その一撃は
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俺はルイスに対し不用意に近づけないが奴もあんな威力の魔法を使い続けられる訳がないと思い牽制を続けていた俺の耳を叫び声が叩いた。
「レントォオ!お前は!何の道場に通って何を習った何者だぁあ!」
驚きでビクンと背中が跳ねたのが恥ずかしい、答えなんて石動道場で剣術を習った剣士に決まっている…あぁ、そういう事か
「俺は!石動道場で剣術を習った!剣士だぁあ!」
最初から言われていたじゃないか、俺の魔法は俺の戦いと相性がいいと戦い方を変えなくていいと…目先の勝ち方に囚われて小手先の技に頼ろうとしていたのがダメだったんだ。
俺はちゃんと型を学ぶことはしなかったけれど師匠にもらった戦い方がある…それをまっすぐ貫くべきだったと、気合を入れなおすために今まで秘密にしていた第三段階を展開する、昔師匠がしていたという白いハチマキ…それに恥じない戦い方をすると剣に誓う。
「いざ!推して参る!」
全力で、全開で、制御できるかわからないほどの強化を体にかける。
「今さら名乗ったところで変わらんぞ!根性論で簡単に差が覆ると思うな!」
「残念だったな!たった今からの俺とさっきまでの俺とでは魂の強さが違う!根性論を舐めるなよ!」
啖呵をきって一歩踏み出す、その瞬間…俺は地面にキスしていた。
踏み込みの足が強すぎて地面にめり込みそのまま前に進もうとしたため思い切りずっこけたのだ、しかし地面よりも圧倒的に硬い今の体には傷1つ付けられない、それに何より今の一歩で感覚を掴んだ。
故に再び開いた20mの距離を一気に詰めにかかる
「なにぃ!そんな馬鹿な方法があるか!」
ルイスの使う魔法を多少くらいながらも剣で弾き剣を盾にし、避けることなく突き進む。
「あるんだよ!そもそも俺たち剣士本来の戦い方はこれだったんだ!剣で戦ってこそなんだ!」
きっと魔法が使えるルイスにこの泥臭い戦い方は無縁だっただろう、どこまでも突き進むしかない愚直な剣の在り方は
「ならば俺の剣で完璧に打ち負かす!」
そう言ってルイスは明らかに届かない距離で剣を振るう、何をしているのかわからず見ていた俺の右腕が凄まじいまでの痛みを訴えていた。
右腕が動かない、という事は本来なら切り落とされるような攻撃を受けたということ…
斬撃の拡張に大砲のように太い魔法、『殲滅』という二つ名…ルイスの魔法は攻撃範囲の拡大だろうとあたりをつける。
右腕が痛い、絶望的なまでに痛い…その痛みに隠れて脇腹まで痛むがまだ意識を失っていないということは肋骨で止まったんだろう、強化魔法が切れても終わる…この痛みも凄まじい…さらなる加速を求めて先ほどよりも慣れた力加減で走る。
「なぜ今のを食らって終わらない!?」
驚くルイスに本来の答えを言うなら強化魔法のおかげというべきだと思う、でも今俺を突き動かしている感情を答える方が正しいと心が訴えてくる、だから
「気合と根性を舐めるんじゃあ!ねぇええええ!」
左腕だけで巨大なバスターソードを振るう、いつものように振ってもただ遅く弱いだけになるから…無駄のないように最速最短で最も有効な振り方で!
昔から型をうまくできない俺に師匠が教えてくれた何を目的に剣を振るうかを体現する、まだまだ未完成までも名前を借りよう。
「石動流・無拍子の極み『無間』」
巨大で無骨で禍々しいバスターソードで放たれた一撃はコンパクトに流麗で清らかな一撃にてルイスを切り伏せた。
「石動流・無拍子の極み『無間』」
レントの放った技はかつて見た拳の一撃とは動きそのものは全く異なるものだがそこに宿る理念から矜持の記憶を呼び起こした。
「あんたが『武神』らしいなぁ、ちょいと俺と闘ってくれやしないかい?」
護衛の仕事をする上で抑止力として身分を明かしていた師匠に噛み付く老人というのが第一印象だ。
だがその老人の実力は確かだった、純粋な武術のみで闘いに応じていた師匠がその『無間』と称した無拍子に咄嗟に仙術を使い肉体を強化して弾かざるを得なかったほどに。
それを手加減されていたと怒った老人は怒り、自身の武を侮辱され負けたのならば死ぬと言った。
でも俺はその技が欲しいと思った、死ぬ前に教えてほしいと、俺に力をくれと不躾にも幼い俺は頼み込んだのだ。
師匠に対しても失礼な話だっただろうが俺はその頃がむしゃらに強さを求めていた、強ければ全てを救えると勘違いしていた。
「なんだぁクソガキ、武神様の弟子なら俺の技くらい簡単に覚えれるとでも思ってやがるのか?ああ?」
その答えは当然だろう、でも諦めなかった。
「違う!凄い技だと思ったから!かっこよかったから俺にあの技を教えて!」
馬鹿みたいに足にしがみついて頼み込む俺に舌打ちしながらもその人はその技の理念を、打ち方を教えてくれた。
「おい坊主、お前才能無いな」
「知ってる、でもやる」
事実を突きつけながらも丁寧に教えてくれたおかげで基礎のしっかりできていた俺はおかげで2週間ほどでモノにした。
護衛依頼が終わった師匠に仙術ありでその技を使って一撃くらわせたあとは思わずその老人『石動源逸』さんとハイタッチを交わすほどにお互い喜んでいた。
別れ際の言葉もはっきりと思い出せる
「死ぬのはやめだ、この歳だ、どうせ老い先短いならガキを育ててみるのも…いいかもな」
「ならいつか源逸さんの弟子とも闘ってみたい!」
「バーカ、軽くしか教えねーよ、てかお前は奥義伝授したんだから師範代だろ。ただそうだな、もしお前にぶつけて面白そうな天才が現れたら思いっきり育ててやるさ、凡人少年」
「楽しみにしてます!」
フィールドの上に一人佇むレントを見る、強化されまくった体の動きに順応したセンス、魂の強化が魔力も身体能力の強さに直結して倍速で強くなる成長速度、最高の動きを勘で導く才能、逆境に強い心。
まさしく天才がそこに立っていた。