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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
サヴァー 編
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船旅は始まるのかな・・・・・

 

 翌日。

 ユリナ達は朝食を取った後、王宮にある転移陣を使って、ヘクセライ大陸南部の大きい港に来ていた。マグダリア行きの船に乗るためだ。


 サヴァーが手配した船に、ユリナ達は乗り込み甲板に出る。

 そしてユリナ達は、自分達を見送りしているサヴァー達に手を振った。


「じゃあね!またいつか会いたいかもしれない!」


 また会おう!とはけして言わないユリナに回りが苦笑いした。


 しかし・・


サヴァーは、そんなユリナを全く気にせずに大声で叫ぶ。


「また来てくれ!必ず人間にも住みやすい国にして見せるから!!」


 サヴァーは、力一杯手を振ってユリナに叫ぶ。


 かなり悪目立ちしている為、ミンスが後ろで冷めた目でサヴァーを見ていた。


・・・こりゃあ・・後で説教されるな・・・・


「うん・・まあ。期待してるよ」


 ユリナはミンスを気にせず、緩くサヴァー達に手を振った。


次に会えるのが、いつになるか分からない・・・・


今生の別れになるかも知れないのに、ユリナの対応はものすごく軽い。


 因みに。カインとキリクも来ているのだが、ミンスが怖くて前に出ることができなかった(カインとキリクは毎日毎日。口喧嘩をしては、ミンスに黒い笑顔で叱られ、すっかりミンスに対して恐怖を植え付けられていた。魔術を使えばカインの圧勝だが、それをするとイティアに嫌われるので、口喧嘩のみで手を出してはいない)その為、ミンスの後ろで控えめに手を振っている。イティアもミリーも同様だ(こっちの二人は生まれて始めて、淑女と言うべき教養を身に付けた女性を間近に見た為。純粋にミンストレルを尊敬している)


 ユリナが、サヴァーの今後を考えながら、哀れみの目を向ける。

スレイプとリームもあんな感じだったな・・・なんてユリナが考えていると、船内から喧しいと叫びたくなるような大声が響いてきた。船長だ。


「おーい船を出すぞ!」


 ユリナ達が乗る船が出向するらしい。


 船長が大声を出しながら船内を駆け回り、水夫達を甲板に集めると帆を開く。この船は帆船だからだ。


しかし・・・・・・


ユリナは、水夫達に指示を飛ばす船長を見る。

見た目は、時間にルーズそうなだらけたオッサンなのに、以外とキッチリしているらしい。出港時間は予定時間ピッタリだった。


 ユリナ達はもう既に動き出した船の上で、最後の別れを聞こえるように大声で叫ぶ。


「じゃあね!バイバイ」


 ユリナが軽く笑いながら手を振る。


 すると、サヴァーを軽く叩いていたミンスが、船に走りより涙を浮かべて叫んだ。


「ユリナ様!イデア様!それに、シュエ様!グレル様!イグニス様!

 本当に・・・本当にありがとうございました!ご恩はいつか必ず!」


 涙を浮かべてユリナ達に叫ぶミンス。

 そんな彼女にユリナは・・・・・


「期待してるよ!

 またいつか!機会があれば会うかもね!多分!」


 ミンス達は最後の最後まで、ユリナらしい台詞に、涙を忘れてクスクス笑う・・・・・


「色々ありがとう!ミンス!また会おうね!絶対会おうね!」


 イデアは、甲板の上から涙を浮かべて叫んだ。彼女らしく笑顔で、手を千切れんばかりに振っている。


「ではな」


「元気でな!」


「またな!」


 シュエは素っ気なく。イグニスはイデアと同様に力一杯手を振って。最後にグレルは溢れんばかりの笑顔をサヴァー達に向けた。


 暫くして船が港から離れると、イデア達が感傷に浸ってるのを放置して、ユリナは船内にスタスタ入る。


 彼女は宛がわれた自分の船室につくと、自分の鞄をガサゴソ漁った・すると・・・あっ!


「 あったあった!」


「ユリナ何してんだ?」


 船室に戻ったユリナに付いて来ていたグレルが、急に自分の鞄をアサリだしたユリナに聞く。

 するとユリナは、鞄の中から薬袋を取りだし数粒手に取ってから、袋をグレルに渡した。


「ん?酔い止め飲んどこうと思って」


 ユリナは国宝水筒(もう完全に私物化している)を取りだし、薬を口に含んで胃に流し込む。

 因みにシュエはユリナの横で、ユリナが薬を探すために鞄から放り出した衣類を畳んでいる。


・・本当に甲斐甲斐しい男だ。


「・・・ん?あっ!ユリナまって・・・・・」


 グレルは、薬の中身を見て何かに気付く。

 グレルは、慌てて薬を飲もうとするユリナ止め様としたが、時すでに遅しだった。


「ああ・・飲んじゃったか・・・・」


 グレルはガジガシ頭をかいて、ユリナにさっき渡された薬袋を見せた。


「これ。酔い止めじゃなくて酔い治しだぞ」


 ユリナはピキッと固まる。そして、グレルの持つ薬袋をじっと見た・・あっ・マジだ。


 そして・・・・強烈な眠気が・・・・・


「うえっ?!・・・ま・・じ・・・・か・・・・・」


 ユリナは一瞬で深い眠りにおちてしまい、バタンと床に倒れそうになったが、素早く動いたシュエとグレルが、ユリナを抱き止め、床にぶつかるのは避けられた。


 シュエとグレルは、しょうがないなと言いたげに顔を見合わる。


 そして・・・・


ユリナをベッドに寝かせると、シュエとグレルは椅子をとりに(ユリナの部屋に入り浸るため)船室を後にした・・・・・


船旅がはじまりました。

行きと同じように・・・・ユリナは夢の中に旅立ちました。

次は番外編のヤナギダミリのお話です!

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