港町サザナミにて6
前書きで書くことがわからない…
FGOのセイレム楽しみだとかそんなんでいいのかな
「朝飯だああああ!!」
詰所の『スピリッツ』に割り当てられた部屋で寝ていたレントはその声に起こされる。
「「「おおおおぉぉぉぅ…」」」
詰所のいたるところからテンションの低そうな声が聞こえてくる。
「あー、まだ寝てたい」
「朝ごはん食べてからね、体がもたなくなるから」
つい口を出た言葉に幼馴染のエリアスが正論で返してくる、俺が求めてたのは軽い同意なのに…
「わかってるよ…でも疲れが残っててクソ眠いんだよ、わかるだろ?」
「ですよねぇ、私も魔力を結構使っちゃってぇ」
シスカが眠そうに同意してくれる、そうそう俺が求めていたのはこれなんだ。
「あ、あの…みなさんとりあえず共用スペースに行きましょう?」
「そうは言われても、この状況だし」
俺の両腕をエリアスとシスカがそれぞれ抱きしめて寝ているので身動きが取れない、シスカは胸に大きなおもちがあるしエリアスも微かながらおもちがあるため理性がやばい。
「ほらシスカもエリアスもレントを離していくぞ」
このチームで俺ともう1人の男、矜持がそう言って注意してくれる。出会ったのは比連校に入ってからだから1ヶ月しか経ってないがチームの中で男2人という環境のおかげで話すことも多く親友と言っていい関係だと思ってる奴だ。
「なんか…すげー普通だな」
昨日はレンガさんの作戦を守れば死なない戦いだったとはいえもしどこかが崩れて乱戦になれば死んでもおかしくないほど大量の魔物に襲われたと言うのに…
「さ…最後に同族の死体を引きずりながら森へ引き返して行った姿が忘れられないです…またあの数を相手しないといけないかと思うと…」
チームで一番臆病なクリスが俺の言葉で昨日の事を思い出したのか震える、前髪で隠れていて表情はよく見えないが声まで震えているので泣いていそうだ。
「ごめんな、俺にできるのはこれくらいだけど…」
矜持が辛そうな表情でそう言うとクリス、そして両隣のエリアスとシスカもそしてなにより俺も心の中の不安が少し取り除かれる…でも矜持だけが辛そうな表情のままなのが気に入らない。
「矜持、お前の罠もたくさん魔物殺してたぞ。今だってすげー助かってる」
俺の方をみて少し驚いた顔をした後
「おう、まあな」
少し照れくさそうに笑うその顔からは暗さが少しとれていた。
「今日の朝飯は一味違うぜ!なんと…野菜がある!」
「「「うぉおおおおおおおう!!!」」」
「昨日きた『スピリッツ』のシスカ嬢ちゃんがお前らを治療した後さらに魔法で育ててくれたんだ!感謝しやがれ!」
「「「あっざまぁあああす!!」」」
戦闘班の人はシスカが誰かすら分かっていないがしっかりと…?いや無駄に大きいだけの礼を言って朝食を楽しみ始める。
「あの人らやっぱすげーよ、毎日あんだけの魔物と戦ってあんだけ元気なんて」
「こんだけの人数分ルールーに種出して貰って活性魔法で育てたらそりゃ魔力もとんでもなく減るか、シスカありがと」
「いいえぇ、私にできるのはこれくらいですからぁ」
エリアスのお礼に対してシスカもさっきの矜持のように少し辛そうな顔をしながら返事をする。
言い合いもよくするけど中学からの付き合いで何だかんだ仲のいい2人だ、だからエリアスもシスカのその表情に悲しそうな雰囲気を出している。
それは幼馴染の俺にしかわからないほどだろうけど…
「シスカ、シスカのおかげで俺は多少の怪我をしても大丈夫だって安心して戦える。美味い飯も食えるしほんとにいつもありがとな」
支援班で直接戦えない2人の苦しみがよくわかるからそんな表情をしないでほしい。
ほんとに2人には助けられてるっていうのに…
2人がいや皆が何も気負わなくて済むくらいに強くなりたい…そんな思いがレントの中で火を灯した。
朝ごはんを食べ終えた矜持は昨日のように3つの樽を背負って外壁の門のところまで来ていた。
見張りの人は昨日と違うが挨拶をしてから外へ出る。
昨日と同じように罠を仕掛けながら走り回り帰ってくるのを昼まで繰り返した。
昼からは樽の中身の用意が間に合わないと蛮に言われたので休憩の後で町の方へいくつもりだ。
「あー、調理の仕方は変えてくれてるけどモンスターウルフの肉ばっかってのはあれだなぁ…」
レントが愚痴をこぼす
「私はさっぱりしてて気に入り始めてるのが逆に心配」
「臭みを取るのがポイントらしくて香草をいくつか頼まれましたぁ、セラフェリアに帰ってからも用意できますよぉ?」
「そ、その帰ると食べれないのが嫌なんじゃなくてあれに食べ慣れることに抵抗があるんじゃ…ないかと…」
「その抵抗はない方がいいぞ、俺は全くない」
自信を持って矜持は答える。
「私もないでぇす」
「俺もない!」
エルフのシスカはもともと森にいたいろんな生き物を食べてきているので今更オオカミ程度なんでもない。レントは肉ならいい。
「クリス…私たちの感覚って変なのかな?」
「そう…なんですか?自信がなくなってきました…」
「んぁー、最悪飯は栄養補給と思えばいいけど…暇なんだ…」
レントが深刻そうに呟いた。
「トランプじゃいつまでも暇は潰せないしな」
「そうなんだよなぁ、んで矜持どこいく気?」
返事をしながら立ち上がり出て行こうとした矜持にレントが問う
「町の方だけど?レントもいくか?」
「おう、いくいく!なんかあるのか!?」
飛び起きたレントと他の3人に軽く手を振って出る。残りの3人は女子同士の話をしたり精霊を眺めて時間を潰すだろう。
「子どもはそれなりにいたし可愛かったな…それから神父さんとも結構話が弾んだ」
「おー、神父さんは気になるな。矜持って子ども好きだっけ?」
「前から嫌いでは無かったんだけどさ、俺最近家に帰っただろ?直接顔を見るのはその時が初めてだったんだけど妹がいてさ、それがもう可愛くて仕方なくて子どもっていいなって」
「ほーん、ちなみに写真とかは?」
「もちろんあるぞ」
そう言って矜持が携帯を取り出して写真を見せる。
「おー、大人しくていい子そうだな。俺の妹とも同い年くらいっぽいな」
「レントも妹いたのか」
「そうなんだよ、俺と違って狼の耳も尻尾もあるんだぜ、てか結構俺らって自分のこと話してなかったな」
「レントとエリアスが幼馴染でシスカとは中学一緒だろ?クリスも俺もわざわざ自分から家のことまで話すほうじゃないというかいつも騒いでるレント達を見てたからな」
「あー、そういえばそうだな。改めて自分のこと話してみると結構楽しいかもな」
それはいいと2人は笑いながら町まで向かう。
昼間は割と落ち着いている人たちの中子どもたちを眺めたり神父と話したりなかなかに充実した時間を過ごして夕方には引き返し始める。
「なあ矜持」
「なんだ」
「俺さ、めっちゃくちゃ強くなるから、お前とシスカに…待たせる2人に辛そうな顔させなくて済むくらいに、そんでもってみんなを守れるくらいに」
真剣な表情のレントに矜持も真剣に返す
「ああ、信じる」
だがすぐに雰囲気を緩めて
「まあそのためにはとりあえず俺を倒してくれないとな!」
「んなっ!お前が俺の動き読んでるから絡められるだけで魔物相手ならしっかり殺せる俺の方が強いから!」
「でも対人戦で弱かったら安心できねーなー」
「お前絶対泣かすからな!比連校戻ったら模擬戦だからな!?」
朝よりも2人の心はだいぶ晴れていた。