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距離をつめたくて



比連校地下に並んだ自主練用の箱部屋の中にレント、エリアス、矜持の3人はいた。


「エリアス…これでどうだ?」


「まだまだ無駄に魔力垂れ流してるし強化も一定に保てないしダメダメ」


授業の解放は詳しい説明のある一週間後からの事なのでレントはエリアスに魔力のコントロールを教えられている。

垂れ流されてる魔力は集中すれば見えるが力加減は見れないため確認のために握らされた握力計の数値はブレにブレている。


「もう常に全開でやればいいんじゃないか?」


「レント…それでも無駄に垂れ流してる分の魔力はなんとかしような…」


「矜持はほんとコントロールが完璧よね、無駄に漏れる魔力が無いし」


「エリアスも凄いぞ?感情が乱れたり魔法を使う時以外漏れてないし」


「逆に言えばそう言う時には漏れてるし…それに漏れてる量もまだまだ多いから、レントほどじゃないけど」


チラッとレントの方をみてエリアスがため息をつく。


「ちなみに俺ってどれくらい漏れてるんだ?」


「魔法を使う時に大体3割〜7割の間を彷徨ってる、それでさっきから効果がバラバラなんだよ」


「ぬぅ…じゃあなんで前は一定だったんだよ」


エリアスは横でため息をついている。


「前は無意識に使ってたからな、魔法は意識が大事だし」


「これなら気づかないままの方が良かった気がする…」


「それはない、常に魔力が空だったんだから強化量が少なかったんだよ。使いこなして必要な分だけ必要な所に使えたら一気に強くなるぞ」


「一気に強くなる…コントロールが一気に上手くなる裏技とかないか?」


俺が仙術の習得の時に安定の魔法でズルをしてコツを掴んだのだ、今回もそれが使えるかもしれないと試しても今の状態だ、正直思いつかない。


「練習あるのみ!みんなで見てあげるから!」


今現在クリスとシスカはそれぞれ受けたい授業を受けておりエリアスと矜持が見ているがみんなで時間があれば見る事になっている。ちなみにレントは脳筋なため実技授業以外ほぼうけないためずっと魔法の制御にかかりきりだ。

またレントが制御に取り掛かろうとした時部屋にブザーが鳴り響いた。


少ししてから扉が開く、中で何をしているかわからないため外から扉を開ける時はこのように一度ブザーが鳴り中の人は動きを止める事になっている。


「矜持にメールで呼ばれたんだけど用件が用件だから悠里ちゃん連れて来たわよ?」


「レントの魔力コントロールの事なんでクオリアさん呼んでみたんですけど…クオリアさんがそこまで言うなんて悠里さん凄いですね」


矜持が褒めても悠里は特になんの反応も返さずにレントの元まで歩いていく。


「とりあえず魔力コントロールの基礎知識をしっかり学ぶべきだ、実践練習はそれまで禁止する」


そう言ってレントに本を差し出す。


「魔力コントロールの事なら私達が教えたんですけど…」


エリアスが遠慮がちに言うが顔には少し不満が見えている。


「君たちは物を教えるプロではない、教えたからといってかれが理解しているとは限らない」


正論であるのには変わらないが言葉がきつい。


「ちなみに悠里ちゃん話し合いの時にレントくんが上手く魔法を扱えないってわかってわざわざ本部の図書館で初心者にオススメの本を探してたのよ、本部の本は持ち出し禁止だからその本はさっき買って来た物だし」


「そこまでしてくれたんすか!ありがとうございます!」


レントは驚きながらも尊敬の眼差しを向けながら礼を言う。

エリアスもクオリアから説明を受けていたにも関わらず悠里に少しながらも怒りを覚えた事を恥じる。


「いや、それくらいはなんでもない。その本で分からないことがあれば誰かに聞くといい」


誰かと言うあたりが自分には聞くなと言ってるようにもとれるのだが、頬を赤らめているからどう見ても照れ隠しであり本を選んでくれたことからも分かる通りものすごくいい人だ。


「その誰かって悠里さんでもいいっすか?」


もう少し仲良くなりたいとレントが一歩踏み込む。


「構わん」


その姿を見て安心して任す事が出来そうだと思ったクオリアは


「じゃあわたし達は行くから後は『スピリッツ』の人たちでよろしくね?」


自分と矜持の違うチームである2人は邪魔だと考え出て行く事にした。



「レントくんなら悠里ちゃんとも仲良くやっていけそうね、よかったわ」


地上まで出て来てからクオリアが伸びをしながら言った。


「悠里さんがとてもいい人ですからね、言ってる事も間違ってないですし」


「そうなのよ、でも悠里ちゃんてそれを相手にわかるように出すのが苦手だし言い方もカチンと来るひとが多いから…ところでね矜持」


「なんですか?」


クオリアが矜持のほうを向き直って少し恥ずかしそうにしながらも口を動かす。


「私たちももっと距離を詰めたいの…その…今が離れてるとかは思ってなかったんだけど同級生と話す時の矜持ってタメ口だし…タメ口がダメでもせめて名前は呼び捨てがいいかなって…」


クオリアの顔は既に真っ赤だ、もとが銀髪に碧眼で色が薄いため余計に赤さが際立つ


「とととと特に意識してなかったんですけど…あ、意識してなかったんだけどそういう事なら頑張りま…頑張るよ、クオリア」


対する矜持もそんな事を言われたものだからテンパってしどろもどろになっている、それでもこれからは気をつけるという意思を見せた。


「も、もう一回名前…呼び捨てで呼んでくれる?」


「…クオリア」


お互い完全に真っ赤になってしまっている、抱きしめてしまいたい気持ちもあるが学校の中であるため自重する。


「今日の夜、何か簡単な依頼でも、どうかしら?」


「いいですね、受けましょう」



その晩、2人は簡単な仕事が見つから無かったため時間を持て余したため映画を見て少し公園に寄ってから帰った。

公園では、昼間我慢した分抱きしめあったが恥ずかしさですぐに離れたチキンな2人の姿があった。



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