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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
田舎の村娘 編
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収穫祭

ユリナの人生の分岐点です!

ユリナの選択で不幸になる人が・・・・・

 

よく晴れた気持ちのいい朝。


 まだ起きるには早い時間。


 ユリナが、夢うつつに気持ちよく浸っていると・・・

突然!家の扉を誰かが、ドンドン叩きながら叫び始めた。


「ユリナ!ユリナ!ユ・リ・ナァ!」


 うっるさい!誰だ朝っぱらから!!


 ユリナが、急いで起きて玄関の扉を開ける。

するとそこには・・・・・


「誰!こんな時間に!・・何の用?」


 そこにはガキ大将が立っていた。

名前・・・ん〜まあいいか。


「ユリナ!今夜の収穫祭。一緒に行こう!予定ないだろ!」


「行きたくない。てか、何でこんな時間にきたのよ。」


「この、時間に来ないと居ないだろ!毎日毎日。タンペット爺さんの所に行くし!ラルフも可哀想だろ!」


 ラルフ?誰だろ?


「ハッ!まさか!ラルフ誰か分からないって言うんじゃないよな!おい!」


 ユリナは目をそらす。

そして、この騒ぎで目を覚ましたのか弟が部屋から降りてきた。


「あっ グレル兄!どうしたの?まあいいや!遊ぼうよ!」


 弟がガキ大将。グレルに抱きつきグレルはなれた手つきで抱っこする。


「よっ!ラルフ!ごめんな~兄ちゃんまだ、朝の手伝い残ってるんだ。

今日は姉ちゃんが遊んでくれるってさ!さぁ、顔洗ってこい!」


「え!やったー!直ぐ洗ってくる!」


 弟の名前ラルフだったのか。

興味ないから聞いてなかったな・・

しかし・・・・・



「私は、先生の体調を確かめる仕事がある!何で遊ばなくちゃならないの?」


「んなもん。ちょっとみ見てくりゃいいだろ!てか、何で弟の名前知らないんだ!」


「家族とほとんど話さないから」


「何で話さないんだよ!」


「理由はないよ・・あ〜あ

お母さんとお父さんにも言っちゃった・・・」


 ラルフはいつの間にか起きてきた両親に、私が遊んでくれる事を話してる!


 逃げられない!元凶のグレルは嬉しそうに私に死刑宣告を告げる。


「じゃあな!夕方迎えにくる!もう。家から出れないだろ!」



 そう 言い捨てると帰って行った。

ちくしょう!人混み嫌いなのに!

 そして、ラルフが嬉しそうに近づいてくる・・・・・あ゛ぁウザイ!


 お母さんが出かける支度をして、残り物の材料で、サンドイッチを手早く作っていた。


ユリナが、いつもタンペット先生にお菓子を持っていく時に使うバスケットに詰め私に言った。


「お母さんが、タンペット先生に今日は忙しいって言ってくるわね。

朝ごはんの用意とラルフを頼んだわよ」


 まって!私が行く!お母さん!カムバック!






 夕方。迎えに来たグレルが絶句している。何故かと言うと・・・


「綺麗でしょ!」


「お母さんが、頑張ったんだ!」


 お母さんがいつかの為に作っていたヒラヒラした晴れ着を着て、お母さんの化粧道具で化粧(化粧?前世からしたこと殆どないよ)して、玄関に立っている。



 何故こんな事態に陥ったかというと、ラルフの馬鹿がお母さんにグレルが私を、収穫祭に誘った事をバラしやがったのだ!!

異性に誘われてお洒落しない奴はいない。


 しかし、私は前例になろうとした。


つまり、一番粗末なよそ行きの服を出して着たのである。


ラルフは、可笑しいと感じたのだろう・・母に私がグレルに誘われた事を説明しやがった。


そして、粗末なよそ行きは母に没取され破棄された。


 暫く惚けていたグレルは、誤魔化す様にグイッと私の手を引く。


「いっ行くぞ!」


「・・・・・うん」


 あ〜行きたくない。行きたくない。行きたくないよ〜


 シュエ!タンペット先生!

 助けて!







 祭りの会場につくと、ウジャウジャウジャウジャ人の多いこと多いこと。


 収穫祭は近くの四、五個の村で一斉にやるので若者達の出合いの場でもある。


これで結婚する奴は結構多い。


なので、参加人数が恐ろしいことになっている。


 人人人・・・見てるだけで鬱陶しい!早く帰りたい・・・・・


「グレル!今日。あたしと踊って!」


 歩いていたらケバい女が、私を突き飛ばした。


 私はすんでの所で足を踏ん張り、転倒は免れた。


そしてケバい女は、グレルの腕に手を絡める。


「ねぇ・・・グレル・・・・」


 妖しい美貌だな。

 逃げるチャンス!人混み紛れようとしたら手を掴まれた。失敗だ!


 そしてグレルは、私の手を掴み妖艶な女。

 ガイラの手を、自分の腕から剥がして怒鳴る。


「大丈夫か!ユリナ!何すんだよ!ガイラ!危ないだろ!」


「え?あっユリナいたの?気付かなかったわ。御免なさいね」


 オーイ目が謝ってねぇよ!寧ろゴミ虫がって、顔してるよ

 逃げたい・・・・・


「うん。大丈夫。怪我してないし」


「そう。ありがとう」


 ニコニコしてるよ・・・・・

この女こぇぇ


「あと、俺はユリナと踊るからじゃあな!」


 グレルはそのまま私を連れて祭りの中心に。


 オーイ!目が!目が恐いよ・・・

あの女に殺されるかも知れない・・





 祭りは既に始まっていて、何人かのカップルが楽しそうに踊っていた。


「俺達も踊ろう!」


「私は踊れないよ!」


「適当でいいって!さぁ、行くぞ!」


 私は適当に仕方なく踊る。


 いつの間にか来ている両親達の姿が見えた。なんか嬉しそうだ。


 グレルの両親もいる。なんか、涙ぐんでいる・・・

何なんだ?!



 祭りも後半。カップル達が・・

告白タイムか!



「ユリナ・・・その・・・」


 言うな!此処で言うな!

 公衆の面前で!


 断りづらい!だが、しかし


 断るぞ!恥かかすぞ!

 女共!怖い!やめてくれ!


「俺と結婚してくれ!」



 言いやがった!


 助けて母さん!


 嬉しそうに涙ぐんで見守ってやがる!


 父さんも同じか!弟も!


 まだ早いって反対しろよ!


 おじさん達まで!


 皆グルかよ!私の気持ち無視かよ!


 瞬時に回りを見渡してから、直ぐ様 私は言い返した。

言ってやる!


「断る!」



シーン・・・・・

外の人達やカップル達までもが、数分前から息を呑んで見守ってたらしい。


 男達と一部の女達が、叫ぶ。


「なんだと!グレル兄貴は昔からお前のこと好きだったんだぞ!」


「断るにしても考えますくらい 言えんのか!」


「グレルの何がいけないのよ!」


「そうよ!アンタみたいな奴を好きになってくれる人他にいないわよ」


 ギャーギャー五月蝿い!


「嫌なものは嫌!じゃあ、私は帰る!」


 私は逃げるようにその場を去った。


 そして、その場に残ったもの達は・・・・・


「う゛っぐっふっフラれたあぁぁぁぁ!」


「グレル!お前は悪くない、悪くないぞ!」


「ごめんね!あんな子でごめんね!」


「兄ちゃん・・・・・」



 グレルはその場の殆んどの人に、盛大に慰められた。








 それから、ユリナは家に帰り。


必要最低限の下着と服を、古着で作っていた簡単な作りの鞄に詰める。(裁縫くらい、出来る様になりなさい!って言って、母に鍛えられていた。今思えば花嫁修業か!)服を詰め終わると、メモ紙代わりの木の板に、羽ぺんでガリガリと文字を書く。



(今までお世話になりました。

 出ていきます。

 育てていただきありがとうございました。

 頑張って働き仕送りします!

 仕事は目星がついてるので心配いりません。

 この村にも戻って来ません。

 置き手紙のみで申し訳ありませんが、急を要します。

 では、さようなら。お元気で)



 ガリガリガリガリ・・・・よし。

 ユリナは書き終わると、目立つように暖炉の前の机におく。


 ペンを置き鞄の紐を肩にかけて外に出た。

服のポケットに入っていた鍵を取りだし、玄関の鍵をかけて外に出る。


「今までお世話になりました!」


扉の前で一礼して、私は15年過ごした家を後にした。







「コンコン、コンコン」


 家出をした私は、今タンペット先生家に来ていた。


「どうした?こんな遅くに。

祭りに行ってたんじゃないのか?朝、お前の母親が嬉しそうに話していたぞ?だから今日は娘は来ませんって!ん?なんだ?その荷物・・・・」


「先生、仕事紹介してください。」


「え?」


「紹介してください!」


「・・・・・状況を説明してくれ・・・・」


「そうか。分かった・・・・」


 先生が、ポンポン頭を軽く叩き優しく笑う。

あれ?何で私は泣いてるんだろう・・・・・


「辛かったな・・・・お前 今、自分が何で泣いてるか分かってないだろ?知りたいか?」


「あ゛い゛っ」


 声が上擦った!

 あ〜ヤバイ止まんないよ~

 先生は、私を部屋に連れていき・・・・私を、何時もの机の椅子に座らて先生は台所へ。


 暫くして・・タンペット先生は、湯気の立つカップとタオルを持ってきた。


 先生はまず、タオルをユリナに渡す。ユリナは、渡されたタオルを目に当てる、そしてついでに鼻もかんだ。


「ほら。山羊の乳だ。熱いぞ」


「あ゛じっ」


「ハー・・・猫舌がそんな飲み方するからだ!冷ましてから飲まんか。ホラッ舐めとけ」


 舌火傷用の薬草飴(舌を火傷する事が、恐ろしく多い私の為に、先生が作った) 先生・・・予測してたんじゃん・・・まあ、何時もの事だしね、私はおとなしく飴を口に入れた。


「あい」


 飴玉のせいで上手く喋れん!


「お前はな。悲しいんだよ」


「え?」


「お前はな、そんなに好きでもないが嫌いでもない両親でも、気付いてくれなかったのが悲しいんだ」


「でも・・・・・」


 私は・・・だって・・私は・・・


「お前は賢い。そう・・・気付いて貰えないのは自業自得。

 両親と話をしなかったせい・・・弟も村人も、味方になってくれないのは避けていたからで、言わなくても・・・・分かっているだろ?」


「はい。私は悲しむ資格も怒る資格もない・・嫌なものは避けてきた。

そのつけを今、払っただけ・・・追い出される事が理想のはずだった。


悲しくないハズだった・・・苦しくないハズだった・・・なのに何でだろう・・・・涙が出るんだ・・・」


「泣け。お前に言う事も、言わなければならない事もない。理性で理解し納得し、当たり前だと考えても・・・・心が悲鳴をあげている。いいか?お前はまだ15歳の子供だ。甘えて良いんだ。て言うか甘えろ!私はお前のなんだ?」


「先生です!うっぐっっ」


 先生は、再び泣き出した私の頭を、抱えるように腕回して抱え込む。

なんか・・・・落ち着くなクッソー涙が止まらん!


「泣け!泣いて心を吐き出せ!お前は理性で何でも抱え込む・・・・知らないうちに、心労を重ねていたんだろう・・・・自分は平気だと思っていてもな・・・・私はお前の師だ。だがな、私はなお前を孫のように思っている。

仕事は王都にいけば幾らでもある!私の紹介状があれば何処でも働ける。安心して良いぞ!」


「ありがとう・・・先生・・・・・」


 ユリナは落ち着いてから、カップの中身を飲み干し立ち上がった。


「さあ。サッサと逃げるぞ。荷物をもったか?」


 ユリナは手拭いで顔を拭き、荷物を肩にかける。


「はい!あっ、先生!これお母さん達に、返しておいてください」


「ん?ああ分かった。家にコッソリ返しておこう」


 先生は人間嫌いである。

多分。少しだけ使える風魔法で、隙間から入れるつもりだ。

・・・・・まあ、いいか・・・家にあれば問題ないし。



  先生はユリナを連れて、いつもシュエが来る時に使う部屋きた。

 先生は部屋に入ると魔法陣に入り、私を手招きする。


「来い。この魔法陣に入れ。丸い円からはみ出すなよ?危ないからな」


 私は魔法陣に入り、それを確認すると呪文を唱える。


「ロワン・サファル・メチェーリ」





 私達は光に包まれる・・・・・

 そして、光が収まると始めて見る景色が目に飛び込んできた。

 豪華だ!貴族の屋敷って感じの。派手ではなく豪華・・部屋は、落ち着いた色合いをしていた。


 キョロキョロしていると、後ろから声をかけられる、其所にはシュエが立っていた。魔法陣の発動魔力を感じて来たようだった。


「ユリナ?どうしたんだ?ん?目が赤い・・・お爺様。説明してください」


「何で私にきかないの?」


「お前は色々誤魔化すからだ」


 私は押し黙る・・・・・

 たしかに、火傷や切り傷。

 捻挫に色々誤魔化したけどさ・・・・・そしていつもバレて、治療をされる。


 二人は、私そっちのけで話し込んだ・・・暫くするとシュエは私の所に来て、私の頭を先生と同じように抱え込む。


 先生と同じだ。血の繋がりを感じた。


「話は聞いた。仕事は任しておけ!来い。客室に連れていく、今日はそこで休め。お爺様は帰って魔法陣を隠してください。見つからないように・・・」


「分かった。ではな、頑張りなさい。シュエ、任した」


 先生は、シュエの肩を軽く叩く・・・

すると・・・・シュエは深く頷いた。


「ありがとうございました」


 そして、ユリナは深く頭を下げた。


「了解しました。」


 シュエは騎士が、上官にするように敬礼する。

 そして、先生は直ぐに魔法陣に入り消えていった・・・・・





 そして。

 私の、新しい生活が始まった。



どうでしたか?グレル君の告白でした。

可哀想なのは、グレルかユリナか・・・・・・

次の話は「家族」です!新しい生活はまだ始まらない・・・・・

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