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顔合わせ



毒に関する講義や罠の仕掛け方の講義などをうけているが眠い、授業というのはこんなに眠いものかと比連校に入ってから驚かされた。

それでも学びたい事であるのは確かなので何とか意識を保って起きている、具体的な方法で言うとハルディスの権能である夢の力で無理矢理寝れない状態にした。


講師の話では上の急な決定のせいで学校のシステムが急に変わる事が決まり大変らしい、講義の初めになかなか愚痴が入っていた。


まずチームの自由編成が決まったことにより他学年の実技授業の見学に行くものが増えたため座学の受講者が少し減ったらしい。

これが不要とされてるのなら構わないが受講したかったが引き抜きのために見学に出た生徒が結構な数いるらしく今受けている講義も再度行うし明日からは一旦座学は停止するらしい。


座学はもともと学年に隔たりはなく講義のレベルに合わせて生徒のレベルも上がっているため同じレベルの奴で組めばいいというのがこの先生の話だ。


今はふつうに毒の事を学ばせてくれてるからいいのだが技能の巧拙に関係なく魔法の相性が存在する以上他学年の観察をしっかりするのは正しいし前衛にしてもメインアタッカーなのかタンク役なのか斥候なのかで求めるものが変わるため見に行った方がいいと思う。


そんなわけで今比連校は割と落ち着かない雰囲気になっている。


そんな面倒に巻き込まれたくないため矜持とクオリアは一切実技授業に出ていない。

他にも面倒に巻き込まれたくないから出ないという生徒もいるらしいがこの新しいチーム編成の騒ぎがいつまで続くのか少し心配だ。


ちなみに実技に出ず座学にも出ない生徒でも依頼を受けてるわけでないなら比連校も学校であるため登校はせねばならずどうしているかというと、単純に依頼を受けたり地下で自主訓練をしている者から掲示板に掲載をして大食い大会やら麻雀大会などのイベントを開催していたりと様々だ。


なぜこんな遊びのような企画が普通に掲載してもらえるのは趣味を通して新たな出会いを得ることを目的としているから、なにかとほかのチームと組むことの多い仕事柄その時々で最適な組み合わせができるように遊びだろうが何だろうが繋がりは広げろというのがこの学校の方針だ。


講義が一番聞きたかった毒を受けた時の対処に移ったところで‘職員手帳’が震えた、指名依頼だ。


周りに職員手帳がバレないように確認すると書かれていた内容は招集、面倒ごとになりそうだ…



放課後矜持とクオリアは本部に来ていた。


「俺前まで支部にしか行ったことなくて本部のことすごいでかいって思ってたんですけ…思ってたんだけど慣れた気がしてきた」


「たしかに本部ってでかいのに慣れちゃえば気にならないわね、特に私は子どもの頃からちょいちょい来てるし」


ただの会話だが矜持が敬語を使わないように気をつけているのがクオリア的には距離を詰めてくれていると感じて嬉しそうだ。もっともその嬉しそうなのも矜持以外にはそれほど分かりやすいものでもないが


「まあとにかく集合場所まで行こうか」


「ええ」


本部受付に職員手帳を見せ案内してもらいたどり着いたのはいくつもある会議室の1つ、集合時間にはまだ時間があるため一番乗りだ、とりあえずやる事も無いので2人は椅子に座り待つ事にする、一応機密の話があるかもしれないので携帯の電源を切り大事な話の前に軽い気持ちでいると取られても困るので沈黙を貫く。


数分後入って来たのは眼鏡をかけた細身のエルフの男女


互いに軽い会釈をした。


その後はひょっとこの仮面をつけて白衣を着たものなど白衣の面々も入って来たがひょっとこの印象が強すぎて他は印象に残らないまま集合時刻となった。

最後に入って来たのは30代後半くらいの犬耳の獣人だった。


「えー、時間になったので話を始めさせてもらいます…が、まず最初に今日呼び出したのは顔合わせのためなんで力を抜いてください。職員手帳の仕様の関係で依頼って形になってただけでただの通知です」


その言葉で会議室ないの空気は少し緩んだ。


「今日集まってもらったみなさんには共通点があるんですが…もうわかってる人もいそうですね…皆さんは「すんません遅れましたぁあ!!俺学生もやってるんですけどなんか学校のシステム変わったとかで実技授業のあと囲まれて!まじすんません!」…はい、みなさんは学生ですね」


遅れてやってきたのは背中に棒を担いだギザギザの歯をした…おそらくサメの獣人の男の子、その子の後に犬の獣人の人が言った通りここに集められたのは学生なのだろう、比連校の…


「はい、君も遅れたのはいいから座って座って」


「もう遅刻した人いないよね…本題に入ろう。僕はクルト・ヴィエル、金翼でもうすぐ比連校の講師になる。そしてここに集まってもらった君達は全員『翼階級』または『枝階級』だよ」


その言葉に少し驚く、数年に1人と聞いていた翼階級が思ったよりも比連校内にいたことになるから。


「君たちの驚きもわかる、翼階級は数年に1人と言っていたからね、枝階級は実際に数年に1人だけど…まあ理由は普通の学生生活を送って欲しかったから、今回それができなくなったのはなぜかわかるね?」


「悪魔…」


だれかが呟いた


「そう、それで君たちには本来のチームで活動してもらわないといけなくなった。かと言って学生の間の経験は成長に効果があるから辞めさせたりはしない、ただ手が足りなくなった場合君達にも仕事は回る、そしてその場合比連校に固まっている可能性の高い君達は組むことが多いだろう、だからこその顔合わせだ」


「一箇所に固まっているから組むことが多いのはわかるのですがその中でも相手を選ぶことはできるのでしょうか」


細身眼鏡エルフコンビの男の方が質問をした。


「いや、それはできない、場合によって決まるものだし何よりこの会議室内に存在するチームは3組、白衣の子達は枝階級の子達だから戦闘ではなくそれぞれのチームにサポートとしてついてもらうつもりだよ、なぜそんな質問を?」


この時ひょっとこだけは嫌だと思った人を責める事ができる人はいないだろう。


「チーム編成システムの変更の事も知らずに遅れてくるような奴とだけは組みたくないと思いまして」


ズバっと言い切った。


「プフッ…兄貴めっちゃ怒られてる…」


「まあ俺もあれは無いと思うから仕方ないな」


「なっ!それはほんとに悪かったけどわざわざそれをここでいう必要ねーだろ!てかメリルもハリルも笑うんじゃねーよ!」


あそこは兄弟なのか、今叫んでいる奴にはレントと同じ雰囲気を感じる。


「ここで言う必要はないだと?ではいつ言うのだ?ここで流して有耶無耶に終わらせようとでも言うのか?」


「仮にそうだとしてもこれから組んで仕事するだろう相手にわざわざ組みたく無いみたいな言い方してんじゃねーよ、協調性ゼロかクソ眼鏡」


前言撤回、レントよりよっぽど怒りやすくて口も悪い。


「遅刻しておいてクソ眼鏡とは言ってくれるな(いわし)野郎、鰯って漢字は魚に弱いと書くのを知っているか?」


「俺は鰯じゃなくてサメだ、眼鏡の度が合ってないんじゃないか?節穴がすぎるぞ」


こいつらたかが遅刻でこんな喧嘩に発展させるとか信じられねえ、クルトさんの方を見るとニヤリと笑っている。


「よし、せっかくだからお互いの力を知るために模擬戦と行こうか」


「鰯はストレスですぐに錯乱するらしいがお前は大丈夫か?頼むから惨めに暴れまわることはしてくれるなよ?」


「俺はサメだって言ってんだろ?耳までイカれてるとなるといよいよ脳がおかしいんじゃないか貧弱眼鏡」


少しの間2人は睨み合い


「「ぶっ潰す!」」


そう宣言した。ほんとにあんなどうでもいい遅刻で喧嘩してるのがすごい。

そう思いながらその場の全員で本部内にある幻想世界を使える模擬戦ルームに向かった。

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