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顔合わせ3



「俺たちは全員前衛だから魔道具が大事でな、さっき魔道具の扱いが得意と言っていた君にお願いしいんだが」


「俺は自分ができることの中なら魔道具の扱いが得意というだけで浅井さんの方が上手いですよ」


「俺たちは魔法使いだから頼むことがあるとすれば成分調査などが主になる、先ほど君はそちらの方が研究分野にあっていると言っていたな、君に頼みたいのだがどうだ?」


「ああ、まあでも浅井さんの方がうまくやってくれると思いますよ?」


ひょっとこ面の浅井が比翼の鳥の面々に避けられているように『シャークバイト』も『KOO』もめんどくさそうだと避けられていた、しかし


「クオリア…あのひょっとこ面の人優秀みたいだけど…」


「そうみたいね…ふざけてるのかと思ったけど優秀ならいいんじゃないかしら」


「じゃあ、あの人で…」


小声で意見を纏めてから矜持が今度はしっかりと声を出す


「あの…俺たちは浅井さんにお願いしたいです」


『シャークバイト』『KOO』の面々から驚きと感謝の目が向けられる


「コホー…コホー…よろしく頼む」


ひょっとこ面の下からくぐもった声が出て『ラフメイカー』に浅井ヒカルがつくことが決まり必然的に残りの組も決まった。


「よし、決まったな…『KOO』以外のチームはこれまで連理の枝の職員で懇意にしている相手がいなかったからそのままでいいとして、『KOO』の2人には翼階級として活動が増える中で学生として活動するのが怪しまれないように学生同士で組むとこれまでやってきた相手に伝えてくれ、悪いな」


「いえ、こだわりがあったわけでも無いので大丈夫です。仕事上の関係ですから」


「そう言ってくれるのは助かるが君たち翼階級に任せる仕事量を減らしてまで比連校に通ってもらう意味ももう少し考えてほしいな…おせっかいかもしれないけど」


年上かつ実力も上のクルトさんに言われ少し眉を顰めながらもレガートは頷いた。


「じゃあ僕から今日の要件はこれまでだ、学生らしくこの後はみんなでラーメン食べに行くとかオススメするよ。

できるだけ君たちの力を借りない様にしたいと思うが…翼階級は貴重だからね…先輩として申し訳ないがよろしく頼む」


最後に少し悔しげにクルトがそう言って会議室から出て行った。


「え、これ行くの?」


ダリル君の言葉は的確に俺たちの気持ちを表していた。


「コホー…僕は帰らせてもらう…コホー…『ラフメイカー』、連絡先を伝える…コホー…連絡は年中無休で受け付ける」


浅井さん(ひょっとこ)が俺に名刺を渡し会議室を出て行く、名刺はかなり普通だった。


「僕らも人付き合いは苦手なので帰ります、専属のチームの方以外と関わることはなさそうですし」


連理の枝は全員帰ってしまう、全員が名刺を持っていたので連理の枝の方はそういうところをしっかりしているのかもしれない。


「んーと…ラーメンかは置いといてご飯は食べに行かないっすか?『ラフメイカー』の2人の事は何も知らないっすし」


「ああ、確かにな模擬戦もしてないから手の内も一切わかっていない。これから協力して行く上である程度は教えてもらいたいところだ」


メリルさんの意見にレガートが賛成する。


「いいですね、行きましょうか」


クオリアの同意により夕飯を食べに行く事が決まる。


「7人か…メイド喫茶なんてどうだ?」


糸目のハリルが目をキラリと輝かせて言う


「人数とメイド喫茶なんもカンケー無いだろ!」


ダリルがハリルにキレる


「ファミレスでいいのではないでしょうか、混む時間帯になって7人で入れなくなっては困りますから」


リーファさんの言葉でファミレスに決まり移動を始めた。




会議室を出てからクルトは安心していた。『ラフメイカー』の2人は至って普通の人柄だった、階級は組織に対する貢献度に比例する、それは戦闘力、対応力の保持から単純にこなした依頼の数と様々である。

だがクルトがもつ神槍などの様な冠位と呼ばれるそれは完全に戦闘力のみで測られる、基準は国1つ分の悪意の塊の魔物、国食いを単独撃破出来ること。

その冠位を持つ2人が常識的な人物であったのが本当によかった。


「その分他のところに少し問題児がいたけどな」


クククと笑みがこぼれる、レガートのプライドの高さと秩序の遵守は昔の自分に似ている、そしてダリルの方はそんな自分に人として大事な事を教えてくれた友人に…できるだけ彼らに危険な仕事を頼みたくは無いが一方で合わないと思っている相手と噛み合った時に得られる心の成長は与えたいと思う。


ひょっとこ面の浅井ヒカルも『ラフメイカー』が引き受けてくれた、何故か頼ってしまいたくなる雰囲気のある彼ならなんとかしてしてくれそうだ。


クルトの中で既に矜持とクオリアだけは庇護する対象ではなく同僚だ。

それ程までに冠位というものは重い、それが必要な仕事が来ることはほとんどないがそれが来た時、必殺の二文字を背負う、それこそが冠位。

それを持つ彼らだけは他の面子と別格であると


これからもし仕事を振る事があれば『シャークバイト』と『KOO』を組ませてタイプの違う相手との相乗効果を狙うか『ラフメイカー』とその他で同年代で圧倒的強者の影響を受けてもらうか…もし仕事を振るなら成長にいいのはどちらか…それだけが悩みだった。




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