来世に期待します!
一話で収まりきらなかったので、もう一話あります!
ユリナが城に入ると、直ぐに謁見の間に連れていかれた。
謁見の間には、大量の貴族達がいて(今日。城につくとシュエから連絡を受けた王は、急いで貴族達に連絡してユリナが侮られないよう、箔をつけるために集められるだけ集めた)大量の貴族が見守るなか、ユリナの叙任式を執り行った。
叙任式が終ると、ユリナ達は急いで王妃が住んでいた部屋に向かう。
そこで待っていたのは、王妃付きだった上位侍女に(王妃付きは気位が高く、平民の世話をするのは嫌なハズなのだが、必死な形相だったから家を盾に脅されていたかもしれない)王妃が使っていたエステグッズとオイルを、これでもかと使われてユリナは身体中をピカピカに磨かれた。
シュエは、叙任式と一緒に結婚式の準備もしていたらしく(私が断るとか微塵も考えてなかったみたいだ!悔しい!!)ピカピカに磨かれたユリナは、直ぐ様 婚礼用のドレスに着替えさせられて、式場である神殿に向かう馬車に乗せられた。
移動中、馬車に相乗りしているシュエにユリナは叫ぶ。
「シュエ!!これ!いつの間に作ったんだよ!」
衣装にビックリした!何がビックリかと言うと、サイズがピッタリなのだ。
シュエ!!いつの間に測ったんだよ!
「気に入らないか?」
「めっちゃ好み!」
このドレスは淡いスカイブルー。
そして、その上に何段ものシフォンドレスが水色青、藍色と段々と濃い青に代わる様な仕様で、ドレスの縁には銀色の刺繍までしていた。
そしてドレスには、小粒のサファイアがちりばめられていて、髪飾りは青い羽に大粒のサファイアがついている。
物凄く豪華で、しかも私の好みど真ん中だった!
「髪飾りは俺だぞ!」
「うん!髪飾りも勿論気に入ってる!」
シュエとは反対側の隣に座っているグレルが、誉めて誉めてと言う犬みたいな顔をしていたので、頭を撫でてあげると嬉しそうに笑った。
三十分位して神殿にたどり着き、ユリナとシュエとグレルの結婚式が始まった。
式場は、なんと言うか・・・がっつりユリナの好みに作られていた。
「・・いいのか?こんな結婚式でいいのか!?」
式に参列していたマグダリアの王太子、イグニスが騒ぐのも無理はない。
実は・・
「結婚式が青一色ってすごいですね・・・普通白じゃないですか?」
「参列者も青一色ね・・・何故?」
ルィンとシャルロットが物珍しげに回りを見渡していると、入り口から新郎新婦が入場してくる。
丁度、宰相夫妻の前を通った時。
地獄耳のシュエが、小声でシャルロットの疑問に答えてくれた。
「私が殿下にお願いしたんですよ」
「脅したの間違いだろ!!」
シャルロットの隣にいたルヴィニが小声で唸るが、シュエは小馬鹿にしたように笑うとそのまま進む。
結婚式の真っ最中に、言い合いをする気はないらしい。当たり前だが。
ユリナは歩きながら、さりげなく回りを見渡した。
そして、余りの事にため息をつく。
「何故・・こんな事に」
「ユリナが前に言っていただろう?結婚式は青一色が良いと」
「・・・だからって・・カーテン所か建物まで染めるって・・?神官様も青一色!いいのかよ・・」
普通。結婚式会場となる神殿は白に統一されていて、貴族の結婚式だとしても、神官の官服も白に様々な刺繍を施させれている程度だ。
しかし、この神殿は外壁は濃い藍色。
内壁は空を見上げるような気持ちの良い青で、カーテンや神官が待っている壇上台は、深い海の底のような青。
参列者達が座る椅子も濃い青色だ。
そして、壇上台の前にいる老齢の神官は涙目だった。
可哀想に・・・イグニスの時とは規模がちがうから現状復帰できないだろう・・・
「問題ない・・そろそろ無駄話はやめるか」
三人は壇上台まで上がると、神官の前で止まった。
それを確認すると、神官は結婚式を始めるために静に口を開いた。
その数年後。
王位を弟に押し付けて、無理矢理一般竜になった竜王と、甥っ子に王位を押し付けて自由になった魔王。
ミンストレルを養女にして、教王を継がせた(無理矢理)サヴァーが、ユリナの前に現れる。
そして、言葉巧みにユリナを騙し(珍しい食べ物とかで懐柔して、油断させた)なし崩し的に結婚した。
ユリナは、第一夫。シュエとの間に二男一女。
第二夫。グレルとの間に一男一女。
第三夫。元竜王、炎華との間に一男二女。
第四夫 。元魔王、ルシフルとの間に一男一女。
第五夫。元教王、サヴァーとの間に二女。
合計。五人の夫と婚姻し十二人の子供を産むはめになってしまった。
まあ・・本当に全ての事柄は夫達がやってくれたし、生活費は領地の収入とは別に、夫達が多額の持参金(民家位の金貨の山が!!)が有ったので、子沢山でも全く生活に困らなかった。
のんびりと、食っちゃ寝をしながら生きてきた数十年。
彼女は今。42年の生涯を閉じようとしていた。
死因は・・
「ギヤアハハハハハハハ!!!うっそ!!マジか!アハハハハハハハ!神を笑い死にさせる気!」
「五月蝿い!!仕方無いじゃん!!美味しかったんだから!」
そう。日本の年末の死因上位。
餅を喉に詰まらせての窒息死。
そもそもは、ユリナの次男ユウが、ユリナを喜ばせようとハヤワーンから餅米送った事が原因だ。
餅米は有るにはあったが、余り美味しくなかった。
それを、ユウが(マザコン+研究中毒者)今年品種改良に成功して、日本の餅米のような餅米を作り出したのだ。
その餅米をシュエとグレルが蒸してから、ついて餅にし、汁粉、アンコ餅、きな粉餅等にして(小豆、大豆も、マザコン次男が母の為に甘味に合うように品種改良した)食べたのだが、ユリナが余りにも食べるので、作った分が直ぐに無くなり、シュエはユリナの側から離れて厨房で追加の餅を蒸していた。
その時。事件は起こる。
ユリナが、調子に乗って五つの餅を一気に食べたのだ。
そして、今。ユリナは窒息死した・・何か恥ずかしい最後だ。
ユリナは霊体の体をプカプカ揺らしながら、自分の死体に泣きつく夫達を眺める。
今。言えることは一つだけ
「来世こそは!ボッチ人生!孤独死を!!」
拳を振り上げ、高らかに宣言するユリナ。
その後ろで、神様はニヤリと笑う。
彼女の望みは叶わないだろう。
神は、近くも遠くもない未来を見ながら微笑んだ。
次の話でユリナの物語は完結です!
2話同時に投稿しています!




