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秘密の特訓場

********


 いつの時代のヒーローにも、後押ししてくれる協力者というものはいるもので…


『レッド』こと赤石隼人は、葛飾区にある[秘密の特訓場]へ足を運んでいた。


「オヤジ~! いねえのか? おーい!」


[秘密の特訓場]と言っても、見た目は普通のどこにでもある小さな下町の車の整備工場で隼人がオヤジと慕っているのが、オーナーの岩田源造(いわたげんぞう)50歳。奥方とは3年前に死別。子供は残念ながらいない。今では、寂しい天涯孤独の頑固オヤジだ。


「うるせえぞ!! そんなにデカい声を張り上げなくても聞こえてっから! 少しくらい大人しく待ちやがれ! クソガキ!」

「ひっでえなぁ~! クソガキは、ねえんじゃねえ?(笑)」

「うるせえ!! 良いから黙ってろ!」


 源造は真剣な面持ちで、休憩室にある液晶テレビで放送されている国会中継に見入っていた。


「おめえら、マジで…やべえことになってるぞ!」

「なんだよ! やべえって、何がやべえんだよ?(笑)」

「ヘラヘラ笑ってんじゃねえ! どうやら、悪の秘密結社の親玉がおめえらヒーローをこの『東京』から追い出そうとしているみたいだ!!」


 源造に丸めた新聞紙で頭を叩かれた隼人は、その頭を右手でさすりながら源造の見ている国会中継に目を向けて…その議題の内容に唖然としていた。


********


 生中継で放送されている国会中継の議題は、源造が先程口にしていた『ヒーローたちを東京から追放する』ということに集まった国会議員たちが、激しい議論を繰り広げているところだった。


「これ…マジかよ?」

「まぁな! 握った権力を駆使して【悪の秘密結社S】の親玉が、人間を利用しておめえらヒーローを追放するつもりだな!」

「これじゃ、オレたちが奴らと堂々と戦えなくなるじゃねえか!?」

「だろうな…戦いを始めた途端に人間が怪人を助けようとしたり、お前たちに危害を加えようとしてくるだろうな」


 テレビの前で頭を抱えている隼人の肩を源造は、ポンっと叩くとテレビを消してついてこいと笑って作業場の奥にある[秘密の特訓場]へと先に入って行った。


「お前たちは、しばらくの間…ヒーローとして奴らと戦うのはやめて…奴らの内情をもっと知る必要があるとオレは思ってるんだがな…どうだ?」

「そんなこと…オレだけで決められるわけないだろ!?」

「だったら、お前がリーダーとして他のヒーローたちに話してみるんだな! このままじゃ、本当に東京から追放されることになるんだからな!」


 源造は隼人にそうアドバイスをしてから隼人を一人残して、特訓場を出て行ってしまった。


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