決闘準備3
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トレーニングルームにて炎、爆発、石つぶて、弾丸の雨をかいくぐり進むレントの動きは昨日と格段に違っていた。
「おおおおお!!っらぁ!」
50mを進み切っていたのだ、エリアスはフィールドが土ではないため大技が使えないがクリスとその精霊のフィン、狙撃が本業であるとはいえ正確無比な射撃を行う悠里の弾幕を突破して50mを踏破した。
そしてそこからはレイピアを扱うエリアスと銃剣を扱う悠里の相手までを行う…が到達するまでに悠里が狙撃とクリスの爆撃が与えたダメージにより動き辛い角度を徹底的に攻められ勝利には至れない。
「だぁあああ!また負けた!」
首に銃剣を突きつけられて後ろ向きに倒れこんで悔しくてたまらないという風に叫ぶ。
「大丈夫ですよぉ、近づけもしなかった昨日に比べたら大きな進歩ですよぉ」
それを治療する為に近寄ったシスカが頭を撫でながらレントの体を活性化させ傷を治していく。
「まさかレントが魔力弾を使うなんて思わなかったわ…たしかに牽制程度なら十分よね」
そう、レントが昨日と違うのはレント側からも遠距離から干渉できるからだ。
同じ量の魔力でも火傷を起こせる炎や感電させられるうえに防ぎにくい雷、フィールドに干渉できる水、しばらく残り続ける氷、そのどれよりも弱いただの魔力の塊だが撃ち出すだけという点でレントにも扱える。
「昨日必至に考えたんだよ、付け焼き刃でも勝つためならなんでもするさ」
「あまり根を詰めて明日動けないとかはダメですよぉ」
真剣な表情を見せるレントだが学生同士の戦いに思い詰めすぎのようにも感じて心配になる。
「大丈夫大丈夫、あいつには絶対矜持に謝らせてやるって決めてるから」
「レントが負けたらどんな事言われるのかもちょっと楽しみよね〜」
エリアスもシスカの考えとレントの状態を察して茶化す。
「おま!エリアスさすがにそれは酷いだろ!」
「だってこっちが謝ってほしいって要求なんだから向こうの要求だってそれに釣り合う程度のものなんだし、いつものようにレントが困るだけだし?ね?楽しそうでしょ?」
勝負の景品は釣り合わなければそもそも成り立たない、だからもっと気を抜けと暗にエリアスはレントに伝える、それが伝わっているのかそれとも単にそのやり取りでなのかはわからないが少しだけ弛緩した空気になった。
「肝心の矜持さんは明日来るのでしょうか?」
「護衛だなんて…凄いですよね」
「たしかに凄い事ですけど向き不向きの問題もあります、クリスさんは護衛は無理でも広範囲攻撃が必要な場面なら凄まじい力を持っていますよ。レント君の影に隠れてますがクリスさんもエリアスさんも銀羽なのですからもっと自分を誇ってもいいはずです」
たまたま周りにいたのが凄い人ばかりだから自分の評価が少し低めなクリスに対して仕事していく中でクリスよりも経験を積んでいる悠里は正しく評価する。
「そう言ってもらえると…嬉しいです」
悠里はお世辞などが苦手で事実を事実とはっきり述べるため嘘ではないとわかるためクリスも素直に喜べる。
人付き合いが特に苦手な2人だが何気に揃うと相性が良かったりする。
「矜持、これなんて似合うんじゃないか?」
「そうなのか?俺ほんとに服のことは全く興味無くてさ」
「俺はこの仕事してるからってのもあるけど結構好きなんだよ、自分が着るのも他人が着てるのを見るのも。
ストーカーにあうようになってからまともに外に出て出るのも危険だからって止められてたし今日はとことん付き合ってもらうぜ?」
護衛対象とその護衛という関係を超えて既に友達と言えるような関係である2人は紡の方が軽く変装してるのもあり、ただの仲がいい男達が並んでいるという様相になっていた。
ひさびさに街を散策するんだと人の多いところにもどんどんと紡は進んで行くがその姿は本当に楽しそうだし綺麗だと思った服装の人には
「その服超似合ってると思う!」
なんて話しかけるところからも本当に人や服が好きなんだろう、そのまま服装について話しこんだり最近好きなアーティストの話なんかもよくしている。
アイドルとして活動する上で流行りなどは直に聞いてまわりたいというこだわりがあるらしい。
一方で矜持の方もまた紡の方に意識を割きながらも親とはぐれて不安そうな子どもを見つけたら自身で軽く探したり近くの比連職員に預けたり、落し物を拾ったりと出来る限りの比連職員としての活動もしている。
「やっぱ紡はすごいな!ほかのアイドルってそんな事してないんだろ?」
「矜持だって戦闘専門なのに警邏隊みたいな事してたし困ってる人によく目が向いててすげーよ」
実際に目で見る事でお互いへの尊敬を高めていた。
自分にできない事を当たり前のようにやる存在、矜持にとって紡はアイドルとして多くの人に希望を与えるある種ヒーローのような存在であり、紡は矜持のように強い力を持ちながらも謙虚でいる姿に作曲のインスピレーションを受けていた。
ただ…万が一パパラッチに写真を撮られたら問題になるという事で少し離れたところからそれを見ているだけのクオリアとしては若干疎外感を感じていた。