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梅雨だから

日常編何話か投稿したんですが閲覧数がガクンと下がってました。でも書きたいのでこれからも書くと思います。



梅雨入りにより雨の日が続いているため朝だというのに薄暗い空が広がっている、雨が特別嫌いという事もないがやはり太陽の光を浴びれないというのは少し気が滅入るものだと思いながら家を出ようとする。


「矜持!いってきますのハグは?」


「あ、忘れてた」


そう言いながら腕を広げる、すると待ってましたとばかりに姉の摂理が抱きついてくる。

身長は大人の割に小さいが胸のおもちは立派でありそれを押し付けるように抱きついてくるため嬉しくも気恥ずかしさがあるのだが断ると落ち込ませてしまうため決して断れない。


「姉さん…長くない?」


しかし流石に長すぎると指摘くらいはする。


「もうちょっとだけ…一緒に寝れる祈理やラティファと違って私はキョウジニウムが不足しがちなの」


「矜持が無いって精神的にすごく弱そう…なら仕方ないか」


「そうそう…仕方ないの」


すっかり慣れたこの行為だがいくらやってももういいやとはならないのはたまに矜持が仕事で家をあけることと職種が命を落としやすい業種であるせいだろう。道場に通うようになって矜持からも指導を受けるようになった祈理もしっかりした部分や芯の強さを見せるようになってきたが甘えん坊なところは変わっていない。


「うん、補充完了!いってらっしゃい!」


「行ってきます!」


元気よく返事したはいいが外はやはり雨、姉とのハグで多少持ち直したと言ってもやはり気持ちに影はさす。


「太陽もはやく機嫌なおしてくれたらいいんだけどな」


そんな事を呟きながら比連校へ向かった。




「あー…イライラする…いつまで梅雨なんだよ、はやくあけろよ」


「この前梅雨入りしたところなのに何を言っておられるのです坊ちゃん」


サラサラの金髪に青い瞳、貴公子然とした少年に老紳士の2人が広めの屋敷にて会話をしている、少年の身を包むのは比連の制服


「本当に気に入らんことばかりで嫌になるな」


「ハッハッハ、それも若さ故という物です。梅雨はどうにも出来ませんがもう一つの方ならなんとかできるかもしれませんよ?」


心底楽しそうに老執事が興味深いことを言ってのける。


「もう一つ…俺が実力を正しく評価されるということか?考えはあるのか?」


「簡単なことですよ、坊ちゃんが実力を示したいのであれば訪ねてみれば良いのです。

入学後最速で金羽になった例の少年に」


「ふん…そうだな、最近は依頼も受け辛くて暇だったんだ、丁度いいな」


少年の名はルイス・ファッシ、銅翼の両親を持ち小さい頃から天才と言われ続けた剣と魔法を使いこなす才児だ。それ故に入学してから最初に組んだチームの面々の自信を粉々に砕きワンマンプレーに走りすぎた結果チームを解消されたやや訳あり物件、しかし比連という環境なら少年と対等な友達になれる人もいるだろうという執事の親切心からの提案が…この後の騒動に繋がってしまった。




「おはようみんな」


ここ最近は『スピリッツ』『ラフメイカー』がそれぞれ別に依頼を受けるようになってきたので4年のクオリアと悠里が一人にならないよう交流所よりも食堂の方で集まることが増えてきたのでそちらでみんなに挨拶して矜持が席に着く。


「おはよう矜持、今みんなで夏にどこか行かないか計画立ててたんだけど川辺でキャンプか宿取って海かどっちがいい?」


「んー、どっちもいいと思うからいっそどっちも行くっていうのは?」


比連校にも一応夏休みは存在する、授業が無くなり自由登校となるが普段通り施設使用と依頼の受理は可能となっている。

人手不足が懸念される時期であるため給料が割高に設定されているため割と大喜びで生徒達は依頼を受ける上に普段授業に出ている分の時間も依頼に回るのでいわゆる稼ぎ時だ。


「私はそれでもいいんだけど…他のみんな…特に悠里ちゃんが装備新調したいとかだったらちゃんと絞ってよね」


仕事に、命に関わる装備の為にお金を稼ぐ方が優先なのは当然だと頷いてから他の面々に向き直り意見をきく。


「みんな新調したい装備とかある?」


「ない!俺も遊びたい!」


霊の悪魔を素材とした禍々しいバスターソードを持つレントは切れ味が全然落ちないから楽だと言っていた。


「私も今はまだこのレイピアで十分かな」


エリアスも銅翼の親がいい値段の魔道具を買ってくれていたため性能に問題はない。


「私も…魔法主体なんで特には…」


「わたしも一緒ですぅ〜」


クリスとシスカは魔法主体であるため必要ない。


「私もこれまでしっかり貯めてきているので問題ありません…ただ1、2回は仕事をしたいですね。新作モデルの値段まであと少し足りないので」


「っし!じゃあどっちもって事で!」


「なあ矜持、というかみんなにもお願いなんだけどキャンプの方妹連れて行きたいんだけど…その、経験させてやりたいというかさ、それで矜持の妹もダメか?」


「俺のとこはたぶん大丈夫だけどみんなはそれでいいの?」


そうなると1人残される摂理が少し拗ねそうかもなんて事を思いながらも許可は出るだろうとすぐに了承して周りの意見を聞く。


「私はむしろ歓迎よ?キャンプ経験て後々活きてくるものだし」


自然に触れ合う体験をさせたいという意図で言ったレントに対し比連の仕事に便利だとズレた返事をクオリアが返しそれを皮切りに他の面々も肯定的な意見を出した。


そんな平和な空気に水を差す存在が現れる。


「見つけたぞレント・シャルカン、単刀直入に言おう、俺と戦え」


「急に現れてなんだよ、ていうか誰だお前」


「俺の名前はルイス・ファッジ!お前よりも金羽に相応しい男だ!」


他にも人が沢山いる食堂の中、堂々と叫ぶその姿は痛々しいはずだが、どこか様になっていた。

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