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潜入開始



「なあ、ほんとに大丈夫だよな?こんな格好で歩いてて変な目で見られてないか?俺ただの変態になってない?」


「大丈夫、お前は今美少女だ、安心しろ」


どうしても不安が残るレントを矜持が励ます、だがその顔にはやはり笑いが溢れている。


「レンちゃん、矜持も今でこそこんなに太くなってるけど子どもの頃は細かったのよ、その時はちゃんと女の子の服を着せたら女の子に見えたわ」


「その話、詳しく教えてもらえますか?」


矜持の弱みを握れるとレントは目を輝かす


「詳しくねぇ…世界が違えば価値観も変わるでしょ?それで昔男性が不遇なところに行ったのよ」


そこは男性は手足を切り落とされて子どもを作るための種馬にされる世界だった。師匠達は完全に隠密行動に徹していた。


「その師匠達はとんでもないところに矜持を連れて行ってたんですね…」


さすがにレントも同情せざるを得ないほどの酷い状況だ。


「まあ、師匠達も比連の職員だし、たとえ比連に協力的でない世界や地域でも放っておくととんでもない魔物とか悪魔の温床になるから何もしないわけには行かないわよ…」


クオリアが歯噛みする、誰もが悪魔を嫌い、魔物を嫌い、平和を願い比連に加盟してくれれば管理はもっと楽になるはずなのだ。

しかし比連に加盟する際には比連側にいくらかの法的介入を認めなければならない。


その最たるものは殺人罪、第1世界にいれば当たり前に罪に問われるそれは世界によっては身分差によっては適用されなくなる、それを変えようと王族があがいても周りの貴族に足を引っ張られ、自身が暗殺されれば身分差を主張する貴族に国を乗っ取られるため下手に動くわけにもいかない。

そんな雁字搦(がんじがら)めにあっている友がいる。


「人もまた、悪魔の一種なのかも知れんな」


尊大な彼が涙を見せながら呟いたその言葉は今もクオリアの胸に突き刺さっている、それはおそらくあの場にいた矜持にも…


「空気が重いです、今から学校へ行くというのに全員がプレッシャーを放てば悪目立ちするでしょう」


少し重くなった空気を変えようと動くのは悠里、今すべきは目の前の仕事であると彼女ははっきりと見据えている。


「まあまあ、ちょっと空気が重くなったおかげでレンちゃんが自分の格好が気にならなくなったんだし結果オーライって事で」


「あっ!せっかく気にならなくなってたのに言うなよ矜持!」


「気にならないのは気にならないのでダメですよレンちゃん。歩き方と姿勢、それから口調には気をつけてください」


レントを茶化す事で場の空気が弛緩する、こんな時はレントがいると本当に助かると矜持は安堵する、それは紛れもなくレントの才能だ。


「レントがモテるのもわかるな」


気づくと口から感想が漏れていたが気づいた瞬間マズいと思う


「矜持!?レンちゃんが可愛くてそっちの道に目覚めたの!?」


「セラフェリアでは禁止されていませんので同性愛は否定しませんがクオリアを泣かすような事はしないでくださいね」


「男の子に負けるなんて…」


悠里の言葉のせいで神妙な雰囲気に見えるがクオリアは完璧にからかっているのがわかる。


「いや、そんな趣味には目覚めてないし目覚めたくも無いですって」


「俺も嫌だぞ、てかお前もモテるだろ矜持、俺の妹とかラティファちゃんとかちびっ子に…お前中等部の子の相手頼めねぇ?」


「それはモテるに入らないだろ、多少は手伝うけど俺の相手は教員で頼む…大人の相手ってのはしんどいんだよ、用務員だから両方に関われるけど話し相手になるのは大変そうだし、あと口調気をつけろ」


本当に今回の仕事はふつうにやるなら情報収集に難ありな編成だ、どっちかと言うと夜時間の隠密の方が本命だろう。


「矜持は一緒にいると安心できるからねー、吊り橋効果のプロじゃないかしら?ピンチの時に矜持に助けられたら安心感でコロっといっちゃう子多いと思うわよ」


「お前…彼女に言われるって相当じゃん」


「正直…自覚はあるからなんとも言えないけど、自覚が無い分お前の方が性質(たち)が悪い」


本当にエリアスやシスカの気持ちに気づかないレントの事が理解できない。


そうこうしているうちに学院につき校長のリッテルによって案内を受けた。



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