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新体制



セラフェリアに帰って来た翌日、2週間ぶりに学校にきた矜持は学年毎の部屋と共用の大部屋が存在する交流場の一年生のスペースに来ていた。


「おっ矜持!久しぶりぃ!」


「おう遠藤久しぶり」


「あ!矜持くんじゃんおっひさー!」


「よう竹中、今日も元気だな!」


交流場の何箇所かに配置されている掲示板がなにやら賑わっている感じだ。

気になって矜持も見に行こうとしたところへ


「矜持ぃいいいい!行くなぁぁあああ!俺を見捨てないでくれえええ!!」


レントが凄い勢いで半泣きになりながら飛びついて来た。


「ちょ!レントなんだよ!みんな見てるからとりあえず落ち着け!」


「だってお前『スピリッツ』抜けるだろぉお」


急にそんなことを言い出すレントに矜持はポカンと呆気にとられた表情をする。

それを見ていた周り生徒達がさっと掲示板の前を開けてくれたのでレントを引きずりながら歩いて行きスクリーンに表示された『重大なお知らせ』の欄をみる。


「悪魔による被害増加に伴う比連校システムの変更…


・全施設を学年に関わらず解放…一部施設は解放条件あり


・授業時間割のさらなる自由化…教師増員による時間に関わらない授業選択


・チーム編成の自由化…学年に関わらず生徒が最良と考えるチームづくりの応援


新しい先生や詳しい説明は来週…

なるほど…たしかに抜ける事になりそうだ」


「やっぱりかよぉおおお!俺お前が秘密話してくれるまで待つとかカッコつけたのにもうお別れかよ、卒業までは一緒だと思ってたのにぃ!」


矜持は自分とクオリアの戦術的な価値を考えれば別々にする事で相性の悪い悪魔に殺される可能性を消すために学校側でもチームを組む事になるのだろうと経験からわかったのだがそれをレントに理解することはできない。


「ちょっとレント!見苦しいからやめてって!抜けるのがちょっと早くなっただけじゃない!」


騒ぎで駆けつけたエリアスが矜持の足にしがみついているレントを引き剥がしにかかる。


「とりあえず話し合うから落ち着けレント!」


これ以上はここにいても迷惑だと場所を変える事にした。



30分後、比連校内のカフェにてチーム『スピリッツ』の5人そして矜持が連絡して呼んだクオリアのチーム『魔弾』の2人の計7人が店内の席を繋げて相席していた。


「えっと…今からチームの事で話し合いを始めるんだけど…君大丈夫?」


明らかに涙目のレントがクオリアに心配される。


「こいつの事はほっといてもらって大丈夫ですので始めてください先輩」


エリアスがレントの代わりに答えてクオリアに進行を促す


「じゃあ進めさせて貰うわね、私がクオリア・ラーゲルそれでこっちの子が」


クオリアが横にいるポニーテールの竹刀袋をさげた黒髪の凛とした美人に手を向けると


黒鉄(くろがね) 悠里(ゆうり)


名前だけ手短に答える。


「2人でチーム『魔弾』として他のチームと一緒に仕事したりしてました。悠里ちゃんの竹刀袋の中身は剣じゃなくて銃よ、あなたたちの名前も教えてくれる?」


「チーム『スピリッツ』リーダーのエリアス・有馬です、こっちの半泣きのがレント・シャルカンで」


自分で話せなさそうなレントの事はエリアスが紹介し


「同じくシスカ・リールですぅ」


「ク…クリス・ランダーです…お久しぶりです」


「士道 矜持です」


それぞれが自己紹介を終える。


「それでこの集まりの目的なんだけど今回の比連校側の発表を受けて私と矜持はチームを組もうと思うの、もともと将来的にはそうするつもりだったし」


「はい、矜持から最初に話を聞いてたので大丈夫です、この馬鹿は放っておいて下さい」


「思ってたよりはえーじゃん…あと俺男1人になる…」


レントがぼやいているのがさすがに少し不憫だ。


「こっちももともとその話で進んでたから私と矜持で組ませて貰うんだけど…レント君、よく聞いてね」


小さい子に言い聞かせるように優しい口調でクオリアが話す


「私たちは2人でチームを組むから『スピリッツ』の皆さえよければ一緒に受けれる仕事は多いと思うの」


「え…まじですか?」


「ええ、実際怪我で欠員が出たから他のチームと合同でとかもよくある事だし」


「実際今レントはまともに力を扱えないしクリスは魔力経に傷がある『スピリッツ』がどうしても仕事を受けたいなら前衛の厚いチームと組む事になるしな」


矜持の言葉で『スピリッツ』の面々は今の自分たちのチームの脆さを再認識させられハッとする。


「えっと…こちらとしては嬉しい申し出ですのでチームとして仲良くしてもらえると嬉しいです」


代表してエリアスが答える。


「ええ、もちろん!ただお願いがあるんだけど…」


「は…はい」


実力不明の矜持とその相棒としてもともと決まっていたクオリアの2人と協定を組むにあたっての条件と言われエリアスが少し怯む


「悠里ちゃんをあなた達のチームに入れて貰いたいの」


「え?」


エリアスの頭の中ではなぜ自分達の方になのか、矜持たちの方が明らかに戦力不足なのに…という考えが浮かんでいるが


当の黒鉄 悠里の方はクオリアが銀翼である事も聞かされており矜持もそれである事を知っている。だからそちらに入れないのはわかるがなぜわざわざ『スピリッツ』に入る事になりそうなのかというと


「実は悠里ちゃんて凄く勘違いされやすい性格でね…優しいんだけど緊張してついきつい言葉を口に出しちゃう性格で自分1人で新しいチームメイトを探すのに自信がないらしくて…」


「迷惑なら自分でなんとかします、無理してまで私に付き合ってもらう必要も無いですから」


冷たい印象を受ける言葉遣いだが先ほどのクオリアの説明を聞くと少し可愛く思えてくる


「あ…あの!私も緊張してうまく喋れない気持ちわかるので…その…仲良くしたいです!」


その姿をなんとなく自分に重ねたクリスの宣言によりエリアスは決断を下す。


「矜持が抜けて戦力が下がる上に現在レントが自身の力を満足に扱えずクリスも魔力経に怪我があってすぐに仕事に出れる状態じゃないですけどそれでもよければぜひに」


「ああ、仕事に行くまでに互いに理解を深める時間と思えば問題ないだろう」


「硬い言い方だけど実際はそんなこと気にしないから仲良くなりたいって言ってるから悠里ちゃんのことよろしくね?」


クオリアの説明のせいで顔を赤らめる悠里は彼女自身が喋る時の冷たい印象とかけ離れて可愛いものだった。


ただ全員が心の中で思った


(恥ずかしそうだからその副音声やめてあげて!)


こうして比連校の方でも矜持とクオリアのチーム『ラフメイカー』が結成され『スピリッツ』には新たな仲間が加わった。

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