お見合い
クレールとアンが主役です!
メイド長と、家礼の会話から数日後のある日。
クレールとアンは、揃って服とアクセサリーを机にならべて、髪飾りがどうとか、髪型がどうとか大忙しだった。
それもそのはず・・・・・
今日は二人のお見合いなのだ!
「どうかな!」
「こっちの方?それともこっち?」
二人は互いに聞き合って、服と自分達を見比べてウーンと唸っている。
私達は三人部屋なので、ユリナもその場にいることは居る。
・・・しかし、彼女はあまりと言うか全然センスがない。
・・・・なので、聞くだけ無駄だと放置されている・・・・まあ・・・・良いけどさ。
朝。ユリナが起きて身支度を済ませ(部屋にある水瓶の水を、桶に出して顔を洗って、髪を簡単に括るだけ)でも、二人は今、かなりの数の装飾品を並べてる・・・・・長い!
お腹の減ったユリナは・・・・
「朝ごはん食べに行こ?お見合いで、グーグーなたら恥ずかしいよ?」
二人のお腹が小さく合唱。二人は顔を合わせクスクス笑った。
「そうね。食べに行こう」
「そんな、理由で断られたくないしね」
それから、三人は厨房に向かう。
家の主人一家は食堂で食べるが、使用人は厨房のすぐとなりの、小さな休憩室で食べる。
ユリナ達は、料理人からサンドイッチを貰い、休憩室の机の上に置いて席についた。
そして、食べようとしたその時。
休憩室の扉が開いて、二人の男性が入ってきた。
彼等の手には、ユリナ達と同じサンドイッチがある。
「あっ!先客か?」
「俺達も一緒に食べていいか?今日、急いでるんだよ」
ユリナ達は、端に寄り席を開ける。余り広くはないが、男二人ならこのくらい空ければ良いだろう。
「どうぞ」
男性二人は、空けられたスペースにドサリと座り、サンドイッチを机の上に置いた。
「あんた達随分早いわね」
クレールがそう言うと、男性の一人・・・赤茶の髪に緑色の目をしたカールが、言いにくそうにボソボソ呟いた。
「・・・・・今日はお見合い何んだ・・・・・」
「家に言われてな・・・・」
もう一人の男性。金茶の髪に若草色の目をしたジャックが、投げ棄てるようにいう。
何か・・・・ヤサグレているな。
「そうなんだ!私達もお見合いなのよ!しかも、今日」
「奇遇だね」
クレールとユリナが言うと、呆れたようにアンが呟く。
「いやいや。どう考えても見合い相手・・・・・まあ、いいか」
そして、ジャックも何やら呟いていた。
「そうか、そうか、なら気合いを入れて着飾るか・・・・・思わず見とれるくらい・・・・・」
ジャックはそう言うと、急いでサンドイッチを食べる。
サンドイッチを全て口に放り込み、モグモグ・・・・・水を飲み胃に流し込んだ。
そして、既に食べ終えていたカールの襟首を掴み皿を回収して、立ち上がる。乱暴だ!
「カール!いくぞ!じゃあな!」
そして、アンも急いで食べる。
食べ終わるとアンは、クレールの腕を引っ張って、立ち上がった。
「クレール!私達も行くよ!ユリナ!残りあげるから、片付けておいて!」
皿にはまだ三切れある。
ユリナは笑顔でモグモグ咀嚼した。
そして、水でくちの中身を胃に流し込んでから、アンに鍵を一つ差し出した。
「アン!私の髪飾りとか、使っていいよ!はい、鍵。」
アンとクレールはビックリ仰天。何故かというと・・・・・
「あんたアクセサリーとか、持ってたの!」
二人は、ユリナが着飾るのも面倒くさがって、いつも髪飾りすら着けないのを知っている。
アンは、少し考えてあ!と叫ぶと、ため息をついた。
この子は・・・・・
「貴女・・・・もしかしなくても、シュエ様に貰ってたヤツでしょ?いいの?」
ユリナはアハハと笑っている・・・・・こいつ!
「いいよ。私が貰ったんだし、貴女達にはお世話になりっぱなしだしね。シュエも怒らないと思うよ」
いや怒らないだろうか?
ユリナ・・・・・あんた。
まあ・・本人が良いといっているんだし、いいか・・・・・
「じゃあ・・・ありがたく使わしてもらうわ。シュエ様に言われたら宜しくね」
アンが、鍵を受け取り言う。
するとユリナは、笑ながら手をふった。
「うん!頑張って!」
食事を終えて、二人は休憩室を出ると、自分達の部屋に向かう。
そして部屋に着き、ユリナのクローゼットの鍵を開けて見ると・・・・・
「何これ・・・・・」
二人は、クローゼットの中身を見て絶句した・・・・おい!シュエ様!
クローゼットには、一枚一枚違う型のドレス。色も濃紺は違えど全て青い。驚きすぎて、固まったクレールを放置して、アンは宝石箱の鍵を開けると・・・
「うわっ・・・シュエ様・・・・・独占欲強すぎない・・・・・」
箱の中に入っているのは、青い宝石と銀細工の物ばかり。
ユリナは青を愛しているから、青い宝石なのは分かる。だが、金も好きなはずなのに・・・・・
「シュエ様・・・・自分の色を贈ってるのね・・・・つけてもらえないなんて・・・・・憐れだわ」
二人は顔を見合わせた・・・・どうする!
「いいんじゃない?」
「そうね・・・・・つけてあげないと可哀想だしね!」
嘘です!!ごめんなさい!!
私達の給金では、一生つけられないこれを、着けてみたいんです!ごめんなさい!!
「じゃあ、服を選んでからね」
「うん!」
二人は、各々のクローゼットに向かう。
二人は、ユリナのドレスだけは着れなかった。
完璧に舞踏会用なのだ・・・・
お見合いでは着れない。
そして服を選び、髪飾り、ペンダント 靴を選んで、服を着て髪型を整えてから、化粧をして鏡を見る。
「よし!」
「完璧よ!」
その時!!トントン!とノックの音がした。
入りますよ。メイド長が声をかけてから、部屋に入ってくる。そして・・・・・
「支度は・・・・・完璧じゃないの!これなら!イチコロよ!さあ!行きましょう!」
私達の姿を見てメイド長が、嬉しそうに声をあげた。
喜んだメイド長は、二人を連れて部屋を後にし、屋敷を出る。
二人を、馬車に乗せて走らせ30分。三人の乗った馬車は、とある屋敷で止まった。
三人は、馬車から降り屋敷に向かい屋敷に入ると、十数人の男女が楽しいそうに話していた。
立食式らしく、机の上に食べ物が置いてある・・・・そしてメイド長は、夕方迎えにくるわ!と言って帰っていった。
二人が、数人の男女のグループに混ざり、皆と楽しく話していると・・・・・
「アン!」
「・・・クレール・・・」
声の方を見るとカールとジャックが・・・・・・
「じっジャック?スッゴくかっこよくない!?本当にジャックなの!普段と全然違うしゃない!」
「君の方こそ・・・・・凄く綺麗だ」
「カールも素敵ね」
「いや・・・・・アンの方が・・・・・その・・・・・可愛いぞ」
カールは、照れ臭そうにアンを見てボソボソ。
アンは、フフッと笑ってカールの腕に自分の腕を絡めた。カールは真っ赤になって固まる。
「可愛いでしょ?その可愛い子と庭に出て散歩しない?」
「え?でも・・・・・」
カールがジャックを見る。するとジャックはとクレールと見つめ合っていた。
そして二人は腕を絡め、カール達に言った。
「じゃあ。俺達控室に行くから」
「アン。またあとでね」
二人は屋敷の奥に消えていった
「いっ行こうか・・・・・アン」
「うん。」
緊張の余り言葉につまり、転けそうになるカールを見ながら・・・・
アンは、カールに初めて会った時を思い出した。
カールは、けして美形ではない。
かといって不細工でもない、明るくて元気で、ちょっぴりドジで・・・・・
初めての仕事で、上手くいかない時。失敗した時、元気がないとき、彼はいつも自分の失敗談や面白い話、時には飴玉なんかをくれて慰めてくれた。
女に、失敗談なんか話すのは恥ずかしいはずなのに・・・・その優しさにいつしか芽生えた心。
緊張する・・・・でも!言うんだ!今日こそ!アンはカールを連れて、人気のない中庭に行く・・・そして、クルリとカールの方を向いて・・・・・
「私と・・・・結婚を前提にお付き合いください!」
アンは、真っ赤になって頭をさげた。
・・・・・あとから聞いた話では、カールが私を慰めていたのは、一目惚れだったかららしい・・・・・
そして、そのあと私は・・・・・
「いや!結婚してくれ!今すぐ!」
せっかちな彼に、控え室に連れていかれた・・・・・
翌日。
「ユリナ・・・話がある」
「何?」
ユリナは装飾品を見せられた・・・・・あっこれ、私のだ!
「ある見合いに・・・・あるメイドが、つけていたものだ。
私がお前に贈った物に似ているな・・・・・弁解があるか?」
怒ってる!何で?
あっ!二人とも!朝帰りか!
口が ご・め・ん 何故!
「何で怒ってるの?それ、貸しただけだよ?あげたわけじゃないよ?貸すくらい良いと思う」
あれ?余計に怒ってる!
「そうか・・・・・・お前はこれ、気に入らないのか?」
何で?今度は悲しそうに言うの!
「ううん。スッゴく好きな色と形だよ」
正直に答えた。本当に好きなものばかりだし。
「何で着けない」
「付け方わかんない・・・・・」
ごめんなさい!付け方わかります!ただ面倒なだけです!ユリナは心のなかで謝罪したしかし・・・・・
「ならば・・・・私が着けてやろう・・・・・ついでにドレスも・・・ユリナ、鍵は?」
「はい。」
ユリナは、二人がお見合いに行く直前に返してもらった鍵を渡す。
シュエは、それを持ってメイドを数人よび、ユリナ達の私室に向かうそして、ドレスを全て運びだしシュエの部屋へ向かった。
それから日が沈み、また上るまで。
ヒタスラ、ヒタスラ きせかえ人形になりました・・・・・
ユリナはクタクタで、しかし・・・・シュエだけは・・・・とても、満足そうに微笑んでいた・・・・・・
本日の教訓。
恋人に貰ったプレゼントは、他人に貸してはいけません!
どうでしたか?お見合いです!展開早いですが、彼等は彼女等は2年間の片思い期間があります!
だからいいんです!
次は結婚式です!




