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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
私は幸せだと思います・・・多分。
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どういう事だよ!!!

 


 数日後。


 ユリナ達をのせた馬車は、無事にゼルギュウムの王都のついた。

 馬車が王都の門の前に止まると、門番の兵士が近づいてくる。


「身分証を出してください」


「はい」


 御者をしていたグレルが、二人いる門番のうち一人に身分証を見せる。

 すると、門番は飛び上がって驚きビシッと背筋を伸ばした。


「!!少々お待ちください!」


 門番はそう叫ぶと、城に向かって走り去って行った。


 そして、数分後・・・


「ユリナ!!無事だったんだな!」


「良かったわ・・・本当に・・・」


「ユリナさん!!心配したんですよ!」


「ユリナ!!無事で良かった!」


「ユリナ!!」


「無事で何よりだ」


 涙で、顔をグチャグチャにしたゼルギュウム王太子。涙ぐむ、イデアの母で宰相夫人のシャルロット。宰相のルィン。ゼルギュウム王カイザル。

 そして、なぜかマグダリアに嫁いだイデアと、イグニスがいた(イデアはもう大分お腹かが大きくなっている)


 ユリナは目を見開いて叫んだ。


「何で、イデア様達がいるの?!」


「何でですって!どれだけ心配したと思ってるの!」


 ユリナが叫ぶと、イデアは目を吊り上げてユリナに詰め寄った。


 メチャクチャ怖い。


「ごっごめんなさい」


 ユリナがビクビクしながら謝ると、イデアはフンと鼻を鳴らしてからニヤッと笑った。


「まあ良いわ!直ぐに叙任式をするから支度をするわよ!」


「叙任?誰の?」


 ユリナが首をかしげていると、イデアは目を見開き叫んだ。


「貴女のよ!聞いてないの?!シュエ!貴方何も教えてないの!」


「シュエ!どういう事だよ!」


 イデアとユリナに睨まれたシュエは、二人の鋭い視線に焦ること無く淡々とした口調で口を開いた。


「ユリナが神族を救った事で、ユリナは神族に対する影響力を得た。

 そして、国宝を返して回った事で諸外国との外交の役目を果たした。褒美は金貨では不十分だろう?」


「だからって何で!」


「ユリナ」


「なっ何よ!」


 ユリナ思わず逃げ腰になった。


 何故なら、シュエがいきなりひざまづいたからだ。


 まるで騎士が姫に・・いやいやいやいや!!考えるな!自分!嫌な予感がするけど逃げれない!


「ユリナ。君が手にする爵位は伯爵位。

 ユリナが生まれた村の、2つ前の村から国境までが君の領地になる」


「だから何で!」


 いらない!!領地なんかいらないよ!


 心の中で叫ぶユリナに、シュエは安心させるように優しげに笑った。


「君は・・・ユリナは男に養って貰うのが嫌だと言っていただろう?

 しかし、君が新たな貴族家の主になれば・・ユリナが夫を養う形になる。

そうすればユリナは、私の提案を受け入れてくれるかもしれないと・・・そう私は考えたんだ」


「提案?」


 ユリナが首をかしげると、シュエはどこか誇らしげにユリナを見上げた。


「ユリナ。今ゼルギュウム王国では新たな法が作られた。貴族位の重婚だ」


 たしか、貴族は正妻の他に側室。公式な愛人を作ることができる。


 今更な制度だ。


「え?いままでも有ったじゃ・・・」


「女性の重婚だ」


「え!?」


 女性!!女性の重婚って言った?!


 この世界では、女性の社会的地位はかなり低い。

 平民もだが、女性は男性の3歩後ろ歩くモノだと言う風潮が強く、婚家で女児しか産めないと離縁されたりする。


 女の子しかいない家は、親類から跡継ぎになる男の子を引き取ったりするので、女性が家督を次ぐ事はまずない。


 しかし、国に何か大きな貢献をした女性が、爵位を貰ったりすることは有るにはある。


 だが、大体は一代限りだ。


 しかし、女性の重婚など有り得ない!!頭の固い爺どもが納得したなんて!


「まあ、制約はあるがな。まず、最低でも伯爵位の爵位があること。

 次に当主であること。

 王の承認が得られる事。

 相手の了承と相手側の両親の了承を得られる事。」


「まさか・了承 得たの!!マジで!」


 かなり有り得ない!大体の親は拒否するだろう!

 シュエの両親は、よく跡継ぎを手放したな。


「ああ。大変だったがな。

 ユリナ・ウイング伯爵」


「なっ何!」


「これなら、私を夫にしてもらえるか?」


 シュエがまるで、餌を目の前に待てをされている飼い犬の様な目でユリナを見上げた。


「どうだろうか?」


 ユリナは何も答えない・・答えられない。

 確かにこれなら男の下ではなく、自分が家長になるが・・いや、しかし・・


「私は、メチェーリ家の次期当主だったから領地経営の教育は受けている。

 家事も育児も心配ないぞ?メイドに教わっているからな」


「俺も狩が得意だからな!毎日肉を食わせてやれるぞ!

 何なら毎日。水わたりでいろんな国で肉を買って来る事もできる!」


 シュエには色々突っ込みたいが(領地経営は良いとして、何故育児まで習ったんだよ!!)それより、グレルまで参戦していた!!


 誰か助けろ・・くそ!!皆生暖かい目で見守ってやがる!!


「貯金も十分あるし、足りなければ魔物を狩って売れば、十分な収入を得られるから何の心配もない」


「掃除だって何だって俺達がやるからさ!ユリナはのんびりしていればいい・・・だから」


「「結婚してください!」」


 チクショウ!!!


 ユリナは、ジロリとシュエとグレルを睨み付ける。


「私でいいの?」


「「ユリナがいい!」」


「・・・私は男を敬わないよ?」


「「構わない」」


「家事も絶対しないよ」


「「私達がするから問題ない」」


「・・・子供産めるか分からないよ?」


 この世界では、女の価値は子供が産めるか産めないかで大きく変わる。


 しかし二人は・・・


「子供ではなくユリナが欲しい」


「ユリナがいればいい!」


 二人はそう叫ぶと、ニッと笑いながらユリナを見上げた。


「後、何かある?」


「嫌な理由まだあるのか?」


 ユリナはウグッと言葉に詰まり、項垂れながら口を開いた。


「・・・ない」


 そして、ユリナは二人の夫をてに入れた。


 面倒だが仕方ない・・・・


断る理由を全て潰されたのだから・・・・・・



次回最終話!!

次の投稿は、11月04日です!

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