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サザナミ決戦4 それぞれの思い

夕方にも更新してるので一話飛ばしてる場合に注意してください。



突如倒れたレンガさん達は魔法による攻撃を受けてのものだった…

すぐに仙術を使い魔法の発生源を探知する。

自分に対して使われたならどんな時でも対応できるのに…油断していた、発生源の反応は悪魔。


「後でぶっ殺してやるから覚悟しとけよ…」


せめて狙撃なら対応できたのにと情けない考えを捨てる、完全に油断していた自分が悪い。

外傷はなく精神干渉系の魔法を受けたようだ。


「ハルディス、4人が起きるのを手伝ってやってくれ」


言って4人を迷宮巨人から離したところへ下ろす。


ハルディス(ニート精霊)の司る分野は夢と闇だからとりあえずレンガさん達はこれでいいとして問題は4人が起きるまでの時間稼ぎだ。


問題はこれより後は悪魔には一切干渉させないとして4人が起きるまで時間を稼がないといけないという事だ。

死者が出るくらいならバレる可能性があるにしても目に見えない程の速度で目の前の敵を細切れにしてやればいいがまだやれるはずだ。


だが職員達は今の一瞬で絶望している、そしてその絶望は…先ほどの悪魔の方へ流れて行っている。奮起させなければならない、この程度で諦めてなるものかと恐怖を乗り越えて貰わなければ…

大きく息を吸い込む、そして


「4人ならすぐに起きる!それまで時間を稼ぐぞおおおお!!」


叫ぶ、勝利の希望とやるべき事を伝える。先ほど何が起こったのかわかってないなら説明する必要もない、混乱しているうちにやるべき事を思い出してもらう。


「止まれぇ!」


クオリアさんと練習して決めた出力内のワイヤーでは地面に繋げて迷宮巨人の動きを止めようにもすぐにちぎられる、それでもわずかに時間は稼げる。


「俺たちも…やらないとな…」


誰かが言った。


「ガキに負けてられるかぁ!」


誰かが叫んだ。


「こっちはずっと魔法の計算してたんだよクソッタレ!休んでんじゃねえ!」


誰かが叱咤(しった)した。


それを受け、誰もが動いた。


「「「まだまだあ!」」」


今度はレンガが注意を引くこともないので迷宮巨人の攻撃は誰もに降り注ぐ、だがそれは決して届かない。

悪魔が妨害しようとしてくるのもすでに仙術を行使している矜持の力で発動前に見破られ破壊される。


それでも、明らかに劣勢だった。



魔法使いとして戦闘班に配置されたクリスは唖然としていた。

前衛の人たちはわかりにくいかもしれないが一歩引いたところから見ているクリスにはわかる、矜持の働きの大きさが…小さな負傷は沢山あるが致命的な一撃になりそうな攻撃は全て矜持のワイヤーが助けている。


「すごい…」


そして、4人が倒れてすぐに劣勢を判断してクリスを守るために駆けてきたレントもそれをみてすぐに飛び込んで行った。


ああ、あんな化け物にあんな風に挑める2人はすごいなと思う。


クリス・ランダーはぼっちだった。

中学まで友達は私と契約してくれてる精霊のフィーだけ…

話すのが苦手でいつも言葉に詰まってしまったり言わなくていいことまで早口でまくし立ててしまったりで友達なんかできなかったのだ。


そんな私だけど誰かの役に立ちたくて比連に入ったのだ、だってそうじゃないか…何もできない自分が危険に晒されたり…最悪の場合死ぬとしてもそれで誰かを助けれるなら今までぼっちで何もできなかった自分の人生にも意味は見出せる。そう思って当然だろうと…


だけどそんな私が比連校に入ってみれば友達ができてしまったのだ。

嬉しかった、優しくしてくれたみんなの前では少しずつまともに話せるようになって来てこの1ヶ月はとても充実していた。


そんな人たちが今必死に戦っている、それでもどう見ても劣勢なのだ、だから少し無理してみよう。

チーム最高火力だと言われたんだからそれに恥じない火力を出してみよう。


そう、覚悟を決めた。



いつもと違い魔物は迷宮巨人のみ、4人が倒されて静まり返った中での矜持の叫びは遮るものが無いため外壁まで届いていた。


「てことらしいんだけど、シスカ大丈夫?」


もともと戦闘班だが陣を使う関係で土魔法は活かしきれないと支援班と共に陣の起動に回されたエリアスと元々支援班のシスカは隣りあって陣に魔力を流し共に魔力の限界を感じ始めていた。


「私は大丈夫ですよぉ、レントさんも頑張ってるはずですし私も頑張れますぅ。それよりエリアスはそんな事聞くなんてもうダメなんですかぁ?」


「全く問題ないかな、私だってレントが頑張ってるのに休むわけにはいかないんだから、人間舐めないでよこれでも私銀羽よ?」


「あー、いきなり銀羽のエリートさんはすごいですねぇ、でも私もエルフなんで魔力は多いんですよぅ!」


エリアスとレントは幼馴染でシスカは中学からの仲だ、中学の頃からレントを巡って小さな喧嘩を何度もしているが競う相手としてお互いを認めている。


「「どっちがレントの為に頑張れるか勝負ね(ですぅ)!!」」


戦ってるのはレントだけではないがそんな事は2人にとってはどうでもいい。ただ自分の思いのために頑張るのだ。



エリアス・有馬は銅翼階級の父を持っている。


そんな父を尊敬していたし、みんなを助ける仕事をしていて強い。そんな父が大好きだった。


だから昔から魔法の練習をしていつか比連に入ると決めていた。

だからいじめられていたレントを助けるのは何でもない当然のことだった。


「なんで助けてくれたの?」


「将来は比連に入るって決めてるんだ!だからこれくらいは当たり前なの!」


そんな出会い方だったのに…昔は自分が守る側だったのに、いつのまにか頼もしくなっていって、気づけば好きになっていた。


たくさん一緒に過ごした、たくさん思い出ができた。どうしようもないくらいにレントが好きだ、だからシスカには悪いけれど…負けられない!


その心の強さが魂を輝かせ彼女に魔力を与えた。



シスカ・リールはエルフの中では落ちこぼれだった。

エルフのほとんどは先天魔法以外の魔法もそこそこ使えるものなのだ、だけどシスカは先天魔法しか使えなかった。

その事がとても悔しくて恥ずかしかったしそれが原因で暗い性格になったため、エルフの里では虐められていた。


娘が虐められているのを見て見ぬ振りをするような両親ではなかったため、セラフェリアに移住することになった。


そこでは魔法が重視されず、代わりに学力がそれなりに重視されていた。

幸いにも勉強は少し頑張ればなんとかなるものなので毎日コツコツ勉強をして楽しく学生生活を送っていた。


だと言うのにテストの度にひどい点数を取りながらもヘラヘラして周りからバカにされている男の子がいた、でも本人は気にしていないし周りの人とも仲良くしていた。


どうして気にしないで入れるんだろう、気になった私は直接聞いてみることにした。


「あの…あなたは勉強ができないみたいですけどぉ、くやしくないんですかぁ?どうしてそんなにあかるくいれるんですかぁ?」


我ながら失礼な質問だっだと思う、それでも彼は…レントさんは嫌な顔1つせずにふつうに答えてくれた。


「え?だって俺勉強に興味ないし、やりたい奴とかできる奴がやればいーじゃん。俺は比連に入るつもりで体が丈夫だから剣術を鍛えるんだよ、みんなそれぞれできることやればそれでよくね?」


世界が開けた気がした、得意なこと、できることで誰かの役に立てばいいなんて当たり前の事にコンプレックスのせいで気付けなかったのだ。


下を向いてた自分の世界を広げてくれた…自分の価値を認めてくれたレントさんが好きだ。


この気持ちは負けるわけにはいかない!


シスカの魂は輝きを増す、その心に呼応して彼女の魔力が強くなる。


「「まだまだ行ける(ます)!!」」


彼女達だけではなくその場にいた人たち全てが自らの心に向き合い魂を強くしていた。

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