あさまさま2
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「こ、こんばんは2人とも…あさまさまのシステムから管理者のアクセス回数の多い場所まで完全に調べ上げたよ、場所まで調べるのは大変だったよ」
ヒカルの声は疲れが滲み出ている、マスクをしていないのか声はいつもより澄んでいるがそれでも淀みが出ている。
「こんばんは、かなり疲れてるみたいで悪かった…帰ったらなんか奢るよ」
「こんばんはヒカル、頼んどいて言うのもなんだけど休みもしっかりとってね?」
そんな声を聞かせられればこの2人は当然ヒカルを思い遣るがヒカルからすれば基本的に睡眠はしっかりとるが作業が波に乗っている時は気づいたら飲まず食わずで丸一日作業なんて事もあるため疲れたは疲れたがまだまだましな部類でこんな風に言ってもらえると思っていなかったので催促したようで自分の発言を少し恥じる。
「いや、その…疲れたし大変だったけどもっと大変な事してるから大丈夫というか何というか…気にしないでくれる方が嬉しいんだが…」
「まあまあそう言わずに、友達なんだから何か食べに行ったりしましょ?みんな稼いでるんだからちょっとしたご飯くらいで支払いは細かいことは置いといて、ね?」
銀翼の中でも話を聞く限り矜持もクオリアも装備にお金がかからない完全自立タイプの戦闘スタイルであるため研究費にどんどんつぎ込む自分や装備の整備にお金が必要な人と比べるとかなり貯まっているだろうと推測する。
それに…友達とご飯は密かに憧れていたことだ。
「それじゃあ…好意に甘えるよ、よろしくね?それで話を戻していいかい?」
「ああ、頼む」
「あさまさまのサイトシステムなんだけど匿名で誰かにしたい嫌がらせを書くと管理人の元へ集められるんだ、その際に個人情報が抜かれている。
それで書き込んだ人同士に指令が飛ばされてるんだ、対象に親しくて怪しまれない人がだれかの代わりに嫌がらせをする。最低最悪のシステムさ」
これでは誰も信じられない、信じられるはずがない。それでも友達という関係が残っていたのが不思議なくらいだ。
「それでも仲良くしている子はいるように見えたわよ?」
クオリアも同様の疑問を持つ
「誰に対してもなんの行動も起こせないやつに価値がないからね、そうなると今度は自分があさまさまに何も頼めなくなる。
あさまさまに言いつけられる可能性っていうのがあれば自分はいじめられないだろうし表面上でも仲良くしておけばそれなりに楽しい事はある、普通の選択だと思うよ」
「それは…そうか…」
矜持にはすぐには出てこない発想だが納得はできる。
「それで…システム面はそれで終わりでいいのか?」
「ああ、でも他も関連してることが多いね。レントって子が言ってた嫌な感じだけどあれは超音波だね、判断基準が鈍ったりサイトの事がすぐ浮かぶようになるのが出てたよ、あのサイトを使えば使うほど深みにハマってちょっとしたことで書き込んでしまうようになるだろうさ」
わざわざそんな風に悪意を助長するとなるとますますそれの恩恵を得れる悪魔と精霊に犯人が絞られてくる。
「最後に魔法陣だが…あれは興奮作用がある、見たら冷静ではいられなくなるんだ」
レントも怒りを抑えきれずに撒き散らしていた、なかなか効果があるようだ。
サイトの事が頭から離れなくなりひらけば興奮してちょっとしたことでも書き込み、書き込んだ人同士で傷つけ合う。よくできたシステムだ…
「それで…そんなシステムを作ったのはどこにいるんだ?」
「地下だよ、学院の真下に丁度シェルター擬きの大空間があるんだけどその中だね。
言うまでもないと思うが気をつけなよ、たくさんの罠があるかもしれないし組織の可能性も高い、簡単に負けるとは思わないが時間と相性次第でどんな相手も倒せるのが魔法と科学だ」
ヒカルの言う通りハメ技上等なのがこの世界だ、それに加えてその位置どりとなればほぼ確実に厄介な精霊使いがいる。
「ありがとうヒカル、まあご飯食べる約束してすぐにやられるなんてそんなヘマはしないよ」
「そうね、問題はレントくんと悠里ちゃんをどうするかよね」
何が起ころうと矜持とクオリアなら対応できる、問題は残りの2人を連れて行くかどうかだ、経験を積ませるのなら連れて行くべきだがそうなるとレントには全てを知られる事になる可能性が高い、突入の仕方を悩見始める2人のところへ着信音が鳴る。
「悠里ちゃんからね、何かしら」
クオリアが電話に出ると焦った様子の悠里の声が聞こえる
「クオリア!すぐに来てください、緊急事態です!レント君が例の後輩に正体がバレました!その後その子は逃走、レント君が追いかけていますがあの子はおそらく黒です!」
正体がバレたで男だとバレたのかと思ったが比連である事がバレたようだ、それで逃走となれば…
「考えてる暇が無くなったな、すぐに行かないとレントが危ない」
「ええ、話を聞いてる間にもう繋いであるわ」
そう言ったクオリアの横には黒い穴がある、転移先は電話の線を辿った先の悠里の横だ。
制服を展開して2人はその穴へと足を踏み入れた。