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入学

主人公の魔道具

グローブを通して出した魔力がワイヤーに(微変更)


左右一本ずつ自由に動かせる(大変更)


手の甲に巻き取り機能付き、太さ制限あり(変化なし)


に微妙に変更しました。

力不足による変更で申し訳ないです。



結局あのあと悶々としたまま矜持は入学式の日を迎えた。比連校の制服は職員の制服と変わらないので今日は二段階を展開しての登校だが新入生の割に着慣れてる風の人が何人かいるのは年齢問わず実力主義の比翼連理らしい。


もっとも比連校に入れる時点で十分エリートなのだが


だが当然ここで始めて比連という組織の職員がどんな世界に身を置くのかを知るものも多く、少し不安げな表情の人や友達とワクワクしながら登校する人など様々だ。

矜持はと言うと入学前に一度くらいクオリアに魔道具の特訓に付き合って欲しかったのだが言い出せず、自分なりに頑張ったがこれでいいのかという不安とリングネックレスの衝撃であまり寝付けず酷い顔をしていた。


人の流れに従いボケーっとしながら講堂横に待機させられる。

入場行進から式が始められると椅子に座れるようになりさらに退屈な話が始まるので聞かずにひたすらクオリアのことを考えているといつの間にか式が終わってしまって職員手帳と色違いの学生手帳を渡されて講堂の外へ出ていた。


「きょ…矜持、ひひっ酷い顔してるわね」


「クオリアさんも寝不足みたいですね」


入学式とは言え講堂の大きさの関係で親族はこれないので矜持の元へ来たのは敷地内で待機できる学生のクオリアだけだ。


「えっと…これのことよね?」


「そうですね…クオリアさん少し移りましょうか」


矜持はそう言い人の少ない方へ向かって行く。入学式で在校生はほぼ来ていないので自然と校舎側に向かうと中庭に出た。桜の木を取り囲むようにベンチが配置された中央まで来ると講堂の方から見ることは出来ない、ここだと矜持は意を決する。


「これの意味…チームとしてか他の意味か考えあぐねている間に気づきました。クオリアさんがどういった意味で渡したにしろ俺はクオリアさんが好きです。付き合ってください」


頭をさげて矜持が手を出す。


「えっと…そういう意味で渡しました、こちらこそよろしくお願いします」


クオリアの方もなぜか敬語になりながらその手を取る。


「本当に会えて嬉しかったのよ?3年前いつものようにまたすぐ会えると思ったらお父さんに比連校に入れられて付いて行くって言ってもそのうち会えるから学生生活を大事にしろの一点張りで連絡も取れなくなって…」


感極まったのかぐすぐすと泣き始めたクオリアに矜持は慌てながらも疑問に思ったことを告げる


「あの…クリヴァールさんに2.3回は手紙渡してると思うんですけど…返事は俺が色んなところを飛び回ってたしクリヴァールさんに会うのも不定期なんで気にしてなかったんですけどもしかして…」


「うそ…ちょっと確認してみる…」


数分後携帯に向かって大っ嫌いと叫ぶクオリアとその携帯から笑いながら謝るその父クリヴァールの声が聞こえたがクリヴァールがその後、娘のことは任せたと親公認宣言を出したためクオリアが機嫌をなんとか直し全てが一応収まった。


2人が知る由も無いがクリヴァールと虎徹の師匠コンビは2人が付き合うこと、さらに言うと結婚するのが理想だったので2人ともが成長期であり恋愛に縁近い学生生活に合わせて3年間焦らして感動の再会を演出されたのだという事だった。

それはただのお節介ではなく肩を並べる力があるものとし、互いを支えられるものとして先を見据えての暴走だが恋愛などしたことのない虎徹と結婚相手が始めて付き合った相手の魔法オタクなクリヴァールでは仕方ないといえる。


「なんだか変な雰囲気になったけど改めてよろしくね矜持」


「はい、こちらこそ」


「がうがう」


「「ん?」」


笑みを交わした2人の足元にはなぜか子虎がいた。



時刻は少し遡り入学式に戻る。



私、クリス・ランダーは入学式でガチガチに緊張して式中ほとんどずっと体を硬くして退屈な挨拶をしっかりと聴き続けていた。

そんな退屈な挨拶が続く中で校長の締めの言葉は私にとって衝撃的だった。


「この学校では強制される授業なんて1つもない、一週間先まで時間ごとに行われる授業が決まっている中でも好きなものだけ受ければいい!プレゼンして通れば自分の研究もできる!戦いも教えてもらえる!模擬戦のための無人世界も用意されている!そしてなにより実際の仕事を受けれる!


自分たちにこれから何が必要かは自分で考えて得なければならない、5年後卒業する時にこの学校で得たもので生きていけるように力をつけなさい!


君たちが自由に伴う責任を認識して成長することを私は望んでいる!以上!」


自由に伴う責任…引っ込み思案な自分には分かっていたけどつらいものがある。


力強く喋り続けた頑健そうな体をしたおじいさん…校長のその言葉を最後に式自体は終わり生徒手帳の配布や大まかに臨む職業ごとに大体どんな流れを取るかの案内を書いた紙を渡されて退場となった。


「はぁ…大丈夫かな…」


「ガウガウ〜」


「ありがとフィー」


胸のところから出てきた私の契約精霊のフィンが慰めてくれるように頬を擦り寄せてくる。

ランダー家で代々契約してきたらしいこの子とも随分長い付き合いだがその間友達はこの子だけなのだ。

再び紙を広げてそこの比翼の鳥志望の大まかな流れを見る。

授業で知識や戦い方を覚える、その中の何人かでチームを組んで実戦へ…。


「チーム組むとかできるのかなぁ…」


また落ち込むといつのまにかフィーがいなくなっている。


「えぇ、またぁ〜」


フィーは昔からいる精霊のはずなのに見た目通り精神的に幼いのかよく勝手にどこかに行ってしまうのだが相当離れない限り精霊の特別な力で私の居場所がわかって帰ってきてくれる…のだがここで完全に1人は私が耐えられないので探すことにする。

まだそんなに遠くには行ってないはずだから。


なんとなくあの子が興味を持ちそうな方へ行くと案の定いたのだが…2人の男女に撫でられて物凄く可愛がられていた。


「あ…あの!」


何も考えずに話しかけてしまって続く言葉が見当たらない。


「あ、この子の契約者さんですね。この前の」


男の人がそう話しを続けてくれる、というかこの前の?

そういえばこの前もフィーが迷子になって人混みの中に1人がいやで探していたら男の人に連れてきて貰ったんだった。

そのあとフィーが身振り手振りで頑張って説明して迷っていたら助けて貰ったと言っていたはずだ。


「あ、えとあのこの前はありがとうございました。私はその子の契約者でクリス・ランダーと言います、そそそその子はフィンて言うんですけど愛称はフィーです今日入学したんですけどフィーがどっかいって1人でさびしくて…てそんなのはどうでもよくてあのえっと…ああ…」


「落ち着いてクリスさん、私はクオリア・ラーゲルでこっちの男の子が」


「士道矜持です、同じ一年ですよ」


テンパってしまった私に2人が落ち着いた対応をしてくれる、2人が優しい人だとわかって少しだけ落ち着く。


「えっとすいません、慌てちゃって私昔から臆病ですぐに慌てちゃって…」


「わかりますよ、俺も人と話すのってあんまり得意じゃないですから」


「ほんとですか!?私昔から悩んでて比連校に入って比翼の鳥の職員として戦うって言った時も周りには止められるし、それを押し切って入ったのに早速チームを組むのでくじけそうだし」


つい早口で話しすぎてしまったと矜持さんの方を見るとなにかしっくりきていない顔をしていた。




矜持の頭には?マークが浮かんでいた、悩んでいても意味がないので聞いてみることにする。


「えっとそんなこと言われてました?」


すると後ろでクオリアが吹き出す。


「矜持ほんとに頭がいっぱいだったのね、生徒手帳と一緒に渡された紙に書いてあるでしょ?比翼の鳥志望ならチームを組む、連理の枝で技術系なら協力してくれるチームを作るって」


「え、うわほんとだ。しかも同学年限定…俺も知ってる人いなさそうなんだけど…」


これは授業で能力を見せてチームを組むしか無いのだろうなと決める。


「まあすぐに依頼受けるわけでもないですしお互い気長に頑張りましょう」


「そうですよね…すぐじゃなくても大丈夫ですよね」


「あら、2人で組めばいいじゃない」


「「えっ」」


一瞬考えたけど彼女ができてすぐに女の子とチームを組む何て有り得ないと切り捨てた答えをクオリアさんに推されてしまった。


「クリスちゃん、あなた料理できる?」


「は、はいそれなりに…」


「矜持、この子と組みなさい、あんた虎徹さんと旅してる間外食か丸焼きかだったんでしょ、それじゃ体に悪いわ。

それと女の子とチーム組んでいいのか?って思ったでしょ」


「はい」


図星だったので素直に答える


「男だけの方が変とこに遊びに連れてかれないか心配なのよ、それにらしくないわよ?

あんたが困ってる子を放っておくなんて、それにあんたは浮気なんてしないって信じてるから…」


「クオリアさん…わかりました」


クリスさんの方へ向き直る、前髪で隠れていて目は見えないけれどまっすぐに見つめる。


「クリスさん、よかったら俺と組みませんか?」


「え、はへほひゃっはい!く…組みますよろしくお願いします」


「あ、でもやっぱり2人はいやよ?さすがに嫉妬しちゃうから」


クオリアのその言葉につい笑ってしまう。


「わかってますよ、それに俺はどうせいつかはチームを抜けないといけませんから、クリスさん、俺はこのチームがいつまで組んでないといけないのかわからないけど将来的にはクオリアさんと2人で活動してくからそうなってもいいようにお互い頑張って他にもチームメイトを探しましょう」


「は…はい、わかりました」


矜持の学生生活はいい滑り出しとなった。

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