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勝ち目

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@hiyokurenrisks


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「では双方意気込みをお願いします」


フィールド上のレントとルイスにマイクが向けられる。


「絶対に勝ちます」


動揺せずにレントははっきりと告げた、それに対しルイスもまた力強く答える


「俺が勝つに決まっている、そしてこいつが金羽に相応しくない…いや、俺こそが金羽に相応しいのだと知らしめる」


そう答える彼の表情にはどこか影がさしておりきっとそれは彼なりの譲れない何かがあるという事なんだろう。


「二人とも闘志は十分という事なので早速初めて行きましょう!ルールはどちらかが降参または気絶で終了のデスマッチ!両者が位置についたところで、試合開始シィイイイイ!」


距離にして約30mやや長めのこの距離は魔法使いのためのもの、その距離を縮めるためにレントが走り出すと同時に魔力弾を撃ち出す。


対するルイスの方は冷静にそれを避けながら掌に火種を作りレントの方へ向けると、巨大な炎の柱がレントへ向かっていく。


その太さは尋常ではなくレントは横へ飛ぶ事で回避しながら魔力弾をルイスに向かって放つ、次の魔法を準備していたルイスだがそれに気を取られ掌に集めていた水が消える、掌に集めてから放つという行動が共通のため火も水も先天魔法ではない、それであの威力となれば相当の実力である。


「どっちもすごいな!これが比連のエリート組になる比連校の生徒か」


「あの2人は割と特別だけどな、ルイスの方もたしかに金羽になれるだけの力あるんだろうけど…経験のせいだろうな」


ルイスが上に上がれない理由を矜持が簡単に答える。


「経験だったらレントくんの方も変わらないんじゃないのか?同期なんだろ?」


「仕事の経験っていうよりやばいやつに挑む勇気があるかってとこかな…その点レントは実際に自分より巨大でその時のレントの階級からしたら考えられない相手を倒した実績があるし今後似たような状況になっても冷静に対処できるだろうって事だと思う」


「はぇー、確かに普段いくらできても本番に弱いと意味が無いからね。

じゃあ今ってレントくんが優勢?」


「今のところ互角にやってるけど…正直不利」


バッサリと切った矜持に紡は驚く、レントは確実に少しずつだが相手に近づいているし魔力弾による牽制は出が早い分よく効いているように見える。


「どうして不利なのか聞いても?」


「簡単に言うとあいつはあくまでも剣士だから、今みたいに魔法を使った戦闘が長く続くと慣れない魔力の使用で分配がうまく行かずにやられると思う、逆に相手はその辺の配分をしっかりできてるはずだから…かな」


理屈はわかるが相手の方が大技を使っているのだから相手の消費の方が早そうに見える。


「ルイスくんの方がすごい魔法使ってるし魔力使ってるんじゃないかい?」


「見た目上はそうなんだけどな、護衛の仕事の関係であの辺も探知範囲に入れてるんだけどルイスは相当上手い、無駄に放出してる魔力がほぼ無いのに対してレントの方は撃ち出す時にも無駄に散らしてるしレントの方が使ってるかな」


翼階級としての矜持の言葉なら間違いではないはずだと紡もここでようやくレントがピンチであるとわかる。


さらにそこでレントが土魔法で作られた穴に落ちないように移動していたのがたたり近づくほどに避け辛いルイスの巨大な水流に飛ばされまた15mほどの距離ができる。


「そうか…近づかないと攻撃できないのに近づくほどに相手の攻撃を避けるのに使える時間も空間も無くなってくなんて…かなりやばいな」


「それならそれで離れてまっとけば良いんだろうけど…その対策もあるはずだしな」


冷静に話す矜持に聞いていいのか悩んだ末にどうしても気になったことを紡は聞く


「レントくんに勝ち目って…ある?」


「ある」


「よかった〜、これで無いとか言われたら俺がショックだったよ、会った事もない相手だけど応援したくなるね彼」


会場全体のムードもレントへの応援に傾いている、それはルイスが嫌われているだけかもしれないが。


「ただ…今のやり方じゃ勝てないんでレントがそれに気づかないけど」


「そうか…それって教えたりしちゃダメなの?」


「んー、いいのかもしれないけど」


紡の耳に口をよせ小声で続ける


「翼階級が口出しするって卑怯な感じしない?向こうにも勝てる方法教えてあげれるのにレントにだけ教えるって…」


パチンっとデコピンが紡ぐの指から放たれる。


「バーカ、立場がどうこうとか取っ払って助けるのが友達だろ。

立場の事で友達があまりできなくて苦労してるなんて言いながら距離作ってるの矜持の方じゃん、いっそバラしてみたら?友達としてアドバイス上げてきなよ」


そんな簡単な話ではない、矜持が心の底から願うより多くの人が救われるという事に対して必要なのは人数だ、だから翼階級の自分がいると分かれば頼る人が出てきてはいけないため隠すことはやめられない。

でもそれだけじゃないのも確かで友達としてできることもやるべきだ。


少し悩んだ末に出した答えは


「ヒントだけ出してくる」


そう言うや否やあまり目立たないようにと少し離れた席を取っていたため少しでも時間が惜しいという風に駆け出してフィールド付近まで行った矜持が叫ぶ。


「レントォオ!お前は!何の道場に通って何を習った何者だぁあ!」


攻めあぐね近づくそぶりを見せて魔力弾を放つなどをしながら中距離戦を行なっていたレントの体が驚きでびくんと跳ねる。


だが次の瞬間には口元に笑顔を浮かべていた。


「俺は!石動道場で剣術を習った!剣士だぁあ!」


そう叫ぶとさっきまで無かったハチマキが額に当てられ長い結び紐が背中側にはためいていた。


制服に登録された第三段階、今までレントが見せていなかったその姿に矜持は見覚えがあった。


剣を構えたレントが言い放つ


「いざ!推して参る!」


その姿はかつて師に挑んだ老人の姿に重なった。



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