがね」


その異形と魂の在り方から彼らは精霊の力が暴走している、無理やり精霊を埋め込まれたのだ。

怒りを必死に抑えて情報を聞き出す。


「幸福の徒…か」


「よく知っているね」


後ろでイオリが膝から崩れ落ちる音が聞こえる。


「タイミング…機嫌よかったみたいだな、こうなる前に防げたらよかったんだろうけどこうなったら対処できたのは一握りだ」


「そうね、対処もわかりやすいし本当に良かった」


矜持とクオリアが3人(・・)に向かって歩み寄り


矜持はその手に新しく刀を作りだし構える


「やめて!お願いやめてぇええええ!!」


イオリの叫びを背に受けながら矜持はその刃を振り下ろした。



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