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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
メイド 編
20/174

王の謝罪

長いです!結構長いです!

あと、あの人が再登場です!

 

「申し訳なかった!!シャルロット!」


 時刻は昼過ぎ。

 王妃の事件から、四ヶ月が経とうとしていた。


 そして今。シャルロットとイデアの住む離宮に、王様が側近と王太子とシャルロットの父 リーベン公爵を連れて、謝罪に訪れていた。

しかも、先日宰相に就任したルィンもいる。


 王が謝罪に来るのが遅かったのは、ぶちゃけユリナのせいだ。


 あの後。噂は城から町に、町から隣国に、凄いスピードで広まった。

今や王妃は悪女の代名詞だ。


 しかも、その噂のせいで元王妃エリザベスが入る修道院がなかなか決まらず、 最終的に山奥の殆ど無人の修道院に入る事になった・・


今回の騒ぎを知られ、夫から離縁された女官長も一緒だ。


 しかし・・・・

其からが大変だった。


 噂は平民や吟遊詩人の手で盛られて、国中に広まり大混乱。


 噂を知った平民達が、内乱までおこしそうだった(税金を、湯水のように使ったのがバレたから)

王は王都から離れていて正しい情報を知らなくて、平民達を押さえるのに四苦八苦している土地持ち貴族達に(貴族には城で働く名誉貴族と、土地持ち貴族がいる)書類で王妃に罰を与えた旨を伝えた。


そして、平民達を宥めてもらい。

王都の噂を謁見の間に入るだけの平民達を迎え入れ、王みずから訂正し平民に正しい情報を与えた。


王は・・不眠不休でやりとげ一息ついたら・・

宰相と王妃の不正が発覚。


 賄賂やら人事やら国の予算の着服やら色々やらかしていた。

直ぐ様宰相を解任し投獄。

そして、後始末から後任の任命迄・・本当に・・怒濤の四ヶ月だったらしい。

・・お疲れ様・・・・・


 その過程で、王は王妃のもう一つの罪を知る。


 シャルロットは、王妃に嫌がらせなど何一つしていなかった。


 王宮から王妃と宰相がいなくなると、二人を恐れていた侍女や、下女達が次々に王に進言してきたのだ。


それは凄い人数だった・・・・


「シャルロット様は、とても優しい方です!」


「シャルロット様は、私が王妃様の機嫌を損ねてしまった時・・・助けていただきました!」


 王は今まで王妃に言われるまま。シャルロットが傲慢な女だと考えていた。


 何故かと言うと、彼女の父がそうだからだ。


 初夜の時も白けた顔をしていた・・・


王が、シャルロットの経歴を調べてみると、シャルロットは将来を誓った恋人がいたらしい。


当時、まだ下級文官だったルィンだ。


 シャルロットの父は、娘に求婚してきたルィンに、宰相にでもなれば結婚を許してやると告げた。


なのに、一ヶ月もしないうちに王の側妃として城にあげたらしい。


二人はリーベン公爵の言葉に、希望を抱いた矢先だった。


 王に嫁がされたシャルロットは、さぞや絶望した事だろう。


カイザルはシャルロットに同情した。自分だとしても、受け入れることは出来ないだろう・・・・・


 王はシャルロットが自分に惚れて嫁いできたと勘違いをして、王妃が妊娠して人寂しい時に相手をさせたのだ・・・・


 今、あの頃のシャルロットの態度を考えると・・・


どう考えても嫌われてるのに、何故その結論にいたったのか疑問だ。


王妃と宰相の言葉に・・自分を褒め称える言葉に酔っていたのかもしれない・・・・・


 離宮も一度も訪れた事はなく、用があればシャルロットを呼びつけていた。


侍女も、下女すら居ない事など知らなかった。


 王妃が料理人を脅し、シャルロットとイデアの食事に毒を入れていたなど知らなかった。


 シャルロットの恋人。ルィンとは肉体関係など無かった。


頻繁に離宮に訪れていたのは、食糧や衣類の差し入れをする為だった事など、知らなかった。


シャルロットの為の予算は、全て王妃エリザベスの装飾品に消えていた。


その事も知らなかったのだ!自分の無能に腹が立つ。


 王がリーベン公爵に問い詰めると、彼は全て知っていたのだ!


 自分の娘に、助けを求められた事もあったらしい。


しかし彼は、出戻りは恥だと言い娘を助けなかった。


 そして王は、離宮を訪れシャルロットとイデアに頭を下げている。


リーベン公爵だけは意地でも下げないが・・・


 丁度、楽しくお茶をしていたユリナとイデアとシャルロットはお茶会を中断してカップを置く。


シャルロットはゆっくり立ち上がり、カイザルに近づき、慈悲深い笑顔で笑った。


「陛下。頭を上げてください・・・・・良いのです。今更ですしね・・・・・」


 カイザルは、頭を下げたままビクッと震える。


今更のところ・・凄く声が冷たい・・・

 そして、シャルロットは ハァとため息をついて頭を下げ続けるカイザルを見下ろした。


 カイザルが、恐る恐る頭を上げる。


「シャルロット・・・・・」


 カイザルは初めてして、シャルロットを恐ろしいと感じた。


・・・・目が怖い!


「でも・・陛下にお願いがあります」


 王は、冷たい目で見られ背筋が凍った。コワッ!!


「何でも言え。出来ることは何でもしよう」


 シャルロットは、真っ直ぐカイザルを見つめる。


「陛下。離縁してください!!そして・・・」


 シャルロットは王太子の隣にいた、ルィンの腕を掴み引き寄せた。


「陛下のお力で、ルィンと結婚させてください!」


 その時!今まで黙って立っていたリーベン公爵が、シャルロットに怒鳴る。


「シャルロット!王妃に成れるかもしれないのに何故、離縁などどと!ルィンは宰相といえど男爵なのだぞ!」


 離宮に来る前に、散々離縁の可能性を言い聞かせたのにまだ言っている・・・・・しつこい!


 喚くリーベン公爵に、カイザルが鋭く怒鳴る。


「やめないか!リーベン公爵!」


 しかし、尚もリーベン公爵は言い募る。


「しかし、陛下・・・・・」


 カイザルは、リーベン公爵の言葉を無視してシャルロットを見つめた。


「シャルロット」


「はい」


 カイザルは、威厳ある声で淡々と告げる。

朝から練習していて良かった。王らしく此だけは言える・・・・・


「数日中に離縁の書類を神殿に送ろう。婚姻は、私がお前の後見人になり結婚を認める。」


「陛下ぁぁ!」


 リーベン公爵は叫ぶ。五月蝿い!


「黙れ。リーベン公爵」


 王太子が、リーベン公爵に鋭く言う。


「父上の決定です」


 シャルロットとルィンは、涙をこらえカイザルに頭を下げた。


「あがとう御座います!陛下!」


「あがとう御座います!」


 そしてカイザルは、イデアの方を見て此れからについて話 始める。


「イデア。お前は、王宮に部屋を用意する。そこに移りなさい。侍女も二人付けよう」


 イデア不満顔で呟く。


「私はここが好きなのに・・・」


「仕方ないですよ。イデア様・・・」


 渋るイデアを、ユリナが慰めているとルィンがカイザルに尋ねた。


「陛下。シャルロットを我が家に連れていっても良いですか」


 カイザルは深く頷く。


「許可しよう。シャルロットこれで許して貰えるだろうか?」


 カイザルは、伺うようにシャルロットを見た。

そんなカイザルに、シャルロットは幸せそうに笑った。


「はい。ルィンと一緒になれるなら」


「では支度を」


「「はい!」」


 カイザルが言うと、シャルロットとイデアが、支度をしにお茶をしていた部屋をでる。

ユリナは、そんな二人に続きながら、ん?と後ろを振り返り、その場に立った男達に言い放った。


「と言うか手伝って下さい!」

 

 だって、男手いるだろう?

ユリナがジロッとみると、リーベン公爵以外は大人しく付いてくる。


動かないリーベン公爵をユリナが見ると、睨まれた。睨み返すとリーベン公爵は最初は、普通に睨んでしたが、いきなりビクッと震えてこちらに向かい歩いてきた。

後ろを振り向くが、イデア様とシャルロットしかいない・・・何を見たんだ?

 別室に移り、皆で荷造りを始める。

 ルィンの屋敷に持っていくもの。イデアが王宮に持っていくもの捨てるもの。

 シャルロットとイデアが、テキパキと、王と王太子それからリーベン公爵に指示をだしている。


「陛下!それはこの木箱に入れて下さい」


「分かった」


 カイザルは置いてあった花瓶を、タオルで包み木箱に入れる。


「ルィン!それは全部 其所の木箱に入れて!」


「分かったよ」


 ルィンは台所から持ってきたカップ類を、ひたすら木箱に入れる。チマチマした作業は好きなようで楽しそうだ。


「ルヴイニ様!凄っ!綺麗に畳んでる!」


 ルヴイニと並んで服を畳んでいたユリナは、ルヴイニの器用さにビックリ。


 ルヴイニが畳んだ服は綺麗に同じサイズに畳まれいた。

ユリナはちょっと・・・・・ちょっとだけバラツキがある


「ユリナは・・・・・」


 ルヴイニは、何か言いたそうにユリナを見る。ユリナはニッコリ笑って・・・・・


「何か?」


「何でもない・・・・・」


 ユリナに見つめられ、ルヴイニは目を反らた。

ルヴイニは何事も無かったように畳むのに専念した・・・・・怖かった訳じゃないからな!その時。


 ガシャン!!


 部屋中に凄い音が響く、振り向くとリーベン公爵がイデアに叱られていた・・・リーベン公爵は叱られて縮こまっている。


「お爺様!なになさってるの!私は花瓶を、木箱に入れて下さいと言ったの!誰が割れといったのよ!」


「手が滑って・・・・・」


 イデアが、ギンとリーベン公爵を睨む。すると、リーベン公爵がビクッと震えた。


「お爺様!」


 イデアが、再びリーベン公爵を睨むと

 リーベン公爵はプルプル震えた。


「ひぃーすまなかった!許してくれ!」


 リーベン公爵は、孫に睨まれ地面にひれ伏した。

イデア・・・何したの・・・怯えようが凄くないか・・・・・


「イデア!もう許してあげて!父様。はい!箒です」


 シャルロットはイデアを宥めてから、リーベン公爵に近づき箒を手渡す、破片を入れる木箱もリーベン公爵に渡した。


 シャルロットがイデアの前に立ち、リーベン公爵の視界からイデアの姿が隠れると、リーベン公爵が偉そうに吠える。

地面にひれ伏したままじゃ、威厳がないがな・・・・・


「シャルロット!貴様は、娘にどんな教育をしているのだ!祖父にこんな態度をとるなど・・・・・」


「とるなど?」


 イデアがシャルロットの背中から、顔をピョコンと出すと・・・・

リーベン公爵は再びビクッとする。


「なっ・・何でもない・・」


 フフフフアハハハハハハ!


 いきなり、大きな笑い声が部屋に

 響く。

 全員が目を見開いて、声のした方一斉に見ると・・・・・

 すると入口に、一人の老人が立っていた。

 タンペットだった。どうして此処に居るのか・・・・

全員驚いて声がでない。


「お前の母にそっくりだな・・・・・イデア様は」


 タンペットは、ゆったり歩きリーベン公爵の前で止まる。


「公爵。お前が娘であるシャルロット嬢を助けなかったのは、イデア様がいたからだろう?

イデア様の顔や声が、厳しかったお前の母にそっくりだったから・・フフ・・・今のイデア様の叱りかたは、前リーベン公爵夫人にそっくりだ・・・なんとも懐かしい・・・・・」


 リーベン公爵は、ムッとしてタンペットを睨む。


「そんなことはどうでも良かろう!タンペット!何故貴様が此処にいるのだ!」


 タンペットはフッと笑い、王を見下ろした。王がしゃがんで作業をしていたので、必然的にそうなった。


「ああ。あのアバズレが居なくなったからな。

カイザルの目も覚めたようだし・・・・・まあ、ユリナがどうしているか気になるのが一番の理由だがな。

月に一度しか、村に来ないユリナが心配で心配で・・・・・・」


 ユリナは悲しそうに見えるように、タンペットを見上げる。

タンペットは背が高いので。狙ったわけではないよ。


「私そんなに頼りない?」


 タンペットは、ユリナを優しく見ながら答えた。


「頼りない。だから私は、イデア王女の教師になることにした。

録に、教育を受けさせて貰ってないだろう?そのままマグダリアに嫁げば・・・大変な苦労をするからな・・・・」


 カイザルは慌てて立ち上がり、タンペットに詰め寄った。


「まて!まて!まて!勝手に決めるな!教師も準備している!」


 タンペットはジロリと、カイザルを覚めた目で睨む。


「我儘姫を教育した教師か?媚を売るしか能の無い者の教育が、役に立つのか?」


 カイザルは言葉に詰まった。おっしゃる通りだ。


「うぐっ・・しかし、人事は王の仕事で・・・」


 尚も、カイザルはタンペットに言い募ると、鼻で笑われた。

・・・・酷い!


「フン!今までは、王妃の仕事だった様だがな・・・・・よし。

エカテ王女も、私が教育してやろう。二度と我儘が言えないようにしてやる」


 カイザルは必死で止めた

・・・・止めてくれ!


「えっ!そっそれは可哀想・・・・・」


 しつこいカイザルに、苛立ったタンペットが、睨み付けた。


「カイザル・・・貴様も教育してやろうか?」


 カイザルはプルプル震える。ひと睨みで首降り人形と化しす。


「すまない!誤る!お前の好きにしてくれ!」


「フッ・・・やっと昔のカイザルに戻ったな・・・

私が王宮を去るとき、貴様は何といった覚えているか?」


 タンペットは昔を懐かしむ目をして、悲しそうに目を伏せた。


 カイザルはうつ向きながら、ポツポツと口を開く。


「あの時はすまなかった!!どうかしていた・・メチェーリ家を潰すなどと・・・・・」


「分かれば良い。全てあの毒婦が悪いのだ!!エカテ王女を、毒婦にはしたくないだろう?」


 タンペットがニヤリと笑う。

 カイザルは、ムグッと口を尖らせて口を開いた。


「・・・・・分かった。エカテとイデアを立派な王女にしてくれ!次いでにルヴイニもな!」


 グイッとルヴイニを掴み上げ、タンペットに差し出す。

 ルヴイニは父に叫んだ。酷いよ!


「え゛っ!何で私!」


「次いでだ!エカテが可哀想だからな!出来るだけ守れ!」


 酷い!息子は可哀想じゃないのか!


「理不尽だ!」


 タンペットは不気味に笑い。何やら呟いている・・・


「フフフフ・・二度とユリナに手を出さないように・・・たっぷり教育してやる・・・フフ・・・」


 タンペットの呟きをカイザルは聞いてしまった。

・・・聞きたくなかった・・・・・


「・・・はやまったかも・・・」


 カイザルとルヴイニが、葬式にでもいったような顔で項垂れる。

 仕事が進まん!

 ユリナがパンパンと手を叩き、湿っぽい空気を払った。


「さあ!サッサと終わらせますよ!タンペット先生も手伝って下さい!」


 タンペットは楽しそうに、ニヤリと笑う。


「心得た!」


 全ての荷物を皆で運びだし、リーベン公爵が割った花瓶を片付けて、夕暮れ時にやっと引っ越しが終わった。

 終わった後で。ふと、あることにユリナは気付く・・あっ・・


「あれ?侍女や騎士達に手伝って貰えば速かったんじゃない?」


 ・・・暫くの間、沈黙が流れた・・そういやそうだ・・・・・


「・・・わっ私なりの償いだ償い!」


 カイザルは苦しい言い訳をした。

 他の者も気づいてなかったらしく・・・・・


「そっそうですね」


「・・・・・」


「考えもしなかったわ」


「以外と、楽しかったんだから良いんじゃない?お爺様の弱点も分かったし」


 ルヴイニが気付かなかった事に驚き、ルィンは沈黙、イデアはリーベン公爵を見ながら呟く・・リーベン公爵はビクッと震えた。


 タンペットは、ゴホンと咳払いして結論をのべた・・・曰く。


「過ぎたことは気にするな」


 である。まあ、どうでも良いか・・・・・結果は変わらない。


 ユリナは、皆と一緒に王宮に向かいながらウキウキしていた。

 これから・・とっても楽しい事になりそうだ!


 タンペット先生はとっても厳しい。

 エカテ様が、ヒィヒィ言うのが目に浮かぶようだ。

・・・フフフフ良い気味!あー楽しい!人の不幸は蜜の味だね!!

・・ん?・・私性格悪くないか!んーまあ・・良いか・・・・・


 そして、ユリナは住み慣れてきた離宮を後にして、王宮に向かう。


 ユリナ達の新しい生活が始まった・・・・・



どうでしたか。王の謝罪でした。

次はキャラが増えてきたので、キャラ紹介です!

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