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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
メイド 編
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契約魔術

遅くなりました!申し訳ないです!

 

 響き渡る悲鳴。それを聞きつけたシュエが、2階から飛び降りて地面に着地。


そして、猛スピードでユリナの元に走ってくる。


 普通は足が、悲鳴をあげて動けなくなる高さなのだが・・・・・シュエには問題ないらしい。


 シュエがユリナの元につくと、ユリナは恐怖の余り、パニックになって出鱈目に走り回るっていた。


 ユリナは幽霊と高い所が駄目で、生前は夜にトイレに行くのも恐ろしかった・・・・・

怖いくせに、好奇心で心霊番組を見ては眠るのが怖くなる・・・

アホ娘だ・・・

 パニックになるユリナをシュエが抱き締めて宥めると、ユリナはやっと落ち着いて、シュエを抱き締めた。


 その時。井戸から声が響く。


「おい!オバケじゃねぇよ!助けろよ!足場が壊れたんだよ!ルー王子!ノワール!助けてくれ!」


 叫んだユリナにビックリして、固まっているルヴィニとノワールが、慌てて声の主が友人の近衛だと気づき急いで井戸に向かい、井戸に手を突っ込んだ。


 ルィンは行こうとしたが、邪魔になるからとイデアに言われて・・・

力がないからって・・・・

 ルヴィニとノワールの二人が声を合わせた。


「「せーのっ!」」


 勢い良く金髪が井戸から飛び出てきた・・・・・あれ?彼奴は・・・・・


「グレル!?」


 ユリナが叫ぶと、グレルはユリナに気づき嬉しそうに叫んだ。

そのままテーブルに走り寄ってくる。


「ユリナ!公爵家で働いてたんじゃないのか!?ユリナに会えるなんて・・・・・ぐはっ」


 大好きなユリナに、抱き付こうとしたグレルを、シュエがおもいっきり殴り飛ばした。


 え!?四人は盛大に叫んだ。


「「「「いきなり!」」」」


 ユリナだけは、嫌そうにグレルを見ながらシュエにきつく抱きつく。


「何しにきたのよ!」


 殴り飛ばされ壁に激突したグレルは、何事も無かったように立ち上がり、ユリナに近付く。


そして、ユリナの一メートル位前で止まった。グレルは悲しそうにユリナを見る。


「俺は今、マグダリアの王太子の近衛なんだ。

あれから、大伯父さんの所で警備兵やってたんだけど、マグダリアとの国境の町で、魔物を退治してたら流水術士なのが分かってさ・・・・

近衛に引き抜かれたんだ。今日はイデア様宛の手紙を預かって・・・・・

ユリナは、まだ怒ってるのか?あの時のこと」


 ユリナは、つーんとそっぽを向く。

 シュエはグレルを睨んだまま、ルヴィニに鋭い声で言いはなった。


「ルー王太子。ユリナの解任を要請する」


 ユリナは驚いてシュエを見る。


「何でよ!」


「理由は・・・・・・」


 勇気を振り絞り、シュエに質問した王太子と、その近くに居たために巻き沿いを食った三人は、シュエに睨まれビクッとした。

 憐れ!被害経験者!


「イデア様はマグダリアの王太子のと結婚する。それは分かるな?」


 ユリナは頷く。


「うん」


 シュエは、ユリナに優しく優しく語りかける。相も変わらずユリナにのみ優しいな・・・・・


「他国に王女が嫁ぐ場合。侍女もついて行く。今、イデア様の侍女はユリナだけだ。マグダリアに行ったらいつもコイツがいるんだぞ!」


 あ!側近なら毎日・・・・・うわ゛っヴゼェ!

 ユリナは、申し訳なさそうにイデアを見た。


「イデア様・・・・・御免なさい・・・・・」


 イデアは固まった。え!

 シャルロットは悲しそうな顔をしてユリナを見る。

やめて!罪悪感半端ない!


「あー・・・侍女やめないから・・・・・」


「ユリナ!」


 情にながされるな!シュエの目が雄弁に語る。

だって!親友のお母さんなんだもん!そっくりなんだもん!心が痛い!


「そっそんなに・・そんなに・・嫌なのか」


 グレルは、絶望したように地面に手をついた。

そんなグレルに周りが憐れみの目をむける。

だだし、シュエとグレルの事をユリナに聞いて知っているイデア。

そして、折角付いた侍女が辞める元凶を作った男に、軽く殺意の芽生えるルヴィニはグレルを睨み付ける。


 ユリナの怒りが深い事をしり、グレルはユリナに向かってで下座して、頭を地面に・・・・・


「すまん!昔のことは謝る!これからはしつこく言い寄ったりしない!ユリナの言うことならパシリでもなんでもする。

嫌なことはしない。マグダリアの珍しい菓子や青い物を毎日献上する!死ねと言われれば死ぬし、消えろと言われたら消える。

マグダリアに来たら、ユリナの部屋の掃除と洗濯物も・・・・・」


 イヤイヤイヤ!そこまでするか!


 その場にいる者達は、心の中で突っ込んだ。

ただ、シュエは当然だと思っている・・・・・

ユリナ崇拝者 恐るべし。


「掃除洗濯は下女の仕事でしょ?仕事とったら悪いよ・・・ お菓子を本当にくれる?」


 そこか!シュエ達は、心のなかで叫んだ。意地汚い!


 ユリナは、おずおずとシュエの影から出て、グレルの前に立つ。


 グレルは、ユリナの目の前に膝まづいて、主に対する礼をした。


「私。グレル・アルシルはユリナ・ウイングの命令に従い、未来永劫けして逆らわず裏切らない事を誓います」


 グレルの魔力がユリナを包み、ユリナの魔力を少し取り込む。

そして、グレルの体に戻り胸に吸い込まれた。


「魔術契約・・・・貴様・・」


 シュエは、グレルに掴み掛かる。

 それをユリナが止めた。


「シュエ。やめて、グレル、自分の首を絞めて」


 瞬間。グレルは自分の首を絞める、苦しむグレルはもがき、やがて動かなくなった。

手の力は入ったまま・・・・・


「絞めるのを止めなさい。」


 動かなくなったグレルは、自らの手を離す。 完全に意識はない。


 周りは唖然として固まった。

シュエを覗いて・・・・・


「ユリナ。グレルはまたお前の気持ちを無視して、魔術契約なんてしたんだそ!赦すのか!いっそ私が・・・・・」


 魔術契約。この世界の人間は、大小はあるが魔力を持っている。


魔力は、血液のように体を巡らせている。

魔術は、それを操り形にするもので、魔術契約とは本来。魔獣と契約するときに使うモノだ(魔獣は知能が高く会話が成立する)

互いに条件を出し、それを了承すれば契約完了となる。


だが・・・

グレルのおこなった契約はユリナに制約を捧げ、無条件に命を捧げる様なものだ。


契約の証の魔法陣も、グレルの体にのみ刻まれた。


グレルが違反をすれば魔法陣の力で命を落とすが、ユリナは何の縛りもない。


しかも、先ほどのように命令すれば命を・・・・そんな契約なのだ。


血脈に等しき魔力を縛る契約。軽々しくするモノではない・・・・


 シュエは、大それた契約をユリナに無断でおこなったグレルに、怒り狂っていた。


回りが、ユリナをどんな目でみるか考えもしないで!


 ユリナは、怒るシュエの目と自分の目を合わせ、駄々っ子を宥めるように頭を撫でながら語りかけた。


「シュエ・・グレルは誓いを私にしただけだよ?見たでしょ?

私はグレルを生かすも殺すも自由。

話には聞いてたけど生殺与奪の権利って本当みたいだ。

だけど・・・私にはなんの制約も科さなかったでしょ?

妻としての役割を押し付けようとした・・あの時とは違うよ?

怒る必要はないよ・・

フフッ少し見直したよ・・・グレル・・・・・」


 ユリナは気絶し、泡を吹くグレルに近付き頬に口付けをする。


「「可哀想に・・・・・」」


 王家の兄妹達はしみじみ言った。


「気絶してなかったらな・・・・」


 ノワールも気の毒そうだ。


「わっ私はあんな怖い人は御免です!」


 ルィンはユリナに恐怖し、シャルロットにしがみついた。シャルロットはルィンを抱き締める。


「私は怖くないわよ・・・ルィン」


「分かってるよ」


 二人は甘い空気を振り撒いた。

 シュエはムスッとして、ユリナに近付く、少し・・・・少しだけグレルを蹴りユリナに膝まづいた。


「私。シュエ・メチェーリは未来永劫、ユリナ・ウイングに逆らわず裏切らない事を誓います」


 青白い光がユリナを包みシュエの胸に入り消える。


「シュエ・・・・・」


「グレルが良くて私は駄目か?」


 悲しそうに上目遣いで見られた・・・何も言えないよ・・・


 シュエに関しては皆は驚かない。


 やっぱりな・・そんな感じだ。


 気絶したグレルを敷物の上にのせ放置し、シュエは修復に戻る。

シュエは何故か壁を登って行った。

・・階段いけよ!


 シャルロットとルィンは、ラブラブするのに忙しいので放置し、イデアとユリナとルヴィニはマグタリアからの手紙を広げた。


 因みにノワールは、憐れなグレルの為に気付け薬を取りに行っている。


「・・・・・歌か?」


 イデアは赤くなる。


「讃美歌みたいな口説き文句・・用件は何処だよ・・・」


「んーあっ!此処だ!えっと近々婚約の調印に来るみたいだな」


「え!来るの!?いつ!」


「来週だな」


「え!?こうしちゃ居られないわ!ユリナ!マッサージ出来る?」


「うん。仕込まれた」


 侍女の仕事の一つなので、かなり厳しめに・・・・・


「じゃあ一緒に来て!」


 イデアが嬉しげに、ユリナの手を引いた。


「風呂は今修理中だろう!」


 ルヴィニが、修理中の建物を見ながら言った。


「そうか・・・いつ終るのかな」


 イデアは残念そうに建物を見ながら呟いた。


「まあ、まだ掛かるだろうね・・・・・」


 ルィンが、お茶を飲みながらノンビリ答える。


 皆でマッタリお茶をしていた。


 暫くすると、復活したグレルが井戸の近くで叫ぶ。

ノワールは、再び修理の手伝いに行っていて既にその場にいない。


「イデア様!俺はマグダリアに戻る。すぐ戻ってくるから手紙の返事用意してくれ!ユリナ!菓子を買ってくるから待ってろよ!」


 ボチャン!グレル井戸に消えた。

ユリナは不思議に思い、席を立って井戸に近付き中を覗く。


「んー?転移陣 何て無いのに・・・・」


 不思議がるユリナに、ルヴィニがああとユリナの疑問に答えた。


「ああ。グレルは水渡りって術が使えるんだ。

流水術士は水属性の上位術士で、氷結術士の様に水を凍らせたり霧にさせたりは出来ないが。水と名が付くものを操れる。

そして、自分の体を水に変えることができて、その術を使い転移できるんだ。水は繋がっているからな。

例を挙げると、この井戸に入り水渡りをする。

するといくつか、出口になる水場への道が見えるらしい。

それからマグダリアへの道を選び、マグダリアの王宮の池から出てくると言った具合だ」


 ルヴィニの話を聞いたユリナはビックリ。凄い術もあるもんだな。


「ウォォォ!凄いな」


 ルヴィニが、ユリナの雄叫びにになんとも言えない顔をした。

・・・・お前・・・・・


「お前・・・もうちょっと・・・・」


 ユリナは井戸からテーブルの自分の席に戻り座ると、ルヴィニにニヤリと笑いかける。


「女らしく。なんて言うなら・・・・

シュエにルヴィニ様に襲われた!って言うよ?」


 ルヴィニは慌てて口を閉じる。

 危ないところだった・・・


 何事も無かったようにお茶を飲んでいるユリナに、イデア以外の四人は恐怖を感じる。

余程(女らしく)と言う言葉に恨みがあるのだろう。


 イデアは、前から怨み辛みを聞いているので当たり前に思うだけだった。勿論前世柄みだ。


「まっまあ 侍女が付いただけでも良かったわね・・・・・」


 シャルロットが無理矢理笑いながらイデアに言った。あまり良くなさそうだ


 しかし、イデアは嬉しそうにユリナに抱きつく。


「そうでしょ!!母様!ユリナが一緒ならなにがあろうと大丈夫って思うでしょ!」


 ユリナも、楽しそいにイデアに抱きついた。


「うん!私はイデア様のために頑張るよ!イデア様を虐める奴は・・・フフ・・・イデア様に泣きながら許しを乞うようにしてあげるよぉぉ?」


 肩を組んで、キャイキャイ騒ぐ二人を見ながらシャルロットは安心したように微笑む。


「フフ・・・そう・・・

貴女は絶対の味方見つけたのね・・・

何か・・凄い子だけど・・・・貴女が幸せなら・・・・いいのかな・・・・・」


 シャルロットが、悩みながらもうなづく。

何か二人以外が不幸になりそうだ。


「シャル!深く考えるな!考えたら御仕舞いだ!」


「シャルロット様!ユリナには逆らわないでくれ!恐ろしい事になる!」


「シャル様!お願いします!」


 ルィンとルヴィニが悲鳴のように叫び、ノワールがシャルロットに懇願する。


 シャルロットはためらいがちに頷いた


しかし・・・必死すぎる・・何があったんだろうか。


 皆でギャイキャイ騒いで居ると建物の入口に人影が近付いてくる。

シュエ達だ。気付けば日も傾いていた。

もうすぐ数分もすれば夕方になるだろう。洗濯物も乾いている。


「屋根と部屋の修理と掃除。

家具の新調。カーテンに絨毯の入れ替えと浴室の備品と・・・・・兎に角全て入れ替えた。

ユリナ。お前の荷物はイデア様の続きの部屋に運んだ。外壁はまた次の非番にやるから・・今日は此処までだ。ユリナ・・・・またな・・・」


 シュエは名残惜しそうにユリナを見る。ユリナはバイバイと手を振る。

ユリナは笑顔だ・・シュエが可哀想だな・・・・


「バイバイ!また今度!」


「いや!明日来るぞ!様子見に!何か菓子を持って来るから!」


 慌てて訂正するシュエに、ユリナはパアッと嬉しそうに抱きついた。


「え!シュエ大好き!待ってるよ!」


 意地汚い!

 二人以外の全員が心の中で思った。シュエ・・・それでいいのか!


 辺りが夕焼け色になる前に急いで洗濯物を入れて畳んむ、洗濯物を抱えて何処に直すかシャルロットに聞いてからしまった・が・・離宮は凄い事になっていた・・・・・

辺り一面腐りかけの板で、少し歩けば天然の落とし穴に嵌まるような、そんな床が新品の板になって磨きあげられている。

 壁は、穴ぼこだらけだったのに綺麗になり、天井は雨漏りの跡はなく新築のようになっていた。

廊下には花瓶もあり、その下の台は公爵邸でよく見る高級なものである。

洗濯物を片付けた後。皆で茶器やテーブルを綺麗になった部屋の一つに運び込む。

 男性陣は、ため息をつきながら回りを見渡した。


「凄いね・・・・・」


「ああ。シュエは本当に何でもありだな」


「ええ・・・・・」


 ユリナの為なら、何でも出来るらしい。ユリナの為にしかやらないが・・・・


 シャルロットとイデアも驚いたが好奇心の方が勝った様だ。


 あっちこっちで楽しそうに探検をしている。


 男性陣は振り回され、疲れきり時間も遅いので帰っていった。


 ユリナ達は三人で綺麗になった台所でベーコンと卵を焼いて、軽く炙ったパンに挟み、ハンバーガー擬きを作りながら昨日の残りのスープを温める。

温め終るとお皿に注ぎ、野菜で簡単なサラダを作った。


 それを綺麗になった食堂に並べ、ワイワイしながら楽しく食べた。


 片付けをして、時間も遅いので各々の部屋に戻る。


 今日は疲れた・・・・・


 ユリナは直ぐに寝間着に着替えベッドに入る。

ユリナは目を閉じて思う・・・これから大変だな・・と・・・


まあ・・なんとかなる・・か・な・・


 ユリナの長い長い1日が終わった。



グレル君。マグダリアにいました。

彼は頑張っています!

次は、マグダリアの話になります。

次回も宜しくお願いします!


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