騙された!!
「ユリナ様!!いらっしゃい!!」
暫く町を馬車で走り、ユリナ達がスズの新居がある貴族街に着く。
スズ達の新居は貴族街で、アナコンダ族が住む地域に立てられていた。
キャット族の住む地域に、ハウンド族であるスズが居るのは気まずいし、ハウンド族の住む地域では、コタロウにどんな嫌がらせをされるか分からない。
なので、中立の一族の地域に立てさせて貰った。
アナコンダ族「ああ。いいですよ」と軽く了承してくれた。
アナコンダ族は、他の一族が自分達の土地に住む事に嫌悪感は無いらしい。
ユリナ達は真新しい建物前で馬車を止めると、玄関の呼び鈴を鳴らす。
すると、スズが嬉しそうに飛び出してきた。
ムネスケから事前に連絡を貰っていたらしい。
「お邪魔します」
「失礼します!」
スズは、馬と馬車を馬屋連れていってからユリナ達を客室に案内する。
客室に案内すると、スズは二人に問いかけた。
「ユリナ様。お昼何にする?」
今は丁度昼時だ。
「うどんと親子丼!!」
「了解です!」
ユリナが元気よく答えるとスズは、クスクス笑いながらリクエストに答えるために台所に向かった。
因みにグレルは、黙々と荷物を片付けている・・・貴族の付き人みたいだ。
その数日後。
コタロウは、王に呼ばれて城の中庭に来ていた。
しかし。そこで行われていたのは・・
「陛下・・何ですか・・これは」
着飾った若いハウンド族の女性が、ウジャウジャウジャウジャ・・これはもしかしなくとも・・・
「・・お前に伴侶をと・・」
王がそう言うと、コタロウは王に叫んだ。
やはり見合いか!!
「必要ありません!私にはスズが・・」
しかし・・
コタロウは最後まで言う前に、女性達に連行されてしまった。
女性達はコタロウの腕を掴み、中央のテーブルに・・そこには・・
「コタロウ様!」
「此方においでになってくださいな!」
「冷たいお菓子も有りますわよ!!」
「コタロウ様!」
「コタロウ様ぁぁ!」
沢山の女性達が、コタロウの居るテーブルを囲い込んでいた。
そして、次々にコタロウに甘い声で語りかけてくる。
発情期の猫の様だ。
辺りに漂う、余りにも濃い香水の臭気にも吐き気がする。
コタロウは堪らず、遠くで自分を眺める王に叫んだ。
「陛下!!助け・・・・」
だか・・王は軽く首を振る。助けてはくれないらしい。
コタロウが絶望的な顔をしていると、ガジッと腕を掴まれた。
「「「「お話ししましょう!」」」」」
「・・・頑張れ・・・」
王がボソリとそう言うと、コタロウはギロリと王を睨んだ。
王を殺しそうな・・殺気だった目で・・・・
騙されたでした!
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