兄妹たちの日常
「おかあさーん!レントが私の裸覗いたー!」
夕方シャルカン家に少女の嫌悪の篭った声が通る。
「そこはキャー!とかじゃねーの?」
「いや、ただただ気持ち悪いけど叫ぶとかじゃないかな…兄妹だし」
脱衣所からレントへの嫌がらせで母親に報告するために顔だけ出した状態のエレナと最近家を空けていたからエレナが道場から帰ってくる時間なのを忘れて締められている脱衣所の扉をノックもせずに開けたレントが普通に会話している。
「まあ…そういうもんだよな…兄妹だし、この前チームの人の風呂覗いた時はやばかった…寝ぼけてたし覚えてないけど」
「え、なにレント本気で覗きしたの?通報する?あ、矜持さんに会える!」
「いやいやいや、矜持に会うためにいちいち俺を悪者にすんなよ。お前が会いたいって言えば普通にあいつ来てくれんだろ」
「脱衣所からなかなか離れてくれない変態はふつうに通報したい、私早く服着たいんだけど…
あと男の人に会いたいって言うのハードル高い」
「すまん…気が利かなかった、お詫びに明日にでも矜持家に呼ぶわ…あー、ゲームでもしようってことで」
「ん、許す」
少々ドライだが普通に会話ができていると少しだけ喜びを感じながら今日も覗きを起こしたレントだった。
一方士道家では
「お兄ちゃんお風呂入ろ!」
「もう11なんだから男の人と入っちゃダメだろ?」
「あ、私も一緒に入る!」
「姉さんに至っては19だろ!?てか俺は入らないからな!」
「まあまあ、せっかく兄弟姉妹全員揃ったんだからいいじゃない」
「3人で入るには狭いからぶつかるのには気をつけるんだぞ」
今日も今日とて四面楚歌の状況に矜持が追いやられていた。
「俺もと姉さんはまずいだろ!」
どうにか摂理と入るのだけは回避しようと必死に頭を回す矜持の視界に祈理の横でチラチラとこちらを伺う少女がいる。
祈理と仲がいいからとずっと家に置いている契約精霊のラティファだ、活路はここにしかない!
「祈理とラティファと一緒に入るから、さすがに4人は無理だし姉さんは1人で入ってくれ」
「矜持!待って!お姉ちゃんにも構って〜!」
長い間家を空けすぎた1番の弊害はこの辺にありそうだと少し疲れながらも摂理とも今度出かける約束を取り付け、家族の笑顔を見るたびに嬉しくなってしまう自分自身も周りには負けるが家族愛が強い部類なのだろうと矜持は苦笑を浮かべた。
おまけ
サーク家(翼階級のサメ三兄妹)
「メリルゥゥウウウ!今度のメイド服はピンクを基調にしたぞお!どうだ!?着ないか!?」
「だからメイド服を着たくないんじゃボケェ!」
「あ、メリル飯まだ?」
「今日の当番はダリルでしょ!」
「ダリル!もうこの際お前でもいい、メイド服…着ないか?」
「自分で着てろや、案外似合うんじゃないか?ハリル」
「その筋肉にメイド服なんてやめてよ気持ち悪い、本気でやめてよ?ねぇハリル?目が腐る目が腐る!私が着るからぁあああ!」
うるさかった。