神前式
ユリナ達は、スズ達と別れた後。
城には行かずに(前もって、連絡などしてないので問題無い・・多分・・)街に宿を取った。
そして、宿屋の人間に馬車と馬を預けて借りた部屋に、荷物を置いてから三人は服屋を探した。
結婚式に着る服を探す為だ。
ハヤワーンの服装は独特なので、ドレスはかなり浮く。
なので、結婚式用の服を探しに来たのである。
結婚式用の服を探しているので、安い服屋ではなく。三人は、礼服等を置いている高級店を探す。
三人が、街を歩き回る事・・数分。目的の店を発見した。
店を発見したシュエとグレルは、めんどくさがるユリナを、捕獲されたグレイのように、両脇から抱えて店に入る。
「ア~ア・・めんどくさい・・・」
シュエとグレルが服を選んでいる後ろで、ユリナが嫌そうに呟いた・・
「ユリナ」
シュエが、一着の着物をユリナに渡しながら、ジーっと見る・・
ユリナはそんなシュエに、ため息をつきながら着物を受け取った。
「ハイハイ着替えますよ・・着替えれば良いんでしょ」
ユリナは嫌そうに言うと、奥の部屋に向かった・・
奥の部屋には三人の女性が待機していて、ユリナの着付けを手伝ってくれるらしい。
「御召し物を脱いでくださいな。外国人さんは、着物の着方分かりませんでしょ?私達が、着付けをして差し上げます」
「追加料金かかる?」
「大丈夫ですよ。この店では、無料で着付けをしていますから」
「そうなんだ。じゃあお願い」
ユリナはそう言うと、直ぐに服を脱ぐ。
ユリナが服を脱ぐと、女性達はテキパキと着付けを開始した。
十分後・・着付けが終わり、ユリナはシュエ達が待つ店の待合室に向かった。
待合室に現れたユリナは、濃い青に白い蝶が涼しげに舞っている様なデザインの着物で、帯は白。帯留めは赤い物をつけている。
それからユリナは、赤い髪を結い上げ、髪には大輪の白い牡丹があしらわれた簪を着けていた。
待合室に入ってくるユリナが、少し・・恥ずかしそうに照れ笑いすると、シュエが見惚れたように呟いた。
「・・綺麗だな」
シュエが呟くと、グレルは目を輝かせて叫ぶ。
「似合うぞ!ユリナ!」
ユリナはシュエとグレルの反応に、照れながらも呟くように口を開いた。
「・・うん。綺麗だよね・・これ・・・
しかも私好みだし・・シュエ、グレル・・アンタ達。凄いよ・・ありがとう」
ユリナが二人に笑いかけると、二人も照れてはにかんだ。
「それほどでもない・・しかし・・」
シュエがチラリとユリナを見ると、ユリナは、いつの間にか・・二着の着物を手にしていた。
「俺達もか・・」
シュエとグレルは。ため息をついたが自分達も同じ事をしたので強く言えず・・大人しく奥の部屋に向かった。
数分後。
着物に着替えたシュエとグレルが、控え室に戻って来る・・・お!・・凄い!!
「似合ってるよ!二人とも!!でも着流しの方が危険な香りがするからいいな・・・」
シュエは着物を着ると、戦国時代の武人の様な鋭い感じだ。
反対にグレルは、江戸時代の小国の殿様みたいだった。
しかし・・少し・・あっち側に、片足を突っ込んでいるユリナは、もうちょい・・危険な香りが欲しい・・・
「・・・・結婚式が終れば着てやる」
「ハヤワーン式以外の服は、此処では目立つからな・・・・」
ユリナは、二人の返事に笑顔で頷くと二人の手を取って立ち上がった。
「じゃあ行こうか・・」
それから三人は着物を脱ぎ、何時もの服に戻ると。店の人に明日の朝。七時に着付けをしてもらえるか聞く。
「大丈夫ですよ。お待ちしていますね」
店員が笑うと、ユリナ達はまたね!と言って店を後にした。
そして翌日。
ユリナ達は着物に着替え、結婚式会場である神社に向かう・・
ユリナは神社に向かう道中・・・
誰にも会わないな・・なんて考えていた・・・
自分達が遅れたのかもしれないと、急いで神社に向かう。
数分程度で、三人は目的地に到着した
・・したのだが・・・
「・・・結婚式?」
「場所を間違えたか?」
会場であるはずの神社には、誰もいなかった・・・あれ?
三人が内心焦っていると・・突然。背後から声をかけられた。
「・・間違えてないよ・・・」
声をかけてきたのは、白無垢を着たスズだった。
隣には、正装したムネスケが嬉しげに微笑んでいる。
「スズ!!とムネスケさん!!」
ユリナが驚いてスズに叫んでいると、またもや背後から声がした。
「・・誰も来なかったか・・・」
悲しそうな声に、振り向くと・・
「あれ?使者の・・」
背後にいたのは、ハヤワーンの国宝を借りた時に来た使者だった・・あれ?名前。何だっけ?
ユリナは、必死で思い出そうと・・すいません・・直ぐに諦めました・・
「タテワキ・ダテです。ユリナ様・・」
使者の男性・・じゃなくてタテワキは、悲しそうにユリナを見ながら言った。
・・忘れて御免なさい・・しっかし・・・
「スズのお父さん・・貴方だったんですね・・」
ユリナが染々言うと、タテワキは疲れたように口を開いた。
「はい・・駆け落ちされるよりはと思ったんですが・・」
「家の両親まで来ないとは・・」
タテワキとムネスケは、悲しそうに呟いた。
この結婚。歓迎されて・・・あれ?
「ムネスケ!!ごめん!寝坊した!!」
「すまん!!セーフか!」
「ごめん兄ちゃん!!」
物凄いスピードで、正装した猫獣人の家族が滑り込んでくる。
・・物凄く速いが・・寝坊?今・・寝坊って言わなかったか?マジかよ!!
「・・すまないスズ・・・」
ムネスケは、心底申し訳無さそうにスズに謝る。
家族がルーズだと大変だ・・
しかしスズは、可笑しそうに笑うだけだった・・何時もの事らしい。
「いや。仕方ないよ・・継母さん!継父さん!スネスケくん!まだギリギリセーフだよ!」
・・いや。アウトだろ?ユリナはそう思ったが、口にはしなかった。
結婚式に、ケチがついたらいけないしな。
「良かった・・・」
ムネスケの家族が、胸を撫で下ろしていると・・
「・・ん?あれ!キャット族・・皆寝坊か!」
「・・多分・・すっぽかしたんだと思いますよ・・」
ムネスケの父親が、キョロキョロしながら言うと、いつの間にか・・ユリナ達の、後ろにいたスズの母親が答える・・いつの間に!?
そして。それを聞いたムネスケの父親は、苦虫を噛み潰したような顔で唸るように呟いた。
「・・・アイツ等・・・」
スズの結婚は、双方の両親以外には・・・・
反対されているようだ・・
波乱の結婚式が始まります!




