もう一人の・・・・・
ユリナは今。真っ白い世界にいる。
・・・・又・・神の世界に来てしまった。
ユリナは今、見た覚えのある神殿の前にいる。
ユリナはハーとため息をついて、神殿に無言で入った。
神殿に入ると、直ぐに体育館程の大きさの部屋に出る。
部屋の中心には、前の様に炬燵はなく・・・長い階段の上に玉座が有るだけだ。
・・前より、コッチの方が神殿らしい。
オコタでミカンの神様は・・何か・・・・嫌だ・・・・・
そして・・その玉座に座るじいさんは、いつもと違う服を着ていた。
何時もは、坊主が着るような(さむえ)を着ていたが、今は西洋神話の神様みたいな・・・そんな衣装を、身にまとっている。
思いっきり・・・神様っぽい・・・これこそ神様はだ・・・・・
ユリナは、玉座の前まで歩き老人に話かけた。
「ここに来る原因分かったよ・・・」
ユリナは、ハーとため息をつきながら老人に近付いた。
ユリナは、玉座の下の階段の三段目位に腰をかけた。
長い階段を、登るのはしんどい・・・・・
「ん?なんじゃ?」
老人は偉そうに(実際偉い)玉座に座ったまま、ユリナを見下ろした。
老人は楽しそうに笑っている・・・何か腹立つ!!
「グレルの酔い治しでしょ!」
それしかない・・・
毎回毎回。酔い治しを飲んで寝ると、この世界に来てしまうのだから・・・・・
老人はニヤニヤ笑いながら頷いた・・・・・やっぱり腹立つ!!
「おっ!正解じゃ!娘さん!あの薬は、金髪君の魔力が込もっていたじゃろ?金髪君は高くての・・・しかも・・・薬を飲んだ後。銀髪君が娘さんに、付きっきりじゃったじゃろ?あれで金髪君の魔力と、銀髪君から漏れでた魔力を娘さんが吸収してしまった・・・という訳じゃ!そのせいで、娘さんの魔力がわし並みに高くなってしまったから、度々ここに来てしまったんじゃろうな。
まあ・・一回来てシンクロしやすくなった・・・と言うのもあるがの」
グレルの魔法薬は、普通の薬と違い、すりつぶした後。素材の魔力を安定させるために魔力を込める・・・
その魔力が原因で、ユリナはここに来てしまうらしい・・・
まあ・・老人が鬱陶しい以外は、害が無いし・・
それに・・・・・
「まあ・・いいや・・じいさん。聞きたい事が有るんだけど・・・・」
ユリナが老人が座っている玉座を見上げる。ユリナと老人の目が合った。
「なんじゃ?何でも答えてやるぞ?」
ニコニコ笑う老人を、ユリナはジッと見て口を開いた。
「じいさん・・(カイン)って知ってる?」
じいさんは、笑いを引っ込め真面目な顔になった。
・・やっぱり知ってるみたいだ・・・
図書館で調べるより、何千何万の時を生きているだろう。
・・・神の口から聞いた方が早い・・・・・
「ミンストレルに・・聞いたのか?」
老人に聞かれてユリナは頷く。
「うん。ミンスに聞いた・・カインて人にも・・・会ったしね・・・」
老人は目を向いて、玉座をかけ降りる。そしてユリナに詰め寄った。
・・・うおっ!近いよじいさん!
「会ったのか?!カインに!やはり・・・まだ・・・」
まだ?
今度はユリナが老人に詰め寄った。
「まだって何だよ!カインって人に何があったか教えてよ!」
老人は、詰め寄られて少しビビったが・・・真面目な顔でユリナを真っ直ぐ見た。
「ああ・・教えてやる。
娘さんは戦う相手を知った方がいい・・・よし。娘さん!コッチに来てくれ」
老人は階段を完全に降りると、今いる部屋の真ん中に立つ。
そして、老人はユリナを呼んだ。
呼ばれたユリナは、大人しく階段のから離れ老人の側に行く。
「じいさん・・うおっ!」
何をするつもりか・・・ユリナが聞こうとした時。
老人とユリナを、くるっと囲む様に床が丸く金色に光った。
魔法陣だ!
「今から過去を見せてやろう・・・
虚無が生まれた理由も・・・神族が襲われる理由もわかるじゃろう・・行くぞ!オブリヴィオン・リシ・レジストロ!」
老人が呪文を唱える。すると二人を囲む光の輪の、外の世界が変わった・・・・
ブルンブルン!
スクーターが、二階建てのアパートの駐輪場に入っていく。
青いスクーターに乗るのは黒いダウンジャケットを着ている、フルヘイスのヘルメットを被った人間。
フルフヘイスの人間は、スクーターを駐輪場に止めて・・・暫く世を儚んだような空気を駄々酔わせる。
数分間・・フルフヘイスの人間は放心する・・・
数分後・・
フルヘイスの人物はユックリ、スクーターを降りてスクーターの鍵を抜いた。
フルフヘイスの人間は、ダラダラ嫌そうに歩き、部屋の鍵を取りだし部屋を開け、フルヘイスの人物はヘルメットを被ったまま部屋に入る。
そして、鍵とチェーンロックをかけた。
フルヘイスの人物はブツフツ呟く
・・・恐ろしく暗い声音で・・・・・
「辞めたい辞めたい辞めたい辞めたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい私はいらない人間だ・・・死んだ方が皆喜ぶ・・・・・私なんて・・・・・」
ボカッ!!
ユリナは、床を思いっきり叩いて悶絶している・・
自分で叩いて、自分にダメージを受けたようだ
・・・アホだ・・・・・・
「私じゃん!仕事で失敗した日の私じゃん!死ぬ前日の私じゃん!!」
老人はアハハと、誤魔化す様に笑い魔法陣を弄る。
「すまん!間違えた・・コッチだ!」
グルリと場面が変わる・・良かった・・・・・
このあと私は、数分間。
自分を罵倒し、風呂に入りアニメソングを熱唱して、ふと思い出したように自分を罵倒して、風呂から上がり、夕食を食べて、イケメンキャラを見ながらニヤニヤ笑い自分の手に噛みつく・・・
恥ずかしい。ニヤニヤ笑いの辺りが特に・・
それに、自分の病み具合が怖い・・・・・
「オブリヴィオン・リシ・レジストロ!」
老人が叫ぶと・・また場面が変わる・・・・
そこには・・・
何かの儀式を行う、五人くらいの神族が丸い円を囲んでいた。
「アンヴォカシオン」
神族の一人が、杖を掲げて呪文を唱える。
「「「「アンヴォカシオン!!」」」」
残りの四人が同時に叫ぶ・・すると五人の前にある円が光だす・・金色の光が紋章を刻んだ。
瞬間。パアアアアアと辺りが光る。
円の中に光の柱が現れて、数分間の間。
光続けた・・
数分後・・・
光が霧のように飛散して消える・・・
そして、円の中には・・一人の女性が倒れていた・・あれは・・まさか・・・・・
「え?・・私?・・・前世の私だよ?なんで・・・」
ユリナはバッと近寄ろうとする・・・・・だが、老人の作った魔法陣から出られない。
見えない壁に阻まれる・・・
「娘さん。これは過去の世界の出来事じゃ・・・・・干渉することは出来ん」
重々しく言う老人に、ユリナは力一杯叫んだ。
「何で!何で私がそこにいるの?私はここを知らないよ!」
「あれは娘さんであり、娘さんじゃない人間じゃ・・娘さんの世界で言うと・・・パラレルワールドと言ったかの・・」
ユリナは老人の言葉を噛み締める
・・・パラレルワールド・・・
可能性の未来・・・
もしもの世界は無数にある。と言う奴だ・・・
この過去にいる美里は、違う可能性を歩いた私・・私でありながらすでに私ではない誰かだ。
何か分からなくなってきた・・取り敢えず違う私と言うことだ・・・うん・・・・・理解した・・・
「私が・・スクーターで事故らなかったら・・・彼処にいたのは、私だったのかな・・・・・」
老人は首を降る・・何でだよ・・・・違うの?
「・・・あの子は・・・・既に事故っておるよ。車に体がぶつかる前に召喚されたんじゃ」
老人が言った言葉に、ユリナは絶句した。
「マジ・・事故るのは、避けられない運命なんだ・・・」
ユリナは自分が事故らない未来がないと知り・・項垂れた・・・
・・・・・どのみち私は事故るのかよ!
過去編でした。
暫く過去編が続きます!
次はミリちゃんが・・・・・




