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潜入への下準備2

クリスマスってなに?私関係ないから知らない…イブも本番も仕事だよ



明日からの役割決めを終えて4人は男女に別れ眠りにつく準備を終えてベッドの中にいた。


「なあ矜持、俺って周りにどう見られてんの?男?女?なに?」


深刻そうな口調でアホみたいな事を切り出すレントに思わず矜持が吹き出す


「いや、言ってる事の意味はなんとなくわかるんだけどな…あれだよ、態度とか雰囲気に姿勢で男ってわかってるけどお前って男にしては小柄だし筋肉とかも付いてない上に顔も童顔だろ」


「ボロクソに言ってきやがったな…今まで知らないうちに魔法使ってたせいで筋肉ついてなかったんだよ、魔法なしだとあの剣背負ってるだけでもクソ重いしやってられない…ていうかエレナにも力負けする」


エレナにも力負けするのところで今日一番の笑いを矜持が叩き出す、実際エレナは狼耳などからわかる通り獣人の形質がよくでているため力も強いのだろう。


「コントロールの訓練が終わったとしても筋トレしないとな、無駄に魔力使うのもったいないし」


「腕立てがまともに10回もできなかったのはショックすぎて泣いたからなまじで…気合いれてやる」


「10回もできないって!お前俺の腹筋虐め倒す気かよはっはっは!」


「くっそ!お前笑すぎだぞこの野郎!」


2人がヒートアップしてうるさくなった頃、矜持が首元のリングネックレスに魔術的な道ができるのを感じる、クオリアからの合図だ、すぐに行こうと思ったが隣の部屋なので気をしっかり使い感知を行う。

異常はない、携帯にメールが届く


「うるさい、周りに迷惑よ」


申し訳ない…


「レント、俺たちうるさいってさ」


「あ…やっちまったな」


「もう寝よう、明日からお前は大変だぞ」


「お前ほんと許さねぇからな」


その言葉を最後にレントは寝た。

矜持はネックレスに魔力を流す、本来は魔力を流した側が相手のいる方角を知るだけのそれだが力の流れを操る矜持と魔法の達人であるクオリアの場合は違う。


相手の方角を知るということは2つのリングの間に魔術的な繋がりができるということ、身につけているリングならば意識せずともそれくらいは感知できる、それにより方角どころか世界を超えても互いのところへ向かえる単純にして絶対の通信機


向こうからも魔力が流される、お互いが起きているのを確認できたのでほんの少しだけメールでやり取りをする。明日からクオリアと行動するならこちらの自由度は増すが寮側に少し不安がある、その分こちらがどの程度力を使うかの相談だ。


サザナミの時に力を隠しすぎた事で後悔をした、今度はしなくて済むように


帰ってきた返事は


「全力を出しても構わないがわかったことは私と共有して、2人にどこまで話すかは一緒に決めましょ。大事にならなければ2人主体で解決した方がいいから」


きっとクオリアも同じ経験をしたのだろう、あれほど力を隠す事は大事だと言っていても使用を禁止はしない。

矜持としても安全確認は銀翼として、この依頼自体は銅羽として解決するつもりなので異論はない。そのあとは先程騒いだ理由などのくだらない話をほんの少しだけしてから眠りについた。




「やあや、よく来てくれたね…今日は別のコースにさせてもらうよ」


翌日昨日の店に着いてすぐにラッテルさんがそう切り出した。


「そんな事はどうでもいい、それより制服3人分に用務員証持ってきたから。昼食後着替えたら学校へ来てくれ、校内と寮の案内から始める。授業を受けるのは明日からだね」


ラッテルさんの言葉をリッテルさんがあっさりと切って予定を決める、後ろではラッテルさんが少ししょんぼりとしている。


昨日と同じようにクオリアが話を進めて行き食事は終わった。生徒も教師もいるはずのない時間のうちに理事長と校長と別れ着替えに戻る事にした。



「レント君…じゃなくてレンちゃん、肩を後ろに回して肩幅を狭めて」


「つま先を開けないで閉じた方が女の子っぽく見えるわよ?」


女装したレントに悠里とクオリアがダメ出しを、矜持が爆笑をしていた。


姿勢を言われた通りに直し、前髪をヘアピンで留めて女子制服を着たレントは特にメイクをしているわけでもないのに女の子にしか見えない


「スカートって防御力低すぎだろ…こんなのよく履けるな…」


比連の制服と違いネルパ女学院の制服はプリーツスカートであるためクオリアと悠里も履き慣れておらず、少々抵抗を示したがすぐに慣れたのに対しそもそもスカートを履かないレントは恥ずかしい気持ちとスカート特有の股や太ももに空気が触れる感覚に戸惑っている。


矜持は爆笑しながら写真を撮りエリアスたちに送信している


「お前後で覚えとけよ矜持!」


自身を笑い者にした矜持を後で酷い目に合わせると決めたレントが声を荒げながら矜持を睨む


「声ももっと高くしてもらわないとダメね、今のままだと普通に男の子だし」


「もう…好きにしてください…」


そう答えたレントの瞳には先ほどまで矜持を射抜かんと光らせていたはずの光がうつっていなかった。


「レント、大丈夫だ可愛いぞ」


「矜持、私はまだ感想もらってないわよ?どうかしら」


「もちろんクオリアも悠里さんも綺麗ですよ、レントとは比べものにならないくらい」


「馬鹿にした上に目の前でいちゃついてんじゃねーよバカァ!」


レントのこころからの叫びは最後に少しだけエリアスの口調に似せてありレントの努力が感じられた。

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