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決闘準備



「俺魔力無いと思ってたから魔法のことなんてなにも知らないぞ?」


レントのその絶望的な言葉からルイスの魔法に対抗する手段を考える能力をつけるためにトレーニングルームに『スピリッツ』は集まっていた。


「矜持とクオリアさんがいないのは辛いわね…あの二人なら短期間の練習でも勝てる方法見つけてかもしれないのに…このタイミングで指名依頼が来るなんて…」


「いえ、それは無いかと、仮に短期間で劇的な変化を起こせたとしてなぜできたのか説明を求められれば二人の正体に行き着きやすいくなりますから」


それもそうだと納得したエリアスは頭を切り替えてレントのために講義を始める。


「まず最初にだけど先天魔法以外の魔法を扱う場合には使いやすい魔法はある程度決まってるからそれから覚えてね」


「押忍!」


「一番簡単なのは火と水と土 、よく目にする現象でどういうものかイメージしやすくて魔力と同じ不定形のもの、2番目の少し難しいのが風と雷と氷、現象として目にする回数が少なかったり手順が多いもの、最後にかなり難しいのが闇とか光とか抽象的なもの」


「光って抽象的なのか?電気とかあるじゃ…あ」


自分で言っていてレントは気づく、光とはそもそも炎や雷から出ているものであり光だけを得るというのは過程を無視したものであると


「そういうこと、光っていわれたら光源を作ることになるんだけど魔法の場合破壊力を持つ光とかあるのよ、炎や雷と違って光だけで破壊力があるもの、それが抽象的なものの具現化、もちろん説明したもの以外にも簡単なものも難しいのもあるけど基本はこのくらいかな」


「それでルイスはどんな魔法を使うんだ?」


長期的に見ればさらに詳しく聞いた方がいいのだろうが今は目先の戦いが優先であるとレントは先を促す。


「いろいろよ…火、水、土は見たことがある、風とか氷ももしかしたら…ってレベル…」


「何だよそれ…対策とか取れないだろ…」


改めてレントは自分が絶望的な状況にいると思い知らされる、魔法への対抗策がないのに相手は様々な魔法を使いこなす。耐火性の服を着ても押し潰され、鎧を着ても土魔法で沈められるだろう。


「そうよ、だからほぼほぼ詰んでるの、でもそれぞれの魔法に対しての対処法は一応あるから何ができるか考えてかないと勝負にもならない」


炎や雷の伝播する系統を剣で受けてはいけないが水や土は受けれる、複数の魔法を使えるなら組み合わせた何かもするはずだと想定される使い方を考えるがやはり決め手は炎と雷への対策となった。


「耐熱性で絶縁体のグローブにできれば服と靴を履いてそれを絶対に破らせない…か」


言葉にすれば簡単だがどう考えてもほぼ不可能な対策しかできなかった、だが方針が決まればそれでいい。


「よし!じゃあ早速特訓だな!4対1で俺がみんなに近づければ勝ちってことで!」


「そうね、特にクリスの攻撃は参考になると思う、広範囲攻撃への対策として」


「が…頑張ってレントさんを倒します!」


「怪我しても私が治しますぅ」


「相手の実力が割れていないならとりあえず全力で相手をさせてもらいます」


自分で言っておいて後悔したレントだが時すでに遅く、50mの距離を20mも詰めることができずにボロボロになりシスカの魔力切れまでその日の訓練は続いた。




少し時は遡り矜持たちの方では


「あんまり仕事回って来ないって話だったのにセラフェリアはそんなに人手不足なのかな?」


「んー、どうだろ…かなりレベルの高い仕事で防衛の分の戦力割きたくないから遊ばせてる私たちに頼んだのかもしれないし、そもそもその仕事をあんまり回さないっていうのが私たちに適応されてるかも怪しいから…」


そうだ、あの顔合わせの時矜持たちの方には目を向けられていなかったのだから適応されていなくてもおかしくない。


「まあもうすぐわかりますよね…」


「そうね、なんたって比連校と本部なんて目と鼻の先だもの」


事情がわかるまでは気負いすぎても行けないと2人はのんびりと本部へ向かう、2人とも相合傘のことが頭をよぎったが結局人目があるところでは恥ずかしいからと互いに言い出せずそれぞれさして並んで歩いている、そんな事を考えているあたり本当に呑気なものである。



本部受付に案内を受けた会議室へノックをする。


「どうぞ」


中から聞こえたのは先程話していたこちらに目を向けなかった例の槍使い、クルト・ヴィエルの声


「失礼します」


「失礼します」


挨拶をしてから中へと入る、部屋の中にはクルトともう一人…若い男性がいた。


「まあとりあえずかけてくれ」


クルトの指示で対面の席に座る、二人が座ると同時にクルトが要件を切り出した。


「君たちに受けて欲しい依頼は一言で言ってしまえば護衛だ、でも護衛だとバレないでほしいという本人の意向から一緒にいて怪しまれないように…と考えた結果同年代の君たちが選ばれた」


「依頼主の彼方(かなた) (つむぐ)です、アイドルやってるんですけど最近ストーカーにあってて…それでも活動を衰えさせるつもりも休日の散策も辞めるつもりは無いんでよろしくお願いします」


にこやかに告げるが人のいる場所にどんどん出て行くというその発言は護衛する側からしたらたまったものではない。


だが彼らは正直慣れていた…だから


「「こちらこそよろしくお願いします」」


特に不満も言わずに依頼を受けるという意思を示した。


「あれ?もっと文句言われると思ってたんですけど…助かります!ほんっとありがとうございます!」


矜持とよく似た漆黒の髪だが前髪など全体的に長めに切っていて綺麗な金の瞳、アイドルらしい細身の美形で少し近寄りがたいかと思っていた印象を一瞬でひっくり返し心の底から嬉しそうに笑顔を作った。


「まあ昔から何かしらの世界で少しの間王族の護衛とかやってたんで無茶振りは慣れてますよ」


「子ども同士だと使用人とか友達として振る舞えるんで昔から色々やってきてるんで問題無いですよ」


矜持とクオリアの頼もしすぎる答えに紡の方が萎縮する。


「す…凄いですね…」


幾つの頃から働いてるんだとかどんな経歴なんだとか色々言いたかったが思考が追いつかないのでアイドルとして培った綺麗な笑顔で声だけは引きつらせて当たり障りのない答えを返していた。



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