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差異



(あかね)は結局エリアス達と同じ部屋にしてもらっていた、その部屋の中で朱は足を大きく広げ、両腕を後ろについてくつろいでいる。


「いやー、あのね?もっといろいろ言いたい事あったのよ?こんな世界あったんだーとか…なんだかんだで緊張してこっち来た時も大して反応できなかったし、でもね?全部あの仲良し家族に持ってかれたー」


仲良し家族とは矜持達の事だというのはそこにいる全員がよくわかる、あの光景はどう見ても仲良し家族だった。


「たしかにあの仲良し家族の印象が強くなるよねー、緊張してたのに朱一気に緩んだし」


「きょ…矜持さんもそれが狙いだったり…」


「あるかもしれませんね、彼らなら」


「単純に仲が良いのとぉ、両方だと思いますぅ」


矜持達を敵視しているなどということは全く無いが先ほどの立ち位置が向かい合う形で、自分の側にいてくれた事もあり、本当に心を許しきった朱はエリアス達に明日から行動を共にすることになった矜持について聞く事にした。


「ねね、さっきの矜持さんについて話を聞いてもいい?明日から一緒に行動するのになにも知らないし!」


「仕事関連の機密も多いですし、それを削って矜持さんだけについて話すのは難しいかと」


「ですね、そうなると私たちの知ってる矜持の話するとレントが絶対絡んでくるし…」


「あの二人ぃ…なんだかちょっと嫉妬するくらい仲いいですよねぇ…」


「そのレントって人の話も一緒でいいから、ね?」


「ほんとに?じゃあまずレントの説明なんだけど…」


レントの説明からヒートアップしてエリアスとシスカが気づいたらレントの話ばかりしてしまうことになったが朱的にはそこから恋バナに発展して楽しめた上にたまに矜持も話に出てきたので十分な成果を得れた。


そしてそれをまとめた朱から見た矜持というのは周りの人を安心させるというヒーローの様にも、使い方によっては悪の組織の親玉にもなれそうな力を持った優しい人で、小さい子に好かれやすいロリコンという感じだった。


もっとも彼女のクオリアがいる事も、恋愛や結婚に関する価値観が根本的に違うため矜持が本当に悪い人でないのは理解していた。



朱との会談を終えて一度読の家に帰ってから、矜持とクオリアはジュースやお菓子を買いに来ていた。

途中で大きなあくびをした矜持を珍しそうにクオリアが見る。


「どうしたの?何か疲れる事でもした?」


「うーん…誰かに噂されてるとか?」


「それはくしゃみでしょ…いや、噂されたくらいでくしゃみも出ないと思うけど…」


「不思議だよな、噂されたらくしゃみが出る、なんて言われてるの…」


矜持がなにかヒントを得たように真面目な顔になったことに気づいたクオリアも考える、たしかに変な話だ、何より…それがいくつかの世界で聞く事がおかしい。


「風土によって建築様式や文化が似るように似たような言葉があるところには理由があってそうなってるって事よね?」


「うん、それで妖界と人間界に分かれたこの世界みたいに片方が魔法などの個性よりに、もう片方が科学などの一般化に走った世界は他にもあるからさ、そこの差を考えていけば都市伝説(フォークロア)の原因がわかったりしないかって」


「考え的には出来そうだけど、現時点では絞り込みが全くできてないし難しいんじゃないかしら、それこそことわざなんかまで含めて細かい差異を見つけるなんていくら時間があってもできないわよ」


「だよなー、朱さんが言ってた気配が空虚ってところも気になるし…」


仕事モードに入り始めた矜持だが正直その辺の確認は明日でもいいはずだ。


「矜持、明日考えていい事は明日にして今日は休むの、私せっかくこっちに来たのに結局すぐに仕事で別行動だし、仕事の時は仕事、今はプライベートで構ってよね」


「ゔ…ごめん…」


「うん、よろしい。今日はヒカルも入れて話すんだから、読ちゃんにも話してあるし」


「えっ、それ俺は聞いてないんだけど!」


「言ってなかったから聞いてなくて当然よ?」


「言って欲しかった!急で困る事は無いけど!言って欲しかった!」


クオリアには敵わないと思いながらも心地よさを感じながら、緩んだ口元を隠そうともせずに笑顔を見せた矜持は同じく笑顔のクオリアと読の家へと帰っていった。




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